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大邦都地下鉄物語  作者: 切咲絢徒
第一楽章 台柱線
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第四十一話 堀田菅崎再び

 翌日。

 長目は菩巌院にある連絡をいれた。内容はこうだ。

「今日はどうしても外せない用事ができたので、今日は行けません。」

 と。そういうことで、菩巌院も、坂堂も今日は敵に乗り込まないということにした。疲れを取るためと、なんか、全員揃ってないと、何かが違う気がするということからだ。


 * * *


 基本的に戦った敵の情報は共有するということで、敵を倒したり逃がしてしまったりしたらその情報を仲間に伝える。

 その取り決めのお陰で、僕は堀田菅崎のいたアジトを知れた。

 車丘に向かい、そしてとある一軒家に向かった。堀田の家だ。

 昨日行けば良かったが、何故かその気にならなかった。そんな自分につくづく自分が呑気であることを覚える。

 堀田の家には躊躇いもなく入った。残念ながら鍵がかかっていたので、人がいなくなったタイミングで窓に石を投げ入れて入った。

 室内は人気(ひとけ)がなく、空き家であるようだった。話では地下室にいるらしいので、その入口を探す。

 その階段も案外さっさと見つかったので、入った。

 中は薄暗かったので、携帯のライトをつけた。このライトは異様に明るく、結構奥まで見渡せた。そして見つけた。人影。

 どうやら座っていて、撃ってしまおうかと思ったが、羅々だといけないし、そもそも、当たるかわからないので、ほかっておく。

 明るくしたとはいえ、陰気な感じは抜けてなく、不気味であった。それでも歩を進めた。

 暫く進むと、広いところに出た。その瞬間辺りが更に明るくなった。しかし、携帯のライトのお陰で目はそこまで眩まなかった。

「よく来たな、神前長目。」

 奥の方から声が聞こえた。

 振り向くと、男が一人、座っていた。

「お前が堀田菅崎か。」

 僕は男に向かって言った。

「そうだ。」

 男はこう答えた。つまりは羅々の居場所はこいつが知っている。

 それ以上何を聞いても(例えば、羅々の居場所とか)答えないだろうから僕はすぐに銃を撃った。

 しかし、弾は不自然に堀田菅崎を避けた。(実際に弾の軌道がわかったわけではないが、弾痕は堀田の真後ろの壁に刻まれていた。)

「え、なんで当たらないの?」

 僕はそう口に出していた。

 勿論、普通に射撃精度の問題かと僕は始めは考えた。だが、刻まれた弾丸と、自分の銃口で結ばれる直線上に堀田はいるのだ。

 つまりは当たっていなければいけないのだ。それが条理、世界の理。

 だが、そんな条理は通らなかった。

 冷静に僕は堀田の能力を分析することにした。

 弾丸を曲げる能力なのだろうか。

 どちらも一歩も動かないこの空間で僕の脳内は騒がしかった。脳ミソはひとつなのに、対立する勢力があった。

 弾丸を曲げる能力派とそれだけではない派。

 お陰で脳ミソが割れそうだ。

「どうしたぁ?来ないのか?」

 堀田は中指で僕を挑発するが、乗らない。今さらそんなハンドサインで激昂しない。

 先に動いたのは堀田だ。

 残念なことに僕は脳内がハチャメチャになってしまったため、それにすぐに対応できなかった。

 堀田の弾丸は正確で、確実に自分を狙ってきていた。

 確かに避けるのは寸分遅れたものの、致命傷にはならなかった。右目の横を擦ったが。

「呆けて立ってたら死ぬぜぇ?」

 まさにそうだ。

 もう、堀田の能力を分析するなんてしてられない。そう思った。

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