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100 ボクのゆうしゃさま

 弱くて助かった。……複雑な心境だけど。


「レスタークさん、ちょっと良いかな?」


 もう臨時の謁見も終わりかなと思ったとき、勇者さまが手を上げた。


「どうされましたか、セシル殿」

「ちょっと横から悪いんだけど、オレも少し試したくてね」

「試すとは?」

「今の試合、オレも参加させて欲しい」


 謁見の間がにわかにざわつく、突然、勇者さま自らが試合を申し出た、何か思うところがあるのだろうか。


「オレも手合わせしてみたいんだけど、ミルク、頼めるか?」

「お前が? しかし優乃はあの通リだぞ、今しがた打ちのめされたばかりで戦える状態ではない」


 うん、ボクはモブ騎士にボコされて立っているのも辛い、早く部屋に戻って薬を塗りたい、そもそも勇者さまと勝負したって瞬殺されるし。


「優乃君じゃないよ、実力は学園で見せてもらったから」

「フッ、なんだセシル、では私と試合うというのか? 今の私は手強いぞ?」


 なるほど、昨日ミルクが司教館で暴れたのを見て、以前と比べ物にならないほどパワーアップしているのに気が付いたはずだ、それで興味を持ったんだな。


「いや、昨日見たミルクのでたらめな強さも気になるけど、違う」

「では何だ?」


 ミルクじゃない? じゃあひょっとして……。


「オレが試してみたいのはそこの女の子だ、確かレティシアと言ったか、彼女の力を見てみたい」


 やっぱりだ、勇者さまはレティシアが戦う姿を見たことがない、それなのにその強さが普通じゃない事に気が付いたのか?


 それとも、ラインカーンの事情聴取で砂漠の地下ダンジョンの情報を仕入れて、レティシアが只者ではない事を知ったのだろうか。


「何を言い出すかと思えば、こんな小さな女の子と戦うだって? そんなこと出来るわけないだろう」


 マズい、レティシアはその幼さから、イマイチ空気が読めていないフシがある、良く言えば素直ということだけど、勇者さまと戦うとなれば他の都合なんて考えず“ちゃんと”戦ってしまう。


 せっかくボクがエセ勇者だと知れてムダな期待が収まったのに、ここでレティシアが活躍するとまた厄介だ、戦士のミルクならまだしも、ただの村娘が勇者さまを負かしたなんて事になったら。 


「軽く手合わせするだけで良いんだが」

「ふざけた事を言うな、面白くないぞ」

「頼むミルク、少しで」

「ダメだ!」


 びっくりした、ミルクは突然大きな声で吐き捨てるように拒否した。でもそれは当然だ、今日の謁見の流れはミルクの思い描く通リに進んでいる、ここで下手をうつ訳にはいかない。


