表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/114

13. 初めての訪問者

 衝撃的な事実を知った最上級神会議から、1週間ほどがたった。

 最後の成長期を迎えても、恐らく何も変わらずに立神(りっしん)を迎えるだろうと言うことで、全員の意見は一致した。

 あと5年の間に何かしらの手立てを考えて、立神の儀でお披露目をされると言う事になった。なので大人になるまでは、とりあえずまだ隠居生活が続く。


 その間、他の神や天使たちと関わったことがないアイリスの為に時々遊びに行って欲しいと、フレイとリアナが最上級神のみんなにお願いをしてくれた。

 

 そして今日は、初めて両親以外の神がアイリスの家へ来てくれるのだ。



「あぁ、緊張するわ」


「まぁまぁ落ち着いてください。アイリス様がそんなに緊張されると、僕達まで緊張しちゃうじゃないですか」


 全く緊張感なくジュノが言う。


「だって、リアナ様とフレイ様以外の方と、まともにお会いしたことないんだもの。この間の会議だって個人的にお話した訳ではないし」


 天使達とそんな話をしていると呼び鈴がなった。


「いっ、いらっしゃったわ」


 半ば小走りになりながら、アイリスはエントランスへ向かい扉を開ける。


「セフィロス様、ようこそおいで下さいました」


 スカートの裾をつまんで膝を曲げ、挨拶をする。


 金髪に新緑色の瞳。と、天界ではごくありきたりな色だ。それにも関わらず思わず見とれてしまうのは、もの凄く整った美しい容姿と背の高さのせいだろう。ただ、寸分違わず計算し尽くされたかのような顔に無表情を貼り付けているので、無機質な印象がして少しだけ怖くなる。身長は多分、190cmは超えている。


「自ら出迎えてくれたのか」


「は、はい。狭いですが、どうぞ中へお入りください」


 緊張のあまり噛んでしまいそうになる。会議の時にも思ったけれど、セフィロスはその場の空気をビシッとさせるような、そんな雰囲気を出している。


「あの、こちらの天使はノクト様でよろしかったでしょうか?」


 リビングに案内すると、アイリスが聞いてみた。アイリスの家には応接室や客間なんてないので、リビングに案内するしかない。

 普通は必要最低限の大きさの家を建てたあと母親の家から移り住み、更に増築をしていくのが一般的だ。アイリスの場合は増築する事は出来ないので、1番最初に建ててもらった必要最低限の部屋しかない。


「僕の名前をご存知なのですか?」


「はい、最上級神会議の時にいらっしゃいましたから」


「でも名乗った覚えはありませんが」


「私、うっかり守護天使の皆様の名前を聞くのを忘れていて。帰り道にアレクシアに聞きました。それから、そちらの方は……」


「お初にお目にかかります。風の守護天使のエレノアと申します」


 もう1人いる女天使に目を向けると、人懐っこい笑顔を向けて挨拶をしてきてくれたので、少しホッとする。セフィロスもノクトもあんまり表情が変わらないので、余計に緊張するのだ。


「ノクト様、エレノア様、どうぞよろしくお願いします」


 挨拶をして下げていた頭を上げると、2人とも何とも言えない表情をしている。

 なんだろう。挨拶の仕方を間違えているのだろうか。セフィロスは厳しい方だと聞いているから挨拶も厳格そうだ。


「あっ、ご丁寧に。私たちの方こそよろしくお願い致します」


 慌てた様子で2人が挨拶を返してくれた。どうしよう。挨拶するだけでこんなに気を揉まなければならないなんて。


 3人を席に案内すると、今度はノクトに猛烈に拒絶されてしまった。

 天使は神の(しもべ)で、お茶の席に同席するなんて事は無い。普通は側近くで立って控えるか、別のテーブルを用意する。という事らしい。

 いつも水や太陽の守護天使が遊びに来てくれた時は一緒にお茶をしていたので知らなかった。


そういう訳でノクトは「一緒になんて有り得ません」と言って、虹の天使に別の席を用意させていた。

アイリスがいつもいる暖炉近くに置いてあるローテーブルとソファーの席ではなく、天使たちがくつろぐために設けてあるテーブルの方へと天使達は座った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