52 砂漠の街サンドウエスト
道のりは遠い、そしてツライ。
バフで強化されている二人は全然平気だけど、ボクは過酷な環境下で疲労は蓄積し、もうフラフラだ。
この荒野はどこまで続くのか、王都までのルートで、大半を占めるという砂漠にすらたどり着いていない。
それどころか、補給地点となるカクタスという中継点もまだだ。
そんな時、前方の地平線の上にゆらゆらと大きな街が現れた、これが蜃気楼というものか、本当にそこに街があるみたいだ。
すぐに蜃気楼だと分かったのには理由がある、中継点もまだだというのに、この地点でこんなに大きな街があるわけがない。
蜃気楼は進行方向にあるので、そのもやもやとした街の影を追うように進む、やっぱりよく言われるように、追っても距離が縮まらない幻なのだろう。
……それでも近づくにつれ街の幻影は徐々に大きくなってゆく。
あれ? なんだか街の輪郭がハッキリ見えてきた、蜃気楼じゃないの?
「よし着いたぞお前ら」
「え、着いたって、アレが?」
「そうだ、ここが中継点、カクタスの街だ」
「でけえ!」
それは蜃気楼ではなかった、そしてカクタスの街は大きかった。
ただの中継地点だから、てっきり小さな宿場町のような場所だと思っていた、しかし、カクタスの街はヴァーリーと比べても遜色ないほど立派な街だ。
「この街が中継点……」
「ここでは物資を揃えるだけだ、もたもたしてたらいつまで経っても王都へ行けねーからな」
乾燥して埃っぽい空気だが、大通りの脇にはお店も沢山あって人々も多く、活気に溢れている。
幾つかのお店に立ち寄り、トーマスは物資を補充する、ボクとレティシアは盗難から馬車を守るため留守番だ。
トーマスは手早く必要な物を揃えると馬車を走らせる、流れゆく街並みを眺めているだけで、ボクとレティシアは馬車から降りることもなかった。
本当にこの街をただ通り過ぎるつもりだ、宿屋に泊まることもない。勿体無い、せっかくの街なのに、物資は補充したが英気は養えていない。
宿屋のベッドで休みたい、バフのある二人と違い、ボクはフラフラなんだ。二頭の馬車馬にもバフが効いてるようで、パカパカと小気味良く石畳を蹴っている。
元気な二人は、ボクがどれほど疲れているか気づかない、でも、カクタスで補給を済ませたら、そのまま通過する予定だったから何も言えない、急いでるし。
結局、街での滞在はたったの三時間だった、馬車の荷台で膝を抱え、後ろに遠ざかるカクタスの街を眺める、名残惜しいが仕方ない。
カクタスの街が見えなくなった頃、あたりの様子が一変した。
砂の大地が一面に広がっている、ついに砂漠だ。
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砂漠へ入って五日目、遠くには砂丘が連なっている、完全に砂漠のど真ん中だ。
「なんだ、もうへばったのか?」
「くっ」
まだ午前中なのに、ボクの体力は残り僅かだった、強い日差しと肌が剥がれ落ちそうなほど乾燥した空気、そして横殴りの風、体力も気力も奪われ放題だった。
それに強行軍過ぎる、厳しい日中を進み、そうかと思えば涼しいという理由で夜もけっこう進む。休憩が足りない、常人なら音を上げるのは当然だ。
レティシアもトーマスも、ぐったりしているボクに気は使ってくれているが、強者である二人はイマイチ弱者の苦しみを理解できていない。
無理に寝そべるスペースを空けてもらい、もう、ずっと横になっている。すると、薄くスライスされた干し肉が、フラフラと目の前を泳いでいるのが見えた。
「……ぱくっ」
むにゅむにゅと干し肉を食べる、栄養を取らなければ、この過酷な環境下ですぐに干上がってしまう。
再度、スライスされた干し肉が目の前に現れた。
「……んあー、あ~」