「……分かった、なんだか大人気なかったな、悪い」


 凍りついた空気に“しまった”と思ったのか、勇者さまも引き下がった。


「せ、セシル殿も冗談が過ぎますな、そこな娘はユーノ殿と姉弟のようにも見えますが、れっきとしたリメノ村の出身ですぞ、“異界の者”とは異なります」


 レスターク宰相の言葉に、えらい人達も「いやはや、まんまと驚かされました」「しかし確かに、まるで姉弟のようですな」などと続き、場をごまかしている。


 勇者さまはボク達の事を姉弟と勘違いしたわけではない、ボクの能力について何かしら勘付いている。


 ミルクも勇者さまにはバフ能力の事までは話していないが、次に問われたら、これ以上隠し通すのは難しそうだ。


「以上でよろしいですかな陛下」

「うむ」

「では本日の謁見はここまでとする」


 やっと終わったか。それにしても小市民のボクの運命なんて、えらい人達の都合で簡単に左右しちゃうんだ、危うく王国の傀儡にされるところだった。


「待て、私からも言うことがある」

「ふむ、何かなミルク殿」


 えっ、まだやるの? ボクは体中痛いし、早く休みたい……。


「優乃は異界の者だが戦闘能力は低い、ならば護衛が必要だ」

「確かにそうですな、今日の結果を持って、ユーノ殿の身辺のことも協議する必要がある」


 弱くても珍しい存在なのは確かだ、勇者さまのように先進的な知識がある、かもしれないし、そうなれば王国としても放っておくことは出来ない。


「その任には私が就こう」

「ぬ、それは困る、ミルク殿にはこの国を守ってもらわねば」

「心配するな、有事の際は国からの依頼を優先する」

「うーむ……」


 王国がボクを管理する、そうなると最悪、王都から出られなくなる。でも護衛のミルクが一緒に居るという体ならば、自由にどこにでも行ける。


 ミルクは王様とレスターク宰相とで相談している、やや強引なようにも見えたが、結局ミルクがボクの護衛ということで話はついた。


 内訳は、重大な命ならばミルクも王国を優先するが、小間使い程度の依頼ならボクの護衛を優先し、一緒に居る。つまり今と変わらない。


 これもミルクが冒険者だから出来ることだ、勇者PTの面々は基本的に依頼により動く。完全に王国の騎士ならば、命令に背くことは叶わないだろう。


 周囲のえらい人達も、「それが良い」と囁き合っている、ボクが弱いことが分かって興味がなくなったみたいだ、誰も“役に立たない異界人”なんかにかまけている余裕はないらしい。


 先進的な知識を活かすにもバックアップが必要だ、勇者さまはその戦闘能力で自力で資金を捻出できるが、ボクだとそれも見込めない。


 ボクがモブ騎士にやられて泣きべそをかいている姿は、さぞかし頼りなく映ったことだろう、先進的な知識も眉唾ものだ。まあ、実際そんなものは持ち合わせていませんけど。



 王宮内のミルクの部屋へ戻ってきたボクは、上半身裸でベッドへ横になり、レティシアに瞬間強力回復軟膏を塗ってもらっていた。


「わあっ、レティシアおねえちゃん、ぱんつまで脱がさないでよ」


 何の断りもなく、当然のようにぱんつまで脱がしてしまうから困る。


「ちゃんと診察しないとダメでしょ?」

「待って待って、あんまり触ると変なことになっちゃうから」

「……うん、どこも怪我してないね」


 結局隅々まで調べられた、心配してくれるのは有り難いけど、毎回ちょっとやりすぎだよ、ボクでも知らないホクロの位置まで把握されちゃってるし。


 だけど、これから勇者さまのお家に行くのに、青タンを作ったままでは都合が悪いのも確か。しっかり治療しておかないと。


 実はさっき、今から家に来ないかと勇者さまに誘われたんだ、レティシアも連れてきて良いから何日か泊まって行かないかと。もちろん二つ返事で了承した。


 すると、その時一緒に居たミルクが、「セシル、私の部屋も用意しておけ」と、同じ宮殿領に自宅があるのに、ミルクも一緒に来ることになった。


 そんなわけで、治療の済んだボクは、ミルクとレティシアと共に勇者さまのお家へ向かった。


 勇者さまの住む家はやはり大きい、敷地面積もミルクの家の倍くらいある、個人の家というよりやっぱり旅館と言ったほうが近い。


 外見もさることながら中身も頑張っていて、日本の雰囲気がよく再現されている。しかも、本当の旅館と同じように数人の仲居さんが働いていた。


 仲居さんは全員着物で揃えている、仲居さんの正体は派遣のハウスキーパーだが、なんとなく所作もそれっぽく教育されているようだ。


 そう言えば、ミルクの家でもハウスキーパーは雇っているけど、飾り気のない作業服だった。洋館ならメイドさん姿が良かったのに、そういったオプションは頼んでいないらしい。


 ところで勇者さまはまだ戻っていない、早く来すぎた。出直そうかとも思ったが、仲居さんは宿泊する部屋へ案内してくれた、そう言いつかっていたようだ。


 部屋は和室の十畳二間、ミルクとレティシアも同じ部屋に泊まるが、十分な広さだ。当然レティシアにしてみれば全てが珍しい、畳部屋の前で靴を脱ぐボクとミルクに習って、キョロキョロしながら付いてくる。


