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大邦都地下鉄物語  作者: 切咲絢徒
第一楽章 台柱線
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第七話 いざ、戦いへ。

 梅雨も明け、蒸し暑い7月。それでも今日は皆が来た。理由は、今日が終業式だからだ。

 義務教育最後の夏に向け、皆ウキウキしているようだ。

 勿論、第二回の定期テストも終わった。得点は432点。17位。いつもなら僕はこれで満足なんだけど、今回は違う。凄く眩しい笑顔で、羅々が自慢してきたのだ。得点は468点。3位。とんでもねえやつだ。

 ちなみに、羅々の遅刻癖は付き合ったとたんに無くなった。なんで、いままで遅刻してたんだ?

 それも今日はほぼどうでもよくなった。7月24日。コンクールまであと4日。とりあえず、地区大会を金賞。そして、都大会へ。

 帰りの会も終わり、夏休みが始まった。



 ◆ ◆ ◆



 7月28日。コンクール当日。

 特に緊張せずに吹けた。

 結果は金賞。都大会進出。

 ここは安定というか。次の都大会が本番というか。


 8月8日。コンクール都大会当日。

 二回目となるとやはり、前回に比べ緊張せずに吹けたが、一つフラットをつけ忘れた。それが心残り。

 結果は銀賞。残念ながら地方大会出場できず。仕方ない。

 部員のほとんどは泣いていたが、僕は泣かなかった。坂堂も。理由はよくわからないが、涙はでなかった。音楽は音を楽しむという。その言葉通りに楽しんで吹けたからだろうか。

 ちなみに二つの大会共に羅々は見に来てくれた。ベタ褒めしてくれたが、彼女が本当に音楽を理解しているかは知らない。


 という感じで、決戦前の楽しい日常は終わった。


 * * *


 翌日。僕らは棒反駅に集合した。

「よし、全員集まったな。」

 菩巌院はいつも通りスーツだった。動き難くないのか?その問いには、このスーツ、伸縮性が高いから。と言われた。

 僕と坂堂はTシャツにジーパンという、クソ妥当な服装である。

「長目、お前、なんで、連れてきた。」

 坂堂は僕に疲れた顔で訴えた。

 そう。僕の後ろには羅々がいるのだ。

「知らないよ。ただ、今日から余り遊べなくなるって言ったらついてきた。」

 決してイチャイチャしたいわけではない。それくらいはわきまえれる。

 羅々は白いワンピースを着てきている。もう、完全に旅行気分だ。(誰も闘いに行く服装をしていないが。)

「すいません、菩巌院さん、すぐ、帰します。」

 しかし、菩巌院は

「あ、いや、いい。僕が呼んだ。」

 は?

 羅々は頷いた。

「私、棒を振り回すくらいならできるから。」

 頼りないぞそれは。

 とはいえ、空手をやっている坂堂くらいしか武術に長けた者を知らない。菩巌院はいい体格だが、僕も羅々も、そういう類いのものはやってない。

「條原さんにもね、能力があるらしいでしょ。だからね、まあきっと使えるんじゃないかなあって。」

 菩巌院はそう言う。人の彼女を物扱いするな。


 こうして、僕らの長めの戦いは始まった。

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