セクハラ行進曲 ③
もちろんその瞬間、修代に抱えられた黒猫は尻を猛烈な勢いで叩かれる。
罵声とともに。
だが、黒猫の言葉は止まらない。
「だいたいその白パン娘はナイスバディの青パン眼鏡と違い、どう見ても幼児体形。そして、幼児体形が許されるのは中学まで。高校にもなっても貧相な幼児体形など論外中の論外。つまり、そんなもの見られても惜しくないということだ。少なくても隠す理由などない。そして、そこに制服代がかからないのだ。これぞ経費削減を兼ねての究極の一石二鳥。このすばらしい策を一瞬で思いついた私は感謝されるべき存在だろう」
「それにもかかわらず実際はこの仕置き。青パン眼鏡。おまえは知らないようだから教えてやるがこういうのを動物虐待というのだ。訴えられて停学を食らいたくなかったらすぐさま私を開放し、お詫びの印としてそのデカい胸をモミモミさせて私を昇天させろ」
「却下」
「いいえ。別の意味で昇天させてあげますから感謝しなさい。このセクハラ猫」
「では、さっそく始めましょうか。昇天の儀式を」
もちろんこの後に黒猫のもとにやってきたのは、連続する強烈な尻の痛み。
それが永遠と思われるくらいに続く。
そして……。
「誰もが満足するグッドアイデアを提供した私に対するこの仕打ち。理不尽すぎるだろう」
お仕置きが続く中、涙ながら訴える黒猫の苦情。
だが、どうやら今日はスカートの下は青色のパンツらしいその女子高校生の制裁は当然ながら止まらない。
「どこがですか」
「そもそも神聖不可侵な女子高生のスカートの中を覗くという裁判なしで打首獄門にされてもおかしくない犯罪行為をおこない、白パン、青パンなどと下品な言葉を連呼するセクハラ猫には人権などありません。まあ、猫ですから猫権ですが」
そう言ったところで再び始まる尻を強烈連打。
このままでは本当に昇天しかねないと自身の危機を感じた黒猫が目をやったのは長年の相棒でもある男だった。
「だが、青パン眼鏡がわがまま言って購入したウエイトレスの制服は非常に高かったのは事実。あんなものをもう一式揃えるのはこの貧乏喫茶店では無理だろう。その点全裸であれば制服代はかからない。私の提案をおまえなら理解し、賛同するはずだ」
だから、すぐに助けろ。
あきらかにそう訴えかける目。
それに対してマスターはため息をつく。
「まあ、全裸が制服というのであればこの店の経営に影響が出ないのは確か。ですが、一般の方も来るのですからさすがに色々な点でまずい。せめて下着はつけてもらわないと」
「なるほど」
「では、上下下着で手を打つか」
「そうですね。下着なら自前ですから店の負担にはなりません。まあ、貧乳女子高生の下着姿が目の保養になるのかは好みの問題もありますが……」
「見応えはないがとりあえず見てやるのが大人の務めだ」
「なるほど。では、皆さんには我慢して見てもらいもらいましょうか」
「毎度毎度何を言っているのですか。このセクハラツインズは」
玲子本人を前にしてのふたりの堂々たるセクハラ会話に割り込んだ修代のその言葉がやってきた瞬間、一方は危険を察知し即座に安全エリアへと素早く退避する。
そうなれば、そこに残ったのは現在お仕置きを受けているもう一方のみ。
当然彼は相方の分のクレームも引き受けることになる。
「女子高生が学校の制服を着て仕事することがダメで、下着だけで働くことは問題ない店の伝統と格式とはどういうものなのですか」
そして、その直後お仕置きのレベルはさらに上がる。
だが、さすが年季の入ったセクハラ猫。
懲りることなくこの状況でさらに放たれる渾身の一撃。
「では白パン女子の制服はスクール水着にしよう」
「もちろんただのスクール水着ではない。紺色で左胸にはひらがなで氏名とスリーサイズと胸の大きさが書かれているやつだ。まあ、これなら白パンの貧相なものはすべて隠れている、問題は何もないだろう?」
「却下」
「では、仕方がない。赤ビキニ」
「だが、白パン娘はおまえと違い、どう見ても貧相な胸ではないか。絶対に似合わないぞ。まあ、あるかないかもわからないので隠す必要などない胸だからトップレスでいいのだろうが」
「もっとも、せっかく眺めるのなら青パン眼鏡のトップレスの方が百倍いいな。個人的希望としては」
この後に黒猫には最高レベルまで上がったお仕置きが待っていたのは言うまでもないことである。