食べようとすると逃げる、ボクはそれを追う、でもまた干し肉は遠ざかる、……トーマス、ボクで遊ぶな。
「ははは、ほれほれ」
「ぱくっ」
むにゅむにゅ。
「ったくしょうがねーなー、このくらいで音を上げるなんてよ」
そんなこと言ったって、色々と仕方ないだろう、長旅の経験も無いし。
レティシアは元気の無いボクを心配して、やさしい言葉も掛けてくれるが、トーマスは遠慮なく辛辣な言葉を浴びせてくる。
まあ男同士だし、野蛮なやつだし、冗談で言っているのは分かるけど、時として本当に辛く感じる事もある。
「ほれ、新しいやつだ、ヌルくなったら言えよ、沢山あるからな」
「ありがとう」
氷のようにカッチリと冷やしたタオルを受け取る。
馬車には魔道具の小さな冷凍庫もある。お湯なら沸かせば手に入るが、氷はそうはいかない、旅慣れたトーマスが、便利だからと持ってきたものだ。
「頼むぜ? お前がくたばったら、この装備じゃオレ等だってヤバイんだからよ」
バフはボクの能力なのに、その恩恵を本人が受けられないとは、仲間強化のみに極振りしたことを今更後悔している。
「ちょっとトーマスさん、そんな言い方ないでしょう? もっとユーノちゃんに優しくして下さい!」
さっきからボクをからかっているトーマスを、御者台で馬車を操っているレティシアが注意する。
「マジになるなよレティシア、これが男同士のコミニュケーションってやつだ、なあユーノ?」
「あ、ああ……、よゆーだぜ、トーマス……」
そんなコミュニケーションなんて知らない、でも、言われるがままも癪なので強がってやった。
それにしてもアレだな、少し休ませてもらうぜトーマス、……ガクリ。
「あー駄目だこりゃ」
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……どうやら、ボクは知らないうちに寝ていたようだ、気がついた時には辺りはすでに暗かった。
砂漠の夜は肌寒く感じるほどに冷える、まるで日中の高い気温を強い風がすべて拭い去ってしまうようだ。
そんな中、馬車の外ではトーマスとレティシアが野営の準備を終えていた。
砂漠と言っても樹木がまるで無いわけではない、道中に拾ったカラカラに乾燥している枯れ木を集めて、焚き火をすることもできる。
丁度ごはん時だったようだ、トーマスが網の上で何かを焼いていた。
「ユーノ起きたか、飯だぞ食え」
コレはなんだろう? 赤い筒のような物を網の上で焼いている、こんな食材は持ってきてないはず。
「何を食べてるの?」
「んあ? ああ、お前が寝ている間に獲ったデザートスパイダーの足だ」
魔物だ、デザートスパイダーとは初めて聞いた、この砂漠に入って初めての魔物でもある。
それにしても魔物か、以前食べた赤目オオカミを思い出した、あれは不味かった。でも仕方ない、逆にこういう食事こそ冒険者の醍醐味かもしれない。
「はい、ユーノちゃん、焼けてるよ」
こんがりと焼きあがったクモの足を、火傷に気をつけながらレティシアから受け取る。ボクの手首程もある太さからして、元の魔物本体も結構な大きさだろう。
昆虫のような甲殻から火で炙られた体毛の燃えカスが生えている、その殻の一面がナイフでそぎ落としてあり、中の白身を掬って食べるようだ。
身から甘い香りが立っている、殻の焼けた香ばしい匂いも相まって、なかなか食欲をそそる感じではある。ただし、見た目はデカイ蜘蛛の足だ。
気は進まないけど、自作の箸で白身を摘んでみる、すると、弾力のある繊維がホロホロと分かれて、なおも甘くみずみずしい香りが立ち上がる。
それをスンスンと嗅ぎながらも、一口食べた。
「おいユーノ、おい聞いてんのか?」
「まってて! 今食べてるから」
「おおそうか、わりぃ」
