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後漢の休日(2) 董卓、韓遂、賈詡、孫堅、夏侯惇と仲良く羌討伐♫

登場人物紹介

黄忠漢升こうちゅう・かんしょう 二十一歳(西暦168年時点)十二月十九日生まれ 射手座

血液型AB型 身長八尺(184㎝)股下四尺弱(91㎝)

好きな食べ物 羊を使った料理全般、波斯豆(ピスタチオ)芭蕉(ばしょう)(バナナ)

利き手 両利き(元々、右利きだが玄武の籠手(げんぶのこて)の力で両利きに)

好きな泳法 『海神泳法(ポセイドンスイミング)』(凄いスピードの立ち泳ぎ)

必殺技 『双安息射法ダブルパルティアンショット』(安息射法(パルティアンショット)が使える人との共同技)

海神特攻(ポセイドンチャージ)』(一撃で艦船に穴を空けるドルフィンダイブ)

飛翔安息十連箭射法ジャンピングパルティアンテンショット』(後ろ向きで馬上でジャンプしてからの矢の連射技)

『立ち十連箭(じゅうれんせん)』(その場に立っての超人的な速度の矢の連射技)

象鼻暴鞭刎(ぞうびぼうべんふん)』(暴れた巨象の鼻の如く大刀を振り回し首を刎ねる技)

角觝(かくてい)奥義『仏壇返し』(呼び戻し)

倭国での冒険を終え、漢に帰還する

次の漢帝こそ仕える主君であると期待しているが望み薄

最近は髭が生え始めたので女と間違われる事が無くなった

伴侶となった(まい)を天下一、愛しているが官位に就くまで子作りはしない方針

装備

E 『象鼻刀(ぞうびとう)』(隕鉄製、その(しな)やかさと硬さは世界一の大刀)

E 『火浣布被藤甲鎧かかんぷコーティングとうこうがい』(火に燃えない究極の藤甲鎧)

E 『阿爾特弥斯女神弓(アルテミスのゆみ)』(兀突骨の乗っていた象の部位で製作)

E 『イージスの(たて)』(表が白金(プラチナ)製、裏は木製、周囲にバリアを張る力がある)

E 『アテナの兜』(隕鉄製、(かぶ)ると水中で10分は息が続く)

E 『玄武の籠手(げんぶのこて)』(玄武鋼を加工した籠手で玄武の力で所持者を両利きにする)

持ち物

プトレマイオス著『地理学』の写し

指南魚(羅針盤・方位磁石)

草薙剣(くさなぎのけん)

八咫鏡(ヤタノカガミ)

八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)


愛馬『火浣布被保法能かかんぷカタフラクトほほうのう(牝馬の五歳馬)』

体高八尺(184cm)体重百十鈞(750㎏)

マルクス帝とルキウス帝から貰った馬で、旧人類の共通言語「ホモフォーノイ」を

話し、また大型の馬でありながら食事を必要とせず歳も取らない神馬(しんめ)

一日に二千里(約831㎞)を時速70kmで十二時間を疲れ知らずに走る

駿馬(しゅんめ)でもあり

全人類の言葉を訳せることから黄忠一行の旅の通訳にして相談役でもある


黄米(こうまい) 十五歳(西暦168年時点)十二月二日生まれ 射手座

血液型O型 身長 六尺八寸(157㎝) 股下 三尺四寸(78.5㎝)

胸のサイズ Gカップ

好きな食べ物 お米のご飯、これから食べる大陸の料理全般に興味あり

利き手 両利き(元々、左利きだったが志能備の訓練により両利きに)

