第01話
「「「「メリークリスマース」」」」
あるレストランの一角…… 男女二人づつが向かい合わせに座って、シャンパングラスを片手に乾杯の音頭を上げていた。
四十台くらいだろうか、隣同士に座っていた中年の男女がそれぞれテーブルの側に置いてあった紙袋を取ると、中に入っていた綺麗にラッピングされた小包を取り出し、向かいにいる若い男女の前に置いて女性の方から二人に声をかけた。
「はい、これ、私達からクリスマスプレゼントね」
「「ありがとう」」
若い二人はその紙袋を受け取ると顔を見合わせてにこっと笑うと、テーブルの下に置いてあった紙袋からやはり綺麗なラッピングの小包を二つ取り出して中年の男女の前に置き、やはり女性の方から二人に声をかけた。
「私達からのクリスマスプレゼントだよ」
「「ありがとう」」
「それじゃ、ここで開けても良いかな?」
「うん。私達もここで開けさせて貰って良い?」
「勿論だとも」
――おじさん。そのプレゼントは私が選んだんだよ。
おじさんの事をいっぱい考えて、何が似合うかな? って考えて、それにしました。
気に入って貰えるといいな……
「お? ネクタイか。 ああ、いい柄だな。これはシルクかな? 肌触りも良い。 ありがとうしっかり使わせて貰うよ」
嬉しそうなおじさんの言葉にホッと息をつく。
知ってますか?
ネクタイを送るのって、貴方に首ったけって意味も有るそうです。
気付いてくれますか?
ううん、ダメですよね…… おじさんには、おじさんにぴったりの女性が……
そう、ぴったりお似合いの私のお母さんが居るもの……