ハッキリ言って美味しい、なんだこのジューシーなプリプリの身は、ついつい無言になって食べ続けてしまう、こんな魔物なら大歓迎だ。
保存食の硬い干し肉ばかりだったから、久々に美味しい食事が食べれてうれしい、カラカラに乾いていた心も満腹になったみたいだ。
そして翌日、昨晩の魔物は美味しかったなあと、思い出しながら馬車に揺られていたその時、御者台にいるトーマスが突然声を上げた。
「お、またデザートスパイダーが現れたぜ」
どうやら、あの美味しい魔物が出没するエリアへ入ったみたいだ。
「どこ? カニはどこ?」
「ユーノちゃん、カニじゃないよ、クモだよ」
砂漠もなかなか捨てたものじゃないな。
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デザートスパイダーのおかげで、何とか気を持ち直しながらも過酷な旅は続く。
そして、やっと目的のサンドウエストの街へ到着した。
サンドウエストの座標は、北の辺境であるヴァーリーから、中央の王都へ行く道のりの、丁度真ん中あたりに位置している、やっと道半分まで来た。
ヴァーリーより二回りは大きな街だ、街の真ん中には青々とした川も流れていて、その川に沿うようにヤシ科の植物も植わっていた。
木材が豊富なヴァーリーと違い、砂ばかりの砂漠の街は、建物も土壁やレンガ造りが殆どで、街を囲む塀も土を盛り上げたものが続いている。
この街での滞在期間は一週間ほどを予定している。本来は馬をラクダに変更し、馬車の装備もより砂漠仕様へと一新するために必要な時間だった。
しかし、馬車馬にもバフが掛かっているので、ラクダへ乗り換える必要もない。馬車の改造も最小限に抑える事ができ、準備期間はかなり短縮することが出来る。
準備は短縮されたが、滞在期間は予定通り一週間にしてもらう。王都まで残り半分、この街で十分な英気を養いたい。
馬車の改造はまたトーマスにお願いする、そして、今度は注文するところから一緒について行って、勉強させてもらおうと思った。
だけどトーマスは、出来上がった馬車の装備を見れば十分だと言い、そんな暇があるならサンドウエストの冒険者依頼でも受けてこいと言われた。
各地の特色ある依頼をこなして回るのも、冒険者の醍醐味の一つだという。
確かにそうかもしれない、もうお金も沢山あるので仕事をする必要は無いけど、せっかくの冒険者なら、その土地を知るために依頼を受けてみるのも良い。
この街で英気を養うにしても、毎日寝て過ごすのもツライ。一週間後に再開される旅に備えて、体を砂漠に慣らしておいたほうが良いだろう。
今日はギルド宿でゆっくりして、翌朝、依頼を受けるためにレティシアを連れて冒険者ギルドへ行こう。
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サンドウエストのギルドは、厚い土壁で造られた二階建ての立派な建物だった。中も広く、ギルドカウンターもニつあり、やはり食堂も併設されている。
子共が二人連れ立ってギルドカウンターに並ぶ姿は、やはりこのギルドでも珍しいのか、他の冒険者達にジロジロと見られた。
このギルドは規模が大きく利用者も多い、でも、それに伴って品のない冒険者も沢山見かける。一つのPTの人数も多く、グループでたむろしていた。
そんな中、ボクは依頼書をカウンターへ提出する、対応したギルド窓口の兄ちゃんも、子共のボクに対してバカにしたような笑いを浮かべていたが。
依頼内容はデザートスパイダー無制限討伐だ、数は指定されていない、好きなだけ狩ってくれば良い。
ただし、その分報酬は安く、通常の成功報酬のみだと割に合わない、でも、どうやら買い取り有効部位としてカニ足があり、それが高く売れるようだ。
