表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/114

18. 処罰

 セフィロスとの会話からひと月がたった。

 今日はリアナに突然呼び出され、水の神殿へ来ているところだ。


 水の守護天使長のドレイクに案内され、応接室へと入るとフローラは驚きの声を上げる。


「アイリス?!」


「フローラ様、ごきげんよう。先日はご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした」


「ごきげんよう、じゃないわよ。どうしてここに?」


「まあまあフローラ、座りながらゆっくり話しましょう」


 リアナに促され、ソファにアイリスと隣合って座る。


「あなた、家から出てきても大丈夫なの?」


「? はい、怪我はすっかり治して頂きましたし、出歩いても大丈夫ですけど」


「そうじゃなくて、出ちゃいけないとか、セフィロス様に言われたんじゃないの?」


「??」


 アイリスがよく分からないと言う顔をしていると、リアナがふふっと笑う。


「アイリス、フローラに渡したい物があるのよね」


「はい。今日はこちらの手紙をセフィロス様から預かって参りました」


 セフィロスから。いよいよ処罰が下されるのか。なんでアイリスに手紙を託したのかはよく分からないけれど、緊張してゴクリと唾を飲む。


「今開けて読んでくださって構いません」


「分かったわ」


 ドレイクにレターオープナーを借り、中身を取り出す。


「地図? これだけ?」


 何の事だかさっぱり分からない。入っていたのはフローラが管轄する土地の地図1枚だけ。


「ここに印が付けてあると思うんですけど……」


 アイリスがヘムル峡谷辺りにある丸い印を指さす。


「ここに私の家があるんです。家の場所をフローラ様に教えてもいいと、セフィロス様に言われました」


「え?」


「それから伝言も預かっているんです。『これが処罰だ』と仰っていたんですけど、処罰って一体、なんの事ですか?」


「!!!」



 ――やられた。



 あれは私が信頼するに値するかどうかを試すためのものだったのか。


「セフィロスにまんまと、してやられちゃったみたいね。こんな事ばっかりしているから、みんなに勘違いされるって言うのに。仕方のない(ひと)ね。」


 事情を知っているらしきリアナが、コロコロと笑いながら言った。


「わたくしが1ヶ月近く悶々としていたのは何だったのかしら」


 ガックリと項垂れながらも、アイリスの家の場所についてハッと気がつく。


「まって、ここ、わたくしの管轄地じゃない……」


「はい。そうなんです」


「そうなんです、じゃないわよ!! ずっとわたくしの管轄地で暮らしていたっていうの!?」


 セフィロスだけじゃなく、リアナにもしてやられた気分だ。


「あぁーー、もーー」


「フローラ様、あの……」


 フローラは喋ろうとしたアイリスの唇を指先でチョンと抑える。


「『様』は要らないわよ。わたくし達、友だちでしょ?敬語で喋らなくていいわ。堅苦しいし」


 アイリスは一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに頬をピンク色に染めて、気恥しそうにモジモジと言い直す。


「フローラ、色々と、その……ありがとう。それで、これを渡したくて」


アイリスは脇に置いてあった小箱を渡してきた。リボンをといて中身を見ると、可愛らしい小瓶が入っている。


「これは?」


「ハンドクリームです。以前花の都を案内してもらった時に買った精油を使って作ってみたんです。セフィロス様に配合を教えて頂いたので効果は間違いないと思うんだけど……受け取ってくれる?」


そう言えばアイリスは花の都でほとんど買い物らしい買い物をしなかったけれど、精油だけは何本か買っていたことを思い出す。

敬語がときどき混じってしまっているのは仕方ないとしよう。


「もちろんよ。大事に使わせてもらうわ」


「良かった」


(くうーーーーっ!何なのよ、もうっ!!)


 いじらしい姿に、ついアイリスの頭をワシワシと撫でて抱きついてしまった。


「あーぁ。あなたには一生、勝てそうにないわ」


「??」


「でもまあ良いわ、それで」


 

 アイリスがセフィロスの事を特別な存在として見ていることは知っている。一緒にいる姿を見ていれば分かる。いつもとは違う、幸せそうな顔をする事を。

 でもこれからきっとセフィロスの知らない、友にしか見せない顔をアイリスは見せてくれるだろう。


フローラが持っていないものをアイリスは沢山持っている。そしてまたアイリスもきっと、自分には持っていないものをフローラの中に見出している。互いに尊重し合い、飾らないありのままの相手を愛し合える、そんな友だちにアイリスとならなれる気がする。

 

 

 もう一度頭をワシワシ撫でると、今度はアイリスも撫で返してきた。

 その2人の耳元には蝶のピアスが揺れ、日の光でステンドグラスがキラリと輝く。


「あらあら、すっかり仲良しさんねぇ」


 娘2人がじゃれ合っている姿を見ながら、リアナはゆっくりとお茶をのんで寛いでいた。

これで第2章は終わりになります。ここまで読んでくださりありがとうございました⸜(*ˊᗜˋ*)⸝

この次は第2章を書くにあたり書いた閑話が2つあるので、こちらを投稿していきます。話しに全くオチがありませんので時間のある方はどうぞ〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