必殺技

体術奥義『狐円延髄斬(こえんえんずいぎ)り』

忍術奥義『影縫(かげぬ)いの術』

黄忠の伴侶となった倭国の女志能備(しのび)、旧名(よね)、若くしてありとあらゆる

志能備の術をマスターし、黄忠を影で支える忍者(ニンジャ)となる

とにかくセクシーな『くノ一』で男を(たぶら)かすのが得意だが心は黄忠一筋

周囲が(うらや)むほど黄忠とイチャラブしているが当人達は気にしてない

黄忠が官位に就くまでは子作りはしない予定なので周りをヤキモキさせている

同性愛の気はないが女子をも(たぶら)かせる房中術も極めている

後に黄叙(こうじょ)を産み、何思の政争の裏で暗躍する

また何思と義姉妹(ぎきょうだい)の契りを結び、何思の出世の為の謀略に一役買っている

細身で痩せているが、一日九食は食べる大喰いにもかかわらず

胸以外に肉が付かない、かなり変わった体質の持ち主

最近は曹操を短足であると罵って(からか)っている

装備

E 『玄武丸・蛇(げんぶまる、じゃ)』(『玄武鋼』と『妖刀イペタム』を融かし合わせ『ヘパイストスの鎚』で鍛えて造った神秘の力が宿る双刀)

E 『玄武丸・亀(げんぶまる、き)』(斬られた相手は所有者の憎しみに対比した毒が回り淫夢を見せて安らかに死に至らしめる玄武とイペタムの妖力が備わる)


黄承彦(こう・しょうげん) 二十七歳(西暦168年時点)五月三十日生まれ 双子座

血液型O型 身長七尺七寸(177㎝)

好きな食べ物 天竺(インド)で食べたカレー

貴霜(クシャーナ)で食べたナンカレーも秘かに気に入っている

利き手 左利き

黄忠達と共に漢へ帰国して同じく今の後漢に失望中

次の漢帝の治世に期待しているがやはり望み薄

自他共に認める『工神』にして黄忠の叔父(黄忠の父の弟)鍛冶、兵器、建築

工芸の知識の吸収の為なら手段を選ばないマッドサイエンティスト

後の世の黄月英の父であり、鍛冶師蒲元(ほげん)の師匠となる

装備

E 『ヘパイストスの鎚』

(鍛冶の神の力で金属を火に入れなくても加工できる至高の鎚)


何進遂高(かしん・すいこう) 二十一歳(西暦168年時点)四月十日生まれ 牡羊座

血液型A型 身長七尺五寸(173㎝)

自らの立身出世に生涯を捧げる事を誓った(おとこ)

出世の機を常に伺っている


何思(かし) 十七歳(西暦168年時点)四月十五日生まれ 牡羊座

血液型AB型 身長七尺一寸(164㎝)股下三尺六寸弱(82cm)

胸のサイズ Iカップ

モデル顔負けのスタイルを誇る何進の異母妹

異母兄の何進と共に皇后になろうという野心を持つ、黄忠が大好き

そして百合っ気(ゆりっけ)が有り、黄米と義姉妹(ぎきょうだい)となる


曹操孟徳(そうそう・もうとく) 十四歳(西暦168年時点)十二月二十七日生まれ 山羊座

血液型A型 身長 六尺八寸(157cm)股下 二尺九寸(67㎝)

幼名 阿瞞(あまん)

かなり生意気なガキだが、その知力と武力と詩才は本物

後学の為に黄忠一行に加わる

短足である事を気にしている

E 『魏武王常所用挌虎短矛ぎぶおうじょうしょようかくこたんぽう


安清世高(あんせい・せいこう)四十一歳(西暦168年時点)十一月二十四日生まれ 射手座

血液型B型 身長七尺九寸(182㎝)

好きな食べ物 波斯豆(ピスタチオ)

遥か安息(パルティア)から仏典の訳経の為に来朝した元安息太子の仏僧

元の名はスレナス五世

黄忠の弓術と馬術の師匠であり、仏僧になってもその腕は衰えず

経典の漢訳も遂に終わり、自由の身となる

装備

E 『アーラシュ弓』

(パルティア太子時代にその弓の腕を見込まれて王から下賜(かし)される)

持ち物

『黄金の一対の賽子(サイコロ)