デザートスパイダー一体につき、八本くっついているカニ足を持ち帰れば、一体討伐分の報酬は悪くないものになる。
生モノなので、あまり時間をかけるとカニ足が傷んでしまう、実質、狩り始めた翌日が依頼のリミットと言えるだろう、短期決戦だ。
このカニ足はサンドウエストの名物らしく、ここのギルド食堂でも大人気の商品だ、そのため消費量も多く沢山買い取ってもらえる。
早速デザートスパイダーを狙いに街を出た。街から少し離れ、群生しているという場所へ向かうと、あちこちに居るのが見えた。
ここは砂の平地で遠くまで見通せる、だから森に隠れるゴブリンを探すより、遥かに楽に獲物を見つけることが出来る。
デザートスパイダーはボクの背よりちょっと大きいくらいの体長で、てっぺんの胴体は人の頭ほどと小さい、そこから足が地面まで細長く伸びている。
その長い足の先は槍のように鋭い爪になっていて、ザクザクと砂の地面を突き刺しながら、カラカラと奇妙な動きで襲ってくる。
ちょっと気色の悪い魔物だ、蜘蛛や昆虫系が苦手な人はダメかもしれない。
しかし、それほど脅威となる敵では無かった、迫り来るデザートスパイダーの足の付け根を狙いナイフを差し込むと、いとも簡単に崩れる。後は残った胴体にとどめを刺して魔石を回収し、八本のカニ足を紐でまとめれば一体討伐完了だ。
レティシアを見ると、ザクザクと地面に穴を開けながら勢い良く迫り来るデザートスパイダーを、コロリと裏返して、そのまま足をむしり取っていた。
カニ足はすぐに持ちきれないほど集まった、主にレティシアの成果だ。
ボクと合わせて二十体分縛った所で、手持ちのロープが足りなくなったので、二十体討伐で狩りは終わりにした。
あとは街へ続く川に沿って帰るだけだ、途中、お昼にはちょっと早いけど、せっかくお弁当も持ってきたので、ヤシの木の下でお昼ごはんにした。
上を見上げると丁度ヤシの実も生っている、ココナッツジュースにも興味があったので、もいで飲んでみた。思いのほかまずい……。
そんなふうに二人で遊びながら、ダラダラと休憩した後、また両手に持ちきれないほどのカニ足を抱えて、サンドウエストへ戻った。
「すみませーん、あのー、すみませーん」
奥に引っ込んでいたギルド窓口の兄ちゃんは、三回目の呼びかけで、やっとカウンターに出てきた。
「なんださっきの子供か、まだ何か用事ですか?」
「はい、今朝受けた依頼、終わったので精算お願いします」
そう言ってギルド窓口へ、こんもりとある二十体分のカニ足を提出する。
「ウソだろ? さっき狩りに出かけたばかりじゃないか」
まあレティシアが居るからね、仕事も早く済んだ。これでも遊びながら帰ってきたくらいだ。
「これは……、魔石二十個に対して二十体分の足なんてありうるのか? 奴らの武器でもある足を傷つけずに持ち帰るのは難しい、それをこんなに沢山、一本のムダもなく揃えるなんて」
初めてのクモ狩り依頼だったけど、思ったよりいい成績みたいだ、バカにした態度のギルド窓口の兄ちゃんを見返すことが出来て、ちょっとうれしい。
「大人の五人PTでも半日じゃこの数は揃わない、それをこの子共達が?」
「むふーん」
せっかくだから、ちょっと鼻高々に背伸びしてみせる。
しかし、短時間でカニ足を集めすぎたボク達は、ギルドの中で随分と目立ってしまった。喜んでいた所を、あまり歓迎したくない人達に水を差された。
「はっは、お子様が半日でスパイダーを二十匹狩っただ? 面白いじゃん」
振り向くと、そこにはガラの悪い若い連中がボクとレティシアを囲むようにしていた、どうやらボク達は絡まれてしまったようだ。
「どうせ父親のパシリだろ? ここらは俺等のテリトリーなわけ、分かる?」
「こんな場所に獣人の嬢ちゃん二人を使いに寄越して、そのパパは娘がどうなっても良いのかな~?」
