ビッチとツンデレの日常
題名からしてそうですが少々下品な単語が出てきます。
(薄い同性愛描写がございます。ご注意ください)
ビッチとツンデレの日常
とある私立の高校。
学校の外見は白を基調としたどこぞの豪邸のようなものだ。いわゆる金持ち学校。
そんな学校の教室―――
「黒! お昼たーべよ!」
中世的な声で誰かを呼ぶ。
声の主は黄緑色の首あたりまでの髪。そして前髪を赤いピンで止めている。
大きな目に、桃色の頬と唇。誰がどう見ようとも可愛いと答える容姿だ。
「―――分かってるわよ」
黒と呼ばれ返事したのは、今時珍しいまったく染めてない背中まである黒い髪。
目はつり目がちで、彼女の纏っているオーラも相まってだか近づきづらい印象を与えるもこちらも見紛うことない美少女だ。
こんな二人が一緒にいて目立たないわけがない。
「食堂行く?」
「あそこは騒がしいから嫌。裏庭ね」
「はい、はい」
有無を言わせない口調であるが、慣れているのか緑の髪の生徒は小さく笑って返事をした。
大きな木のふもとに一つだけぽつんとたたずむベンチ。
そのベンチには楽し気に話す二人が。
無邪気にはしゃいでいるのと、静かに小さく笑っているのは傍から見れば犬と猫のように見える。
だがしかし、会話の内容はそんな可愛いものではない。
「5万って意外に安くない?」
「あんた性別詐欺して釣っておいてよく言えるわ」
5万、性別詐欺、釣る
色々不穏な単語が聞こえる。
「いいんだよー! 僕ってば普通の女の子より可愛いんだから」
語尾にハートがつきそうな勢いではあるが、内容はそんなに明るくない。
一人称が僕、女の子より可愛い
そう。彼女、否彼は男だ。身長は150ちょっとしかなくても、どれだけ顔が可愛かろうと下に付いてるモンはついてるし、上にあるものはない。
服装もちゃんと学ランではあるが、違和感を感じるほど可愛い顔なのに男。その事実を受け入れられず絶望に打ち震えた男子生徒の数はしれない。
その後、いっそ男でもと立ち直った男子生徒の数も。
「クソビッチめが」
そう言って、おかずを口に運ぶ少女は正真正銘の女だ、安心してほしい。
だが逆にこの少女は他人に対して容赦がない。
美少女だからと見た目に惑わされて近づき、希望をこなごなにされて帰ってきた男子生徒は何人なのか。
「好きです」
「で? あたしと付き合いたいとでも言うの?」
「は、はい!」
「そう。じゃあ諦めて」
だいたいこれで終わるのだが、数人は逆上して手を出そうとしたらしい。だが、すべてこの少女は返り討ちにした。
蹴ったのだ、少しヒールのあるローファーで男の大事なトコロを。
そういった噂が出回り今では高嶺の花。
女子より可愛いと有名な日向野ヒスイ。
この学園での高嶺の花の黒恵姫乃。
「でもまぁ、釣るのもそこそこにしとかないと痛い目見るわよ?」
「ふふ、黒のおせっかいだ」
「…違うわよ。変にあたしが巻き込まれるからよ」
「そう?」
―――こんな会話がビッチとツンデレの日常。
キャラの濃そうな二人だなぁ…(遠い目)
残り2話くらいで完結予定です