(フラーテス二世がデメトリウス二世、二カトルに贈った宝)


丁斐文侯(ていひ・ぶんこう)十七歳(西暦168年時点)五月一日生まれ 牡牛座

血液型A型 身長七尺八寸(180㎝)

故郷の沛国譙県(はいこくしょうけん)で放牧を商う青年

お金に目がないが稼いだお金は全部、牛馬の購入に使ってしまう牛馬マニア

牛乳や牛肉、牛車の設計や牛の医療・育成・体調管理に関する知識や造詣

馬術や馬肉、馬車の設計や馬の医療・育成・体調管理に関する知識や造詣も

並ではなく黄承彦や華陀・張仲景も一目置くほどである

時に漢の建寧(けんねい)元年(西暦168年)六月


とある、計吏(けいり)として洛陽に赴いた青年が何進(かしん)の元に姿を現した。


韓約(かんやく)韓遂(かんすい))「どうも、韓約(かんやく)と申します。どうもそちらでは宦官の郭勝(かくしょう)を通して出世の機を伺っているようですが、それならばむしろ漢の腐敗の元凶の宦官を皆殺しにする策をまずは講じて、その(あと)に出世を伺う方が遥かに早道かと愚考します」


何進「では其処許(そこもと)は宦官を誅滅する策をご存知か?」


韓約「宦官と対立している清流派の儒者を利用して宦官の糾弾に加担するのです。(しか)れば、その(のち)に妹君を後宮に入れる事も容易かと」


何進「悪いが、その案は却下だな。俺は来年に行われる宦官排斥運動が計画されている事を間者(黄米(こうまい))を通して郭勝から聴いている、つまりその計画は宦官からは筒抜けだ、故にまた清流派儒者達は敗れ、党錮の禁(とうこのきん)が再び行われると思っている」


韓約「そこまでご存知でしたか!?ならば私のような者が進言する事は何一つございません。これにて失礼させて頂きます」


黄忠「ちょっと待って!あなたのいでたちから察するに涼州の出の方とお見受けしました。最近、涼州ではまた(きょう)の侵略が活発化してると聞きますが詳しく教えて頂けないでしょうか?」


韓約「貴殿はお若いながらも相当に修羅場を(くぐ)って来た武人とお見受けしました。良いでしょう、お話します」


韓約の話ではかつては董卓(とうたく)を始めとした涼州軍閥が羌を抗戦、懐柔、交流によって


抑え込んでいたが、膨れ上がる羌の勢いは止まらず、羌対策は明らかに人手不足で


現地の人間も非常に困っていると告げられた。


それを聞いてそこにまた、とある早熟の天才児がしゃしゃり出てきた。


曹操「それは面白い事を聞いた!俺も羌と言う奴らを見てみたい、故に俺も同行するぞ!今回はこの従兄弟の夏侯惇(かこうとん)も一緒なので文句はあるまい?」


黄米「キャー❤背ぇ高い!脚も長~い!!とても阿瞞(あまん)の従兄弟とは思えない殿方ね~♫身長は?股下は?歳は?いくつ?」


夏侯惇「姓は夏侯(かこう)、名は(とん)、字を元譲(げんじょう)と申す者で御座います。身長は八尺一寸強(188㎝)股下は四尺一寸弱(94㎝)年齢は阿瞞(あまん)より一つ上の十五であります」


黄米「へえ~、あたいと同い年なんだ。それにしても良い(おとこ)ねえ!惚れちゃいそう❤ホント、『短足ちゃん』(曹操)の血縁とは思えない体型ね」


黄米がそう言うと夏侯惇は目の色を変えて、刀を抜いて黄米に突き立てた。


黄米「おい、この尻軽女!阿瞞(あまん)を侮辱する奴はたとえ女であろうと八つ裂きにするぞ!特に阿瞞(あまん)を………短足だと侮辱する奴は許さん!本人も非常に気にしてるんだぞ!!」