それぞれが好き放題言っている、何か誤解しているようだ、架空の親をけなされてしまった。
それにしても、元本物の盗賊であるルコ村の戦士とは違い、どうにも凄味に欠けるファッションチンピラ冒険者だ。
話しかけてきた若い男は、威嚇するように耳に沢山ピアスを付けて、軽薄にオラついている、しかし、逆にその虚勢がより弱く見える。
だけど、オラついて来た奴らは全部で十人も居る、雑魚でも数は多い、めんどくさいのに絡まれた。
「おおっ? なあなあ、こっちの子結構かわいくね?」
「あーあ、またヘッドの悪い癖が出たよ、まだガキじゃねー……おおマジだ、この黒髪の子まじカワイイ」
あ、ヤバイ。女の子扱いは慣れているけど、今は隣に正真正銘の女の子が居るのだ、それなのにファッションチンピラが選んだのは、男のボクだった。
ちらりとレティシアを横目で見ると、案の定、うつむいてワナワナと小刻みに震えている、無視されたのが相当悔しい様子だ。
「へっへっへ、お前ちょっと付き合えよ、今日から俺達がパパになってやんよ」
ボクだけチンピラ達に囲まれ、腕を掴まれた。相手が一人なら振り払うことも可能だけど、複数人が相手では敵わない。
ボクの実力では、この人数を相手に暴れても脱するのは無理だ、ポイズンブロウを使うか? しかし、使ったが最後、このチンピラ達は確実に腐肉スープになる。
そんな死しか結果を出せないスキルを、こんな場所で使うわけにはいかない、それに、禁忌技を人目に晒すことにもなる。
「イヤっ、やめてくださいっ、離してぇ!」
「あはぁ、いいねぇ、燃えてくるわあ」
なんとか逃れようと声を上げるボクを、ファッションチンピラ達は強引に連れ去ろうとする。
ギルド窓口の兄ちゃんも、ちらりとこちらを見ただけで、素知らぬふうで奥に引っ込んでしまった。
そんなチンピラ達の前に、ついにレティシアが立ちはだかる。
「しゅっ、しゅっ」
そして、挑発するようにシャドーボクシングを始めた。
しかしその姿は、やはりオーラも威圧感も感じない格闘初心者のソレだ、むしろただカワイイ。
「はっ、何のつもりだよ。ん? よく見るとこっちの白いのもなかなかイケてんじゃん、コイツも持って帰るか」
そんな事をヘッドが言った時、レティシアが一歩踏み込んだ。
「えいっ!」≪拳技:遠当て≫
可愛らしい気合と共に、レティシアの正拳が空を切る。
すると、ボクの横を一陣の風が吹き抜けて。
「ごはっ!」
「オオォォ……」
正拳の直線上に居たチンピラの数人が、呻いたと思ったら急に糸が切れたように地面に崩れ落ちた。
レティシアはチンピラに触れてもいない、拳圧だけで倒してしまった。
「お、おい、急にどうした? 何やってんだよ、ウソだろ、おい……」
ヘッドと残りのチンピラ達は、白目をむいて倒れている仲間に駆け寄り、青ざめた顔でレティシアと倒れたチンピラを交互に見比べる。
そして、次にはレティシアから顔を逸らし、泳いだ目を伏せていた。今のでヤバい相手に喧嘩を売ってしまったと思い知ったようだ。
「まだ何か用ですか?」
「いっいえ、何もないっス、申し訳ないでした、俺達間違ってしまいました、どうか許して下さい」
「ふん」
ヘッドを始め、チンピラは全員、十二歳の女の子に対して、額を床にこすりつけるほどに土下座していた。
格好だけつけて、無駄にオラついているチンピラなど所詮この程度だ、目の前で仲間がやられたのに、仇を取ってやろうなどという気概も持ち合わせていない。
「行こ、ユーノちゃん」
「う、うん」
デザートスパイダーの依頼を精算し終えたボクは、レティシアに手を引かれて、ギルド宿へ向かった。
「もう、本当失礼しちゃう、このおっぱいが目に入らないのかしら」
冗談でも、入るおっぱいが無いとは言えなかった。
カクタスの街いらなぃw
句点を少し増やしました。