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25. 神獣と神鳥(6)

「さて、あとは神鳥だけだな」


「それならもう、決めているんです」


 そう言ってアイリスは、1本の木を指さす。一見すると何もいないようにしか見えない。セフィロスが不思議そうな顔をしているので、アイリスは微笑みながら立ち上がり、自分の腕を前に伸ばしてみる。


「おいで、知っているわよ。ずっとそこで見ていたのを」


 木の枝の一部がもそっと動いたかと思うと、音もなくこちらへ向かって飛んできた。するとそれは、アイリスが差し出していた腕にフワリと停まる。


「その鳥は……タチヨタカか?」


「そう言う鳥なのですね。さっきからずっとこちらの様子を見ていて、気になっていたんです。本人は木になりきっていて、バレて無いと思ってたんでしょうけど」


 タチヨタカと呼ばれたその鳥は、目が黄色いガラス玉をはめ込んだかのようにまん丸で、ギョロりとしている。身体の割に頭が異様に大きくて、色も木とそっくりの、茶色と黒のまだら模様だ。


「まさか、その鳥と契約を交わすのか?」


 なぜかセフィロスが驚いて、と言うか引き気味に聞いてきた。


「はい。と言ってもこの子が良いと言ってくれればですが」


 アイリスはタチヨタカを見つめながら敢えて声に出して聞いてみる。何となくこの子なら、心の中でじゃなくても通じそうな気がする。


「私の神鳥になってくれる?」


 タチヨタカは少し目を細めたかと思うと、ぐえぇぇーとカエルのような鳴き声で返事をした。


「ふふっ、あなたそんな鳴き声をするの?それに口もとっても大きくてカワイイわね」


 口をパカッと開けると、顔が上下に別れてしまうんじゃないかと思うくらい大きい。なんとも面白い鳥だ。


「了承したと捉えていいのよね?それなら名前はえーっと……エフティヒアにしましょう。幸運を運んでくれそうでしょ」


『エフティヒア、アイリス様ニ、忠誠ヲ誓ウ』


「はい、よろしくね」


 エフティヒアの体を撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。


「アイリスが気に入ったのならそれでいいか……。それではそろそろ家へ帰るとしよう」


 セフィロスはニキアスに、アイリスはエルピスに跨り家に帰ることにした。アイリスは1人で乗馬なんて出来ない。裸馬に乗るのは初めてだし、ましてや手網もついていないなんて無理だと最初は断ったが、エルピスが


『指示を出さなくてもニキアスの後ろについて行くので御安心を。振り落としたりしません』


と言うので、1人で乗ってみることにした。


 実際に乗ってみると鞍がない分、エルピスの体温が伝わってきて心地いい。しかも驚く程揺れが少なく、まるで地面の上を滑るようだった。少し早く走ってもこれなら大丈夫そうだ。



「随分と乗り心地が良さそうだな」


エルピスの横に並んでニキアスを歩かせると、セフィロスが声をかけてきた。


「はい、振動がほとんど無くて安心して乗れます」


と答えるとニキアスが突然、苛立たしげに前足をガシガシと掻き鳴らした。


「お前の乗り心地が悪いと言っているんじゃない。落ち着け」


 セフィロスが首筋を撫でて宥めると、ニキアスはブヒンっと鼻を鳴らしていた。

 その様子にアイリスは思わず笑ってしまう。神獣と言うのは本当にヤキモチ焼きらしい。




 家に着くと早速天使たちが走って出迎えてくれた。

ジュノがエルピスのサラサラとしたたてがみを撫でてやる。


「うっわー、キレイな馬、じゃなくてユニコーンですか?」


「そうよ、エルピスって言うの」


「希望、ですか。いい名前ですね!」


 虹の天使がきゃあきゃあ騒いでエルピスを囲む後ろで、ノクトとエレノアが「信じられない」と目をパチパチさせていた。



「それからね、神鳥の方もいるのよ」


 あそこに、と庭にある木でできた柵を指さす。

 天使たちがキョロキョロと探すので呼び寄せると、柵の一部が突然動いたのでみんな悲鳴を上げていた。


「まさかあんなところに鳥がいるなんて、全然気が付かなかったなぁ。この鳥は何て名を付けたんですか?」


「エフティヒアよ。タチヨタカっていう鳥なんですって」


「幸運、ですね。擬態上手だし、顔もインパクトあるなー」


「インパクトがあるとかの問題じゃなくない?」

「アイリス様の趣味がよく分からない」


ジュノ達が物珍しげにエフティヒアを眺める横で、エレノアとノクトが突っ込みを入れているが、何か変なのだろうか。こんなにカワイイのに。


「さあ今日はお祝いですね!エルピスとエフティヒア、それからニキアスも交じれるように外でやりましょう!!」


 イオアンナが提案すると、どこからともなく金色の翼をしたハヤブサが飛んできてセフィロスの肩に止まった。



――キッ、キッ、キッ



「ああ、分かった。お前を忘れていない」


「ごめんね、アネモス。もちろんあなたもお祝いの参加者よ!」


 セフィロスの神鳥のアネモスだ。自分の名前が無かったことにご立腹なようで、くちばしをカチカチ鳴らしている。イオアンナが慌てて謝った。



 神気をほとんど使い果たしたあとでぐったりしていたけれど、これならすぐに回復できそうだ。アイリスは早速お祝いの準備に取り掛かりに行った。


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