冷や汗をかきながら薄ら笑いを浮かべる黄米。


黄米「そ、そうですね……二度と言いません……(この夏侯惇さんの前で阿瞞(あまん)(からか)うのはやめよう……)」


するとその緊張を破るように、これまた見ない顔の少年が何進(てい)


門を叩き、門前でこう叫んだ。


孫堅(そんけん)「もしも~し、ここに黄忠さんがいらっしゃると聞いてやって来ました。俺は江南の三人衆から紹介を受けた孫堅文台(そんけん・ぶんだい)と言う者です~」


黄忠「え?江南三人衆からの紹介だって?早速、会わねば」


丁寧に軍礼をして、その孫堅文台という人物を(やしき)に招き入れる黄忠。


黄忠「して、お若い人、江南三人衆の紹介と言う事だが彼らとはどんな関係で?」


孫堅が事の詳細を話した、それによると彼は江南三人衆(黄蓋(こうがい)程普(ていふ)韓当(かんとう))に


喧嘩を売って、見事に三人をのして子分にしてしまったという。


黄忠「あの三人が君みたいな若いのに?とても信じられん!?」


孫堅「聞く所によるとアンタらは、これから(きょう)の対策に赴くとか?俺も連れて行ってくれ。そうすれば俺の実力が判るよ」


黄忠「(昔の俺と同じような事、言ってるなコイツ)という事でこの若い三人(曹操・夏侯惇・孫堅)の同行を許して頂きたいのだが、韓約殿?」


韓約「うむっ、皆、目に宿る光が違うな!董卓(とうたく)賈詡(かく)といい勝負だ!一緒に来い若人(わこうど)たちよ!!」


黄忠「董卓…?どこかで会った事があるような気が………」


そして新たな面子を加えた黄忠一行は涼州、天水(てんすい)に至った


(ちな)みに黄承彦(こうしょうげん)黄米(こうまい)安世高(あんせいこう)丁斐(ていひ)も同行した


丁斐は韓約の頼みで乳牛千頭と波斯豆(ピスタチオ)五百斤(113㎏)の積荷(つみに)を同行した。


董卓(とうたく)「おお!そなたは『最胡の骨(さいこのほね)』を売ってくれた武人ではないか!壮健のようだな」


黄忠「ああ!やっぱり、一昨年(おととし)の交州、日南(じつなん)で『最胡の骨』を買った豪傑風の人だ!確かあの時は(かたわ)らに軍師風の人も居たけど……?」


董卓「李儒(りじゅ)の事か?アイツは今は別の用で()らん、その代わりと言っては何だが今回の羌対策の軍師として、この『涼州の張良(ちょうりょう)陳平(ちんぺい)』と名高い涼州一の智者、賈詡文和(かく・ぶんか)が同行することになった、こやつの叡智は本物だぞ~!」


賈詡「よろしく」


賈詡は淡々と軍礼で挨拶をすると、早々に作戦を話し始めた。


賈詡「今回の作戦は天水一帯に出現した羌族の掃討と、その()の共和政策の両方を実施する事である、生憎(あいにく)と必要な人材と物資は揃っているので今回の作戦は十中八九は成功すると確信している、さて、作戦の詳細だが………(中略)………以上である!諸君らの健闘に期待する」


曹操「ほう、この(おとこ)、『涼州の張良、陳平』などと言われるが、その通りかもしれんな……いつか必ず俺の陣営に加えてくれるわ」


黄忠「ところで董卓殿、貴殿の馬は随分と赤いが大宛(だいえん)産の汗血馬(かんけつば)か?」


董卓「いや、この『最胡の骨』を持って、名も知らぬとある西域に出かけたら偶然、見つけてな、名を『赤兎(せきと)』と呼ぶ、何でも一日で二千五百里(約1040㎞)を走ってもバテない馬だと、この『最胡の骨』が教えてくれてな、間違い無く天下最高の馬だよ!」


