第06話
「それで、これからお母さん達どうするの?」
「どうって?」
「結婚するからには一緒に暮らすんでしょ?」
「ああ、それなんだけど、暁美ちゃんも一緒に僕の家に来ないかい?」
「え?」
「ほら。うちなら部屋数も足りてるし、今までも一つの家族みたいなもんだっただろう?」
「そう言えばそうですね」
「もし良かったら、二軒を纏めて一軒にリフォームも検討してみるのもいいかもしれないと思っているんだが」
「ああ、それもいいですね。お互いの家の間隔狭いから繋ぎやすそうだし、部屋数多い方がお母さん達の子供部屋にも困らないし」
そう口に出して言ってみると、自分に妹か弟ができるかもしれないという実感が湧いてきてちょっと嬉しくなる。
「ちょっと、子供って…… 暁美、何を言ってるの」
「何って、お母さんまだあるでしょ?」
「…………あるけど」
「だったらそういう可能性もあるでしょ?」
「でも、この年での妊娠は色々と問題が……」
「正樹との子供、欲しくないの?」
「………………」
「そうやって即答しないって事は欲しいって事だよね」
「……でも、もし子供に問題が出たら……」
「それならそれで、みんなで面倒見ようよ。正樹だって覚悟できてるよね?」
「ああ。俺だってそういう可能性が高くなるってのは知ってる。だからって加奈子との子供を諦めるなんて出来ない。もし、そういう子が産まれたとしても加奈子との子供なら間違いなく愛していける自信もある」
「そんなに簡単なものじゃないのよ? もし何かあったら、年齢的にも長く付き合うことになるのは正樹さんなのに」
「俺の十五年を舐めないで欲しいな。もし加奈子と結婚できるならってずーっと考えてて、良いことばかりじゃ無い、リスクだってずっと調べ続けて、それでも加奈子と一緒になりたかったから今ここにいる。俺を信じてよ、加奈子」
「正樹さん……」
感極まったお母さんが正樹にしがみついて泣き始めた。
うん、良かったねお母さん…… 私も正樹なら信じられるよ。
それから話はお母さん達の結婚式に移り、式は正樹の仕事への慣れも考えて来年の六月に執り行うことに決め、入籍だけはバレンタインデーにすることに決めた。
そして二人はこれからリフォームを始めるまで、私の家の方で新婚生活を過ごすことにした。
今まで散々お互いの家を行き来していた関係だけにこういった対応が即出来るのは便利だね。
という事で、私は二人の邪魔をしないように、おじさんの家に避難。
私にあてがわれた部屋に布団を敷いて、そこに寝転がって今日一日を振り返った。
今日は、怒濤の一日だったなぁ……
「お母さんと正樹が結婚…… まだ、いまいち実感湧かないけど、私がここでこうしているって事はそれが現実だから…… だよね」
お母さんはてっきりおじさんと結婚するのだとばかり思っていたからなぁ……
拍子抜けもいいとこ。
結局おじさんはフリーだったんだ。
…………フリー?
待って、ちょっと待って。
「私がおじさんに告白できなかったのって、お母さんに遠慮してたからだよね」
敢えて声に出してそれを確かめる。
これってひょっとして……
ううん、ひょっとしなくてもチャンスじゃない?
お母さんに他の男を近づかせない手段は、逆に言えば、おじさんに他の女を近付けさせない効果もあったんじゃない?
実際、今まで傍目にもお母さんとお似合いと思われていたおじさんには、私が知る限り他に女性の影は無い。
おじさんが見目麗しい殿方であるにも関わらずフリーでいられたのは、なまじお母さんが半端なく綺麗なお陰でそれに挑もうとする女性が居なかったからだろう。
そのお母さんが正樹と結婚することで、おじさんが実はフリーでしたという事が発覚する前の今が最大のチャンスじゃない?
折しも時はバレンタインデー
女の方から告白するのに、これより適した時期は無い。
「が、がんばる」
気持ちを声に出して覚悟を決める。
いざ、バレンタインデー