 先には広縁もある、早速レティシアが広縁に興味を持って、その小さなスペースにある一人がけのソファへ腰掛けていた。


 部屋の中は特に和の再現度が高い、そんな事を色々と見て回っていたら、入り口の襖が開いて勇者さまが現れた、昨日と似たラフな格好だ。


「いらっしゃい優乃君、どう? この部屋気に入ってくれた?」

「はっはいっ」

「あはは、もっと楽にしてよ、同じ日本人だろ?」


 改めて日本人という言葉を聞くと不思議な気分だ、この異世界で日本人同士が出会うこと自体が、ありえないほどの奇跡だ。


 勇者さまも、同じ日本人の感性を持つボクの存在が嬉しいようで、しばらく和風アイテムや日本の話で盛り上がった。


「セシル、突っ立ってないで落ち着いたらどうだ?」

「ああすまん、ついな」


 ミルクに諭されて頭を掻いている勇者さまもかわいい。きっとこんな姿は外では見せないだろう、この異世界に一人飛ばされて、ずっと不安で居たのはボクだけじゃないんだ。


 みんな座卓に着く、ボクも全員分のお茶を淹れて配り、座布団に座った。


「さて、では改めて自己紹介しよう、オレはセシル、日本からの転生者だ。女神から授かった力は、空間を操る能力」

「なっ!? いきなり何を、自分から能力をバラすなど正気かセシル?」


 勇者さまはすんなりと自らの能力を言ってしまった、限られた人にしか知られていない国家機密だ、ミルクが驚くのも無理はない。


「ぼ、ボクも日本から来ました、主な能力はバフですっ」

「なにっ!? 優乃も言ってしまうのか」


 だって、勇者さまもそう自己紹介したし。


「まあ良いじゃないか、オレは初めから言うつもりだったぞ。それに、この中で双方の秘密を知っているのはミルクだけだ、ずるいぞ」


 ボクはミルクからもたらされた僅かな情報で、勇者さまの正体にアタリを付けたが、それと同じように勇者さまもボクのことを予測していた。


 何でも、この世界には無い“のびるぱんつ”と“醤油料理が好き”という情報で、ボクが転生者ではなく転移者であり、日本人だと推察したみたいだ。


「神代優乃という日本名を聞いて確信していたが、実際に学園で見た時は驚いたよ、日本人の姿だったから懐かしくて」


 確かに、勇者さま含めて、この異世界には欧米風の容姿をした人が多いから、ボクの姿は目立つのかもしれない。


「しかし、その角はどういう事なんだ? ファッションで付けているわけじゃないよな?」


 このくるくる角のせいで、最近はシープ族が板に付いてきてしまった。この角はゲームキャラの残滓なのだろう、O.G.O(オールドゴッドオンライン)から転移してきた証だ。