保法能(ほほうのう)「間違いありません、この『赤兎』という馬は私と同じ神馬(しんめ)です。私のように言葉は話せませんが、歳を取らず、食事も要らない馬です。年齢は三歳馬と言ったところですね。私より馬体は三寸(約7㎝)ほど上でしょうか。脚の速さは私とほぼ同じでしょうが、何分(なにぶん)耐久力は私以上なので本当に二千五百里(約1040㎞)を一日で踏破できる天下一の馬でしょうね。ちなみに牡馬(おすうま)です」


黄忠「凄い馬だな……保法能以上の名馬が居たなんて!牡馬(おすうま)だそうだが惚れたか、保法能?」


保法能「こんな見目麗しい殿方なら惚れない牝馬(めすうま)はおりません❤しかし、神馬の交わりは安易に性欲によって行われるものではありません。神託(しんたく)が降りた時に初めて交わる事が許されるのです。今はまだその時ではありません」


保法能「ブヒヒン(よろしくね、赤兎さん❤)」


赤兎馬「ブルルルン(貴方のような美人さんの前でカッコ悪い所は見せられないな)」


保法能からの馬訳(ばやく)を聞いて、黄忠が呆れて息をつく


黄忠「コイツ(赤兎馬)も俺と同じで天然の女たらしかぁ?」


そして作戦が実行された


敵の羌族は"二騎で三人乗り"の戦車隊が千台集まり合計三千人に及ぶ部隊で


黄忠一行は董卓の私兵と天水駐留の漢の正規兵を合わせても三百人程だった。


十倍の敵を破る策を賈詡は脳裏に描いていた。


まずは黄忠、董卓、孫堅、夏侯惇、安世高、韓約の六騎が


鋒矢の陣形で特攻を掛ける、先駆者は孫堅であった。


孫堅「我と共に皆、馬の脚を狙えー!これが江南三人衆の必殺戦法『江南激流衝撃波こうなんジェットストリームウェーブ』を破った我が必殺戦法!その名も『長江源流滝ちょうこうソースウォーターウォール』❗❗❗❗❗」


長江源流滝ちょうこうソースウォーターウォール』とは『江南激流衝撃波こうなんジェットストリームウェーブ』と同じ要領の特攻を


複数人の騎馬で行う事によって、三人の徒歩の人間が作る衝撃波よりも


遥かに強い衝撃波で敵を飲み込むという戦法であり、その衝撃は正に


長江源流の滝が落ちる程の勢いであり、これに飲み込まれた者は


例え西羌の戦車部隊といえども、ひとたまりもなかった


そのまま千に及ぶ戦車隊の群れを突っ切る六騎


各々が得意の得物を縦横無尽に振り回していた、先駆者の孫堅は『古錠刀(こていとう)』で


黄忠と董卓は連弩(れんど)の二挺射ちであった。


董卓「ガハハハハハ!どうじゃ?黄忠!連弩の二挺射ちは!?これぞ我々、両利きの者のみが出来る芸当よ!爽快至極じゃろ!!」


黄忠「弓に比べて連弩は苦手だったんだが、確かにコレは痛快!同じ両利きでも我が妻には教えたくない快感だよ!!」


その様子を賈詡と共に高見(たかみ)から


波斯豆(ピスタチオ)をポリポリ食べながら見ていた黄米と黄承彦がボヤく。


黄米「二人共カッコいい!!でも漢升様ったら、あたいには教えないなんて言ってるけど、後であたいも連弩の二挺射ち、練習してみよ……」


黄承彦「西羌の奴ら"アレ"にかかるかな?表面はほぼ普通の地面と同じに見えるようにしたが……」


賈詡「よおし!第一段階は成功だ!続いて第二段階に以降せよ!」


ジャーン♫ジャーン♫ジャーン♫と銅鑼(どら)が鳴る


すると戦車部隊を突っ切った六騎はそのまま先駆者の孫堅に合流して


孫堅に続いた、戦車部隊もそれに誘導された、その行き先は森林であった。


西羌兵長「止まれー!森林では戦車部隊は入れない!奴らが出てくるまで、こちらも動くな!!漢人共め、ここに伏兵を隠して我々を各個撃破しようという魂胆だろうがそんな手に乗るか」


