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大団円ハッピーエンド企画 「幸せな想定外」  作者: 山口みかん
本編 ~ 暁美 ~
8/16

第08話

 翌日……

 正嗣さんとお母さんが仕事に出た後、正樹と話す時間が取れたので、正樹にもウエディングもどきケーキを食べに来て貰った。


「今年はこんなの作ったのか……」

「まあね。ちょっと特別だったから」

「特別?」

「…………」

「どうした?」

 うん。正嗣さんの子供の正樹には誰よりも先に言っておくべきだね。

 そう思い、気持ちを落ち着けるために大きく息を吸って……


「私、正嗣さんと結婚を前提に付き合うことになったんだ」


「なんだ、やっとか」

「………………は?」

「いつになったら告白するんだって思ってたよ」

「……はい?」

「でも、そうだな、バレンタインデーみたいなイベントにかけた方が告白しやすいか。うん」

「え? えっと…… え?」

「……いや、違うな。暁美は、加奈子と父さんが……って誤解してたんだよな。なら、俺が加奈子との事を暁美に内緒にしてたせいだな。それが無かったらもっと早く行動を起こせてたんだよな?」

「あ、あの……」

「でもごめん、お陰で助かったんだ。先に暁美に父さんを落とされてたら実は加奈子がフリーだって周囲にバレてたもんな…… そしたら俺が加奈子を妻に迎えるのはもっと大変だったと思う………… あー畜生、そんな風に考える俺が嫌になる。ほんっとーにごめん、暁美」

「いや、そうじゃなくてさ……」

「ん? 何?」


「どうしてそういう反応になるの?」


「どうしてって…… だってバレバレだったぜ? 暁美が父さんを好きなのって」

「ま、待って。お母さんはわかってなかったよね?」

「ああ、加奈子は気付いてなかったな…… ん? そういや、父さんも気付いてなかったよなぁ。でも、俺にはわかってたぜ?」

「…………いつから?」

「高一の頃? 体育祭の父兄リレーで走ってる父さんをポーッと見つめてた暁美を見て、ひょっとして? と思った」

「………………」

「それから暁美を観察してると、どんどん恋する乙女な目になっていってたし」

「……ぐあ」

「まあ、俺も暁美を子供の頃から見てたからこそわかる変化かもな。それで、その変化が同じ年上に恋する者として理解出来た……ってとこだな、きっと」

「恥ずかしい……」

 なによ、わかってたなら早く言ってよ、教えてよ。


「恥ずかしがること無いって。年上を愛する同士だろ? 応援するよ。加奈子にも帰ってきたら教えないとな」

「お母さんに言うの!?」

「当たり前だろ? ここまできて、今更恥ずかしがるなよ」

「うあー、どうしよー」

「心配すんなって。間違いなく喜んでくれるさ」

「そうだけど、そうだろうけど!」

「加奈子が帰ってくるのが楽しみだなぁ」

「うわーん」


 結局、女は度胸。仕事から帰ってきたお母さんには私から伝えましたよ。

 勿論すっごく喜んでくれて、結婚式は一緒にしましょうね、なんて言われた。



 こうして、『お母さんと一緒にウエディングドレスを着て、おじさんと正樹の元に二人で嫁いで二組合同結婚式なんて未来』が現実になったのです。

 あの時想定してた相手とは逆だけれどね。

 でも、こんな想定外なら大歓迎。


 私達、幸せです。

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