「そうか、VRMMOからの転移、しかも不完全な形でか、随分とややこしいな。それにしてもオレとはまったく違う境遇なんだな、女神も現れないし」

「あの、VRMMOとか分かるんですか?」

「ああ分かるよ、こう見えても転生前は結構オタクしてたんだ、オレ」

「ええっ?」


 勇者さまはVRMMOの事も理解している、オタク趣味バンザイだ、ますます親近感が湧く。


「じゃあ、O.G.O(オールドゴッドオンライン)って知ってますか?」

「O.G.O? ごめん、それは知らないな」

「そうですか……、結構有名なんですけど」

「ううーん、VR技術が一般に普及している時点で時代が違うっぽいな、オレが日本に居た時はヴァルハラっていうMMOが流行っていたんだけど」


 聞いたことがあるぞ、確かO.G.Oの前身となったゲームだ。ということは、勇者さまはボクの居た時代より前から来たんだ。


 お互いの背景の輪郭がはっきりしてくると、なおも会話は弾む。


「……へえ、あのゲームがそんな風に進化しちゃうんだ? スゲー」

「でもこの世界なんか、まんまリアルファンタジーですけどね」

「あはは、言えてる」


 まさか、異世界でゲームの話が出来るとは思ってもみなかった。


「お前たち、何の話をしているんだ、サッパリ分からんぞ」

「ああすまんミルク、優乃君と話し出すと止まらないな」


 気が付くと、レティシアなんかはすっごいつまらなそうにしている。話題は異世界のこと、特に今日の出来事に移ってゆく。


「そう言えばミルク、謁見の間での事だけど、なぜオレとレティシアの手合わせを拒否したんだ?」

「別に、急におかしなことを言うからだ、いい大人が少女と試合うなどと」

「嘘だな。いま優乃君からバフ能力の事を聞いたが、気づいたのは昨日だ、司教館でのミルクの強さは異常だったからな」


 勇者さまはゲームやウェブ小説に詳しい、バフの概念が無いこの世界でも、異様に強化されたミルクを見れば、近くにいる転移者の影響だと気がつくだろう。


「誰も信じていなかったけど、それを考えるとクレイニール達の話は本当じゃないかと思えてくる、あの砂漠のダンジョンを乗り切ったのなら、レティシアも相当強化されているはずだ」


 言っちゃっていいのかな? 多分、現時点のレティシアは勇者さまより強い、そうなると色々と問題になりそうだけど。


「オレが苦戦するほどなのか? だから止めたんだろ」

「ふーむ……」

「今更隠すなよミルク」


 ミルクは何か考えながらお茶を一口飲むと、フゥと一息ついた。


「お前の言う通リ、今更だな。セシルと優乃は同郷同士、お互いの事が気になるのも仕方ない。だが、他の奴らには言うなよ? あいつらにもだ」

「ああ、今回はPTメンバーにも秘密だ、個人的な興味だからな」

「うむ、なら教えるが、お前ではレティシアに指一本触れることも敵わん」

「……は?」


 渦中のレティシアは誰が強いかなんて興味はないらしい、お茶のおかわりを自分で淹れている。すっきりとした緑茶の味わいが気に入ったようだ。


「女神の力をも凌駕すると言うのか?」

「そうだ、女神の力などまったく問題にならない」

「マジでか、優乃君の能力は、それほどなのか……」

「分かったか? 負けて情けない姿を晒さずに済んだな? 私に感謝しろ」


 勇者様は驚愕の眼差しをボクに向けるが、ボクは恐縮してお茶をすするだけだ。だって努力で結果が出ているわけじゃないし、自然にそうなっているだけだし。


「バフ能力って事は、そんな者を多数作れるのか、規格外にも程があるな」

「うむ。しかし、優乃自身はこの通リ、本当に弱い」


 グサリ。随分ハッキリ言いますね?