西羌兵長がその命令を下した直後、一気に六方向から森林を出る騎馬が


確認された、例の六騎であった。


西羌兵長「恐らく、この六つの騎兵の行きつく先に伏兵が()るな、敵の兵は三百(ほど)だと聞く、三百程度の兵で何が出来ようか!その伏兵ごと、この戦車部隊で(ことごと)く蹴散らしてくれる!!」


その別々の方向に走る六騎に誘導され千台の戦車部隊も六つに分かれた


賈詡「これで我が策、成れり!!」


ドンガラガッシャンシャーン❗❗


誘導された戦車部隊は事前に掘られていた


千二百に及ぶ落とし穴に(ことごと)く落ちたのであった


ちなみに落とし穴(づく)りは三百の天水兵たちの徹夜作業で


精巧な落とし穴の作り方はノウハウを知っている黄米と黄承彦が教えた。


それは表面的には地面とほぼ変わらずに見える見事な落とし穴だった。


黄米「これぞ忍びの技工(テクニック)よん❤」


残った三百の天水兵に董卓が命令を下す。


董卓「それ、全員捕まえろ!但し!殺すなよ!!」


こうして三千に及ぶ西羌兵と二千騎の馬と千台もの戦車は全て捕虜となった。


黄忠「コイツらは役人に渡すのか?董卓殿」


董卓「いや、それでは根本的な解決には至らぬ。こやつらの本拠に案内させてもらおうか」


黄忠一行は捕虜を引き連れて羌の本拠地へと向かった。


羌酋長「見事だな漢人、で、そちらの要求は何だ?」


董卓「捕虜と戦車は全部返す、だからもう国境を荒らすな。しかし、これだけではそちらも納得せんだろうから、そちらにとある技術を伝授したい。丁斐、例の物を作ってきてくれ」


丁斐「は、直ちに」


数刻後、丁斐は波斯豆牛乳ピスタチオぎゅうにゅうを持ってきて羌たちにふるまった。


丁斐「この牛乳は遥か安息(パルティア)の名産、『ピスタチオ』を牛乳と合わせた飲み物で御座います、羌族の方々は安息(パルティア)とも交易路を築いていらっしゃるので『ピスタチオ』を調達するのは我ら漢人よりも容易かと存じます、故に製法を伝授すればいつでも皆さんはこの牛乳が飲めますよ」


羌酋長「これは美味い!!こんな飲み物を発明して、しかも、こちらの交易の都合まで考えているとは漢人は確かに恐ろしいな(笑)良いだろう、少なくともこの波斯豆牛乳ピスタチオぎゅうにゅうが我が羌族が(きょう)せるうちは国境は荒らさないでおこう、それからこんな美味い飲み物の製法を教えてくれたお礼に捕虜と戦車は全部、おたくらにやろう、好きに使ってくれ、そしてこの宝もやろう」


そう言うと羌酋長は指を鳴らし、羌の使いに、とある物品を持ってこさせた。


羌酋長「それは古の(ぎょう)が息子の丹朱(たんしゅ)の為に造らせたという伝説の囲碁盤で犀角(さいかく)象牙(ぞうげ)で出来ている我が羌族の宝だ、如何(いかん)せん我ら羌族は碁なぞ打たんのでな……漢人に渡った方がまだ使い道があろう。それと我らの豪傑が使う(すい)もやろう、漢の豪傑揃いのおたくらなら、これも使いこなせる者もいるだろう」


