ローマの忙日(3)ヘパイストスの鎚と古代アテネオリンピック
登場人物紹介
黄忠漢升 十六歳(西暦163年時点)十二月十九日生まれ 射手座 血液型AB型
若くして『弓神』と称される弓の名手 女顔のせいで よく女神に間違われる
新装備
E 『イージスの楯』
持ち物
プトレマイオス著『地理学』
何進から貰った『羊毛十斤』
黄承彦 二十二歳(西暦163年時点)五月三十日生まれ 双子座 血液型O型
自称『工神』黄忠の叔父(黄忠の父の弟)鍛冶 兵器 建築の知識の吸収の為なら
手段を選ばないマッドサイエンティスト 後の世の黄月英 蒲元の師匠となる
西暦163年4月
アルメニアの戦いから帰還した黄忠はローマの浴場に居た。
黄忠「あのさあ…なんで叔父貴が着いて来てるの?」
黄承彦「まあ、そう言うな。新しい発明品をこの浴場で試したくてな。それがこの火浣布だ!これを垢擦りに使えば垢が面白いように落ちるはず、早速お前の体で試してみよう!」
黄忠「『はず』って…(ゴシゴシ)痛てててて!これじゃあ、皮膚が剥がれちゃうよ!」
黄承彦「う~ん、この火浣布の良い使い方は無いかな~?それはさておき漢升、アテネで凄い噂を聞いてな。」
黄忠「ここで『カンショー』って言うなよ!………で、噂って?」
黄承彦「なんでも鍛冶神ヘパイストスの鎚がアテネで発見されたってよ。『工神』としてはこれは黙っちゃいられねえ!お前も来るか?」
黄忠「闘技場でも今の所敵無しだから(模擬海戦含まず)退屈してた所だし、いいよ。」
こうして二人はアテネへと旅立って行った。
そして二十日後にアカエア半島に位置するアテネへと到着した。
プトレマイオスの描いた地図『地理学』があるので目的地に早く着くのである。
当のアテネではあっさり噂の『ヘパイストスの鎚』は手に入った。
黄忠の闘技場と先日のアルメニア奪還作戦での名声は
アテネまで轟いており、現地の住人が喜んで渡してくれたからだ。
黄承彦「これが噂の『ヘパイストスの鎚』か~!よし早速、鍛冶工房へ行って隕鉄でも叩いてみるか!」
黄忠「よく隕鉄なんて珍しい物、持ってるね…ま いいや…叔父貴ならさもありなん。」
アテネの鍛冶工房で早速、隕鉄を焼いて『ヘパイストスの鎚』で叩く黄承彦。
カーン!カーン!カーン!
黄承彦「おお!これは凄いぞ!!加工の難しい隕鉄でも面白いように形を変えられる!俺は『究極の鎚』を手に入れたのだ~!!」
黄忠「所で何を造ってるの?」
黄承彦「兜だよ!お前が冠る為のな!その名も『アテナの兜』だ!明日まで待っていろ、俺が『至高の兜』ってヤツを見せてやるよ。」
黄忠「その状況で言うのは『究極の兜』だろ?」
黄承彦「あ?何でだ?」
黄忠「いや…気にしないで………」
次の日『究極至高の兜』『アテナの兜』は完成した。
黄承彦「おお!良く似合ってるぞ阿忠!まるでヘパイストスの子の育て親、女神アテナの化身だな!その兜を冠っていると水中でも二刻(約30分)は息が持つぞ。」
黄忠「また女神の化身かよ…まあ十六にもなって声変わりすらしてないけどさ…早く一人前の漢になりたいよ…早く髭でも生えないかな~?」
黄承彦「それからさっき思いついたんだが『火浣布』の使い道な?あれをカタフラクトとお前の藤甲鎧に被せようと思う、どうだ?」
黄忠「叔父貴にしては良い案だな!確かに硬い上に軽くて火に強い火浣布なら馬の装甲にピッタリだし、火に弱い藤甲鎧の弱点も克服出来る…凄いよ!」
黄承彦「ま、これも『工神』黄承彦様の面目躍如って所だな!」
黄忠「そういう我褒めの性格さえ直せば完璧なのに………」
アテネの住人「お~い、そこのシナイの人。あんたらが噂の『弓神』と『工神』かい?ちょっと頼みたい事があるんだけどいいかな?」
アテネの住人の話によるとアテネの東のスニオン岬から東へ行った
エーゲ海の海中で古の神話の神ポセイドンの神殿が発見された。
しかし誰もその神殿内部には息が続かず行けなかったので
ローマのコロッセオのチャンプであるアチュー(黄忠)に
神殿内部に潜って内部を探って欲しいという依頼であった。
黄忠「俺、模擬海戦は絶望的だったんだけどな…でもこれも良い試練だな。これで苦手分野を克服してみせるぜ!」