「優乃の力は計り知れないが、同時に脆すぎる存在だ、守ってやるには能力のことは秘密にするしかない」


 お手数おかけして申し訳ない。でもボクだって、魔王の力で何かしようだなんて思っていない、能力が一般に知られなければ平穏に暮らせるはずだ。


「なるほど、確かにオレが優乃君の立場だと思うと恐ろしいな、世界中から狙われるのに自身では身も守れないなんて」


 せ、世界規模? そんな事になったら、今よりもっと攫われるようになっちゃう、絶対秘密厳守でお願いします。


「それで、ミルク自身はどうなんだ、やはりオレより相当強いのか?」

「確かに以前とは比べ物にならない力を手にした、だがレティシアほどの力は無い。今の私では、お前に勝てるかどうか、そんな所だ」

「そうなのか? 今日からミルクが勇者になると思った」

「バカを言うな、強ければ勇者なわけでもない」


 強いだけが勇者というなら、例えばレティシアはその条件を十分に満たしている。でも破壊しか出来ないレティシアでは、勇者どころか人類の敵と認定されてしまいそうだ。


「だけど変だな、レティシアは元々普通の女の子だろ? なぜ戦士のミルクよりそんなにも強いんだ?」

「それは……」

「ミルク、ここまで言ったらもう隠すこともないだろ」

「ふむ、まあそうだな。実はレティシアは、優乃の力の影響を大きく受け、怪物に変身したことがあるのだ」

「は? 怪物に変身? 人では無くなったのか?」


 え、なんか話しすぎじゃないかな、いくら何でも。


「うむ、今もって信じられん光景だったが、一度ベヒモスに変身したあの時から、不思議な力を使うようになった」

「ベヒモスだって?」

「巨大な獣だ。なんだセシル、お前の居た日本という国では、あんなものが跋扈しているのか?」

「そんな訳あるか。それにしてもベヒモスか……」


 しまった、ボクの正体がバレたか? ミルクは知らずに話してしまうが、勇者さまはO.G.Oの前身であるヴァルハラオンラインにも詳しいんだ。 


「とすると、優乃君の正体は魔王だな」


 あっさりバレた。そりゃバレてしまうよ、ベヒモスを使役できるのは魔王しかいないのだから、それはヴァルハラオンラインでも同じなのだろう。


「セシル、魔王とは魔族領に居る奴のことか?」


 ミルクは眉をひそめる。やっぱり、この異世界のどこかには魔王が存在して、学園の図書館で読んだ物語のように、人類の敵なんだ。


 ボクは、人類の敵とみなされ勇者PTにやっつけられちゃうんだ。


「いや、それとは全然違う、優乃君は魔王の力を持っているってだけ」


 勇者さまは、またもやあっさりと、現地人が考える魔王ではないと言い放った。


「何だそれは? 魔族領の王だから魔王ではないのか?」

「MMOの話だからなー、現実に沿って考えるとおかしくなる」


 やはり現地人のミルクはよく分かっていない。そんなミルクに勇者さまは懇切丁寧に説明した、ボクは無害だと。


「そうか、よく分からんが、最終的には何も変わらんのだな?」

「別に変わるとか、そういう話ではないからな、初めからそうなんだから」


 緊張して損した、いや助かった。もし勇者さまが転生者ではなく現地人だったら、問答無用で成敗されていたかもしれない。

 

 ずっと悩んでいたのがバカみたいだ。しかし、やはり旅の途中で魔王のことを打ち明けていたら、今よりややこしくなっていただろう。勇者さまに感謝だ。


「でも分からないな、なぜベヒモスを顕現させるほどの力を持ちながら、優乃君自身は弱いのか」


 どうしてボクは子供の姿になったのか、ゲームからの転移なのに、そのほとんどの力が使えないのか。何かの偶然で転移したのなら、考えるだけムダだ。


 だけど、砂漠の地下ダンジョンを作った宇宙人転移者のように、誰かの手により転移したのなら、その人を探し出して理由を聞けば分かる。いつかきっと……。


 それにしても、自分より強い存在が現れたというのに、勇者さまは嫉妬や保身に走ることなく、ボクの身の上に親身になってくれる。


 元々ミルクも認めている人だ、良い人に決まっていた。この異世界の先輩である勇者さまの言うことを聞いていれば、ボクはきっと大丈夫だ。



「あれ、えーとレティシアちゃん? 大丈夫か?」


 勇者さまに話しかけられてもレティシアに反応がない、テーブルに突っ伏して死んだような目をしている、よっぽどボク達の話がつまらなかったのか。


「えーとそうだな、夕食まで時間があるから、優乃君、先に風呂に入る?」

「お風呂まで用意してくれたんですか!?」

「もちろん。和風旅館のコンセプトで建てた館だけど、ちゃんと機能もするんだ」


 今日はいつもより仲居さんの人員も増やしているらしい、お風呂も沸かしてあるし、夕食の準備も進めている。


「ありがとうございます」

「じゃあ、風呂にするか」


 聞きたいことは沢山ある、でも、お世話になっている数日間のうちに聞けばいい、まだ初日だし焦ることはない、ゆっくりさせてもらうことにした。

 次回、鬼門のお風呂回。ちと修正します。なんとか肌色の割合を減らさずに。

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