董卓「何から何まで済まない、贈り物は存分に使わせて貰おう」


そして羌族の本拠から出ると、黄米が董卓にお願いした。


黄米「この事をいち早く朝廷に伝えるために董卓様の愛馬『赤兎馬』を貸して頂けないでしょうか?」


董卓「そなたは確か黄忠の妻であったな?ふむっ、良いカラダをしておる、(わし)(めかけ)になるなら貸してやってもいいぞ」


黄米「そ、それは………」


董卓「ハハハッ冗談だ、(はよ)うこの事を朝廷に伝えい」


黄忠「(まい)~!くれぐれも俺達の名は伏せて伝えてくれよ~」


赤兎馬に跨り黄米が手を振る。


黄米「解ってるわ~、あくまで董卓様お一人の功績だと伝えておくね~」


董卓「何故(なぜ)に自分達の功績をちゃんと伝えんのだ?お主ら」


黄忠「今の朝廷が"仕えるに値しないから"だよ」


董卓「まあ、それも解るがな………さて論功行賞に入るぞ、まずはこの西羌兵三千人だが、お前らはどうも今は私兵を持つ事に興味が無さそうなので儂が貰うぞ、いいな?」


一同「異議な~し」


董卓「次に戦車千台と二千騎の馬だが、誰か欲しい者は?」


黄承彦「戦車の鉄の部品は俺が貰っていいっすか?色々と鍛冶で試したい事があるんで。それと貰った(すい)もくれませんかね?これらを合わせて董卓様専用の面白い(すい)を造ってみせますよ」


董卓「(わし)専用の面白い(すい)とな?よし、やってみるがいい黄承彦」


丁斐「じゃあ軍馬二千頭は僕が貰っていきますね」


董卓「うむっ、良きに計らえ」


丁斐「ヒャッホー!!乳牛と波斯豆(ピスタチオ)を持っていったら軍馬に化けたぞ!!これでウチの家業も更に軌道に乗るってものだ!バンザ~イ♫」


董卓「最後のこの『丹朱(たんしゅ)の囲碁盤』は今回の作戦の立案者の賈詡にあげたいが………」


賈詡「私は碁はやり慣れているので()りません、そこの夏侯惇殿の従兄弟さんにあげて下さい」


曹操「え?俺に……良いの?」


賈詡「あなたはいずれ、この中華の最重要人物になるという相が出ています、故にこの囲碁盤を譲りましょう、精々(せいぜい)この囲碁盤で戦略、戦術について精進なさって下さい」


曹操「では、遠慮無く」


こうして洛陽の帰路に着く、黄忠一行。その途上の野営中にて黄承彦が


西羌の戦車の鉄と貰った(すい)から本当に面白い武器を創り出した。


黄承彦「(すい)の球状の打撃部分の中を空洞にして、その中に小さな鉄の玉を入れた(すい)を創りました。その名も『摩羅華錘(まらかすい)一対(いっつい)』!!楽器としても使えて楽しいですよ、ちょうど両利きの董卓様にお似合いの武器になると思います」