黄忠は直向きな努力家であった。
そして三人はスニオン岬に向かいエーゲ海に沈む神殿の地点まで
ボートを漕ぎ出し、その神殿があると目される海上まで来た。
黄承彦「確かに海中に建物らしき物が見えるな…阿忠、行くのか?」
アテネ住人「勇士さま、大丈夫かね?」
黄忠「ああ、海戦は苦手でも息止めには自信があるんだ。水中で息が続く『アテナの兜』もあるしね。行ってくるよ。」
ドボン!水の中に潜る黄忠
それから10分後、海中神殿の中に入る。
神殿の中には宝玉や珊瑚が到る所に見える、しかし見とれてる時間は無い。
更に10分後に神殿中央に錆びた三叉戟を見つけてそれを引き抜くと
残りの10分で急いで水上へと上がった。
黄忠「おーい!神殿の中にこんな物、見つけたよ~!」
アテネ住人「間違いない!ポセイドーンの三叉戟だ!」
黄承彦「やったな阿忠!早速、工房に持ってこようぜ!」
そして再びアテネの鍛冶工房に戻る三人。
錆びついた三叉戟を炉に入れ、戟が真っ赤に熱を帯びた所を炉から出す。
そして黄承彦が得物の『ヘパイストスの鎚』で、たった一回、戟を叩いた。
すると戟はまばゆい光を放ち真っ赤な色から一瞬で白金のような色に変わる
そして『ポセイドンの鉾』はその姿を現した。
アテネ住人「これはきっとポセイドーンがヘパイストスに共感したんだ!ポセイドーンはアテナとの豊穣の地を創る勝負でアテナに負けた。そしてアテナはヘパイストスに求婚されて断ったが、ヘパイストスの子を育てている。つまりポセイドーンはヘパイストスに『あの性悪女をギャフンと言わせてやれ!』と言ってるんだ。この現象はそうに違いない!」
黄承彦「アンタも相当な夢想家だねえ!でも確かに、こんな奇跡的な現象はそうとしか説明出来ないわな(笑)この鉾は阿忠が持てよ、お前さんなら使い熟せるだろう?」
黄忠「既に『象鼻刀』が有るから、これ以上は要らないけど一応持っておくよ。それよりさ近い内に『オリンピック』ってやつが開催されるらしいじゃない?それに俺も出場させてくれないかな?」
アテナ住人「『イストモス大祭』か!でもあれはギリシャ人とローマ人にしか出場権利は無いんだが…よし!俺がアテネ総督に掛け合って特別にシナイ人のアチューさんの出場を認めさせよう。これだけの奇跡を見せられたんだ、俺だって一肌脱ぐぜ!」
黄忠「それと新競技として新たに『水泳』を加えて欲しいんだ。今回の事で俺も水と触れ合うことに自信が出来てさ。やってくれる?」
アテネ住人「水泳か~、面白そうだねえ。解った!それも総督に提案してみるよ。」
そして一ヶ月後に『古代アテネオリンピック』は開催されて新競技には
黄忠の頼み通りに水泳が加わり黄忠も参加した。
黄忠はその前に必死でエーゲ海で水泳の訓練をしていたのは言うまでも無い
繰り返すが黄忠は生まれついての努力家であった。
そして黄忠は新競技『水泳』で優勝こそ逃したが三位に入賞した。
優勝を逃したが黄忠には新たな自信が身に付いた。
こうして黄忠は愛馬にカタフラクトと藤甲鎧に火浣布をコーティングして貰い
隕鉄製で出来た『アテナの兜』も造って貰い『ポセイドンの鉾』も入手した。
しかし、一番の宝は水が苦手であった事を克服出来たというプライスレスの
自信が身に付いた事であるのは言うまでも無い。
そして黄承彦は生涯に渡って使う究極の鎚『ヘパイストスの鎚』を入手した。
この鎚はやがて蜀漢の名鍛冶師にして黄承彦の弟子『蒲元』にも継承されて
『神刀』という刀を造るに到るのだが
それはまた別のお話。
時に漢の延熹六年(西暦163年)六月
黄忠漢升 十六歳の精進の成果であった
黄忠「これで闘技場の模擬海戦だって………」
【ローマの忙日(3)ヘパイストスの鎚と古代アテネオリンピック・完】
今回は黄忠の努力回です
今まで無敵だった黄忠が苦手分野を克服する回です
今回の獲得品
『ヘパイストスの鎚』(黄承彦)
『アテナの兜』(黄忠)
『ポセイドンの鉾』(黄忠)
今回も小説を読んで頂き大変ありがとうございます
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