チャッ♫チャッ♫チャッ♫チャッ♫チャッ♫チャッ♫


董卓「確かにこれは面白い武器だな!音楽の練習と同時に(すい)の戦闘用の使い方まで極める事が出来るとは、見事である!黄承彦」


そこに朝廷に報告にやった黄米が赤兎馬に乗って詔勅(しょうちょく)を伝えに来た。


黄米「みんな~、ちゃんと今回の事案は董卓様お一人の功として伝えておいたよ~、そしたら朝廷から『絹八千匹』を董卓様に下賜(かし)するという、詔勅が来ました」


董卓「その『絹八千匹』はお前にやろう、黄忠」


黄忠「え!良いのですか?凄い財産ですよ?」


董卓「(わし)はいずれ漢を支配する魔王となる(おとこ)よ、その時が来れば、たかが絹の八千匹など簡単に手に入るわ、ほれ、あの通り、お前の女房も嬉しそうだろう?」


黄米「『絹八千匹』と言えば義姉(ねえ)様(何思)が後宮に入れる交換条件ですわ!是非、貰っておきましょう、漢升様!!」


黄忠「では貰っておきます。董卓様はやはり大物になる器でいらっしゃいますね」


董卓「儂に仕えるか?黄忠」


黄忠「う~ん、どうしよっかな~?」


時に漢の建寧(けんねい)元年(西暦168年)十一月

黄忠漢升 二十一歳 未だ仕官先、決まらずであった。


黄忠「俺は何進と何思が出世してくれれば、今はそれでいいや」


【後漢の休日(2) 董卓、韓遂、賈詡、孫堅、夏侯惇と仲良く羌討伐♫・完】

今回の獲得品

丹朱(たんしゅ)の囲碁盤』(犀角(さいかく)象牙(ぞうげ)製)

摩羅華錘(まらかすい)』(楽器としても使える一対(いっつい)鉄錘(てっすい)

今回の習得技

長江源流滝ちょうこうソースウォーターウォール』(複数の騎馬によって鋒矢の陣で行う特攻戦法)

二挺連弩(にちょうれんど)』(董卓から伝授、両利きの者のみが扱える戦法)

今回登場の新武将

董卓仲穎(とうたく・ちゅうえい) 四十歳(西暦168年時点)五月十日生まれ 牡牛座

血液型O型 身長八尺強(185㎝)

好きな食べ物 牛肉

西涼の大物で特に対羌においては抜群の討伐力と交渉力を発揮する

装備

E 『摩羅華錘(まらかすい)』←NEW

E 『最胡(サイコ)の骨』


董卓の愛馬 『赤兎馬(せきとば)(牡馬の三歳馬)』

体高八尺三寸(192㎝)体重百二十五鈞(850㎏)

保法能(ほほうのう)と同じく歳を取らず食事も必要としない神馬(しんめ)

一日に二千五百里(1040㎞)を時速70kmで15時間走っても疲れないという

正に「馬中の赤兎」


韓遂文約(かんすい・ぶんやく) 二十五歳(西暦168年時点)八月二十九日生まれ 乙女座

血液型B型 身長七尺八寸(180㎝)

元の名は韓約(かんやく)

西涼の梟雄(きょうゆう)、後に潼関の戦いで曹操と対峙することになる


賈詡文和(かく・ぶんか) 二十二歳(西暦168年時点)十一月十一日生まれ 蠍座

血液型A型 身長七尺四寸(171㎝)

若くして「西涼の張良(ちょうりょう)陳平(ちんぺい)」と称される俊才軍師、しかし今は無官の身


孫堅文台(そんけん・ぶんだい) 十四歳(西暦168年時点)三月二日生まれ 魚座

血液型B型 身長八尺(184㎝)←成長中

古の孫子の子孫を自称する(おとこ)

しかし、その実力は本物で江南三人衆(黄蓋(こうがい)程普(ていふ)韓当(かんとう))を

一人で破った実績を持つ

後の呉国の始祖にして武烈(ぶれつ)皇帝の称号を与えられる

装備

E 『古錠刀(こていとう)

(孫子の子孫に代々伝わる、軍神・孫武(そんぶ)が持っていたとされる名刀)


夏侯惇元譲かこうとん・げんじょう 十五歳(西暦168年時点)八月九日生まれ 獅子座

血液型AB型 身長八尺一寸強(188㎝)股下四尺一寸(94㎝)

曹操の従兄弟(いとこ)(曹操の父、曹嵩(そうすう)の兄の息子)

曹操を称えており、曹操を侮辱する者は例え女であろうと斬り捨てる激しい性格

しかし、それ以外では極めて人格者で目上には厳しく、目下(めした)には優しい好漢

黄忠の嫁の黄米に気に入られているが、夏侯惇本人は

曹操を『短足ちゃん』と侮辱する黄米に(いきどお)っている


6100字以上の長丁場の小説を読んで頂き大変ありがとうございます。

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