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倭国の救世主 吉備津彦命

登場人物紹介

黄忠漢升こうちゅう・かんしょう 二十歳(西暦167年時点)十二月十九日生まれ 射手座 血液型AB型

身長八尺(184㎝)股下四尺弱(91㎝)

好きな食べ物 羊を使った料理全般、波斯豆(ピスタチオ)芭蕉(ばしょう)(バナナ)

好きな泳法 『海神泳法(ポセイドンスイミング)』(凄いスピードの立ち泳ぎ)

必殺技 『双安息射法ダブルパルティアンショット』(安息射法(パルティアンショット)が使える人との共同技)

海神特攻(ポセイドンチャージ)』(一撃で艦船に穴を空けるドルフィンダイブ)

飛翔安息十連箭射法ジャンピングパルティアンテンショット』(後ろ向きで馬上でジャンプしてからの矢の連射技)

『立ち十連箭(じゅうれんせん)』(その場に立っての超人的な速度の矢の連射技)

象鼻暴鞭刎(ぞうびぼうべんふん)』(暴れた巨象の鼻の如く大刀を振り回し首を刎ねる技)

角觝(かくてい)奥義『仏壇返し』(呼び戻し)

漢へ帰国したが、現在の漢帝を始めとした漢の体質に疑問を感じ、また旅に出る事になった

最近は髭が生え始めたので女と間違われる事が少なくなった

装備

E 『象鼻刀(ぞうびとう)』(隕鉄製)

E 『火浣布被藤甲鎧かかんぷコーティングとうこうがい

E 『阿爾特弥斯女神弓(アルテミスのゆみ)』(兀突骨の乗っていた象の部位で製作)

E 『イージスの楯』(表が白金(プラチナ)製、裏は木製)

E 『アテナの兜』(隕鉄製)

持ち物

プトレマイオス著『地理学』の写し

草薙剣(くさなぎのけん)』←NEW


愛馬『火浣布被保法能かかんぷカタフラクトほほうのう(牝馬の四歳馬)』

体高八尺(184cm)体重百十鈞(750㎏)

マルクス帝とルキウス帝から貰った馬で、旧人類の共通言語「ホモフォーノイ」を

話し、また大型の馬でありながら食事を必要とせず歳も取らない神馬(しんめ)

一日に三千百十里(約720㎞)を疲れ知らずに走る駿馬(しゅんめ)でもあり

全人類の言葉を訳せることから黄忠一行の旅の通訳にして相談役でもある


所有楼船『波塞冬号(ポセイドンごう)』造船指揮 黄承彦 船体二十七丈(62.3m) 積載量一万八千五百(せき)(500t)船体中央前部に羅馬(ローマ)式カタパルト付き投石器『回転式オナガー(黄承彦・改)』搭載 船体前部に『黄承彦製・連弩砲』十台搭載 船首に波塞冬(ポセイドン)の彫刻のレリーフ(黄承彦・製作)が付属


黄米(こうまい) 十四歳(西暦167年時点)十二月二日生まれ 射手座 血液型O型

身長 六尺五寸強(151㎝) 股下 三尺二寸強(75㎝)

必殺技

体術奥義『狐円延髄斬(こえんえんずいぎ)り』

忍術奥義『影縫(かげぬ)いの術』

黄忠の伴侶となった倭国の女志能備(しのび)、旧名(よね)、若くしてありとあらゆる

志能備の術をマスターし、黄忠を影で支える忍者(ニンジャ)となる

周囲が(うらや)むほど黄忠とイチャラブしているが当人達は気にしてない

同性愛の気はないが女子をも(たぶら)かせる房中術も極めている

後に黄叙(こうじょ)を産み、何思の政争の裏で暗躍する

細身で痩せているが、一日九食は食べる大喰いなのに

胸以外に肉が付かない、かなり変わった体質の持ち主


黄承彦(こう・しょうげん) 二十六歳(西暦167年時点)五月三十日生まれ 双子座 血液型O型

身長七尺七寸(177㎝)

好きな食べ物 天竺(インド)で食べたカレー

貴霜(クシャーナ)で食べたナンカレーも秘かに気に入っている

利き手 左利き

黄忠達と共に漢へ帰国して同じく今の後漢に失望中

自他共に認める『工神』にして黄忠の叔父(黄忠の父の弟)鍛冶、兵器、建築の

知識の吸収の為なら手段を選ばないマッドサイエンティスト

後の世の黄月英の父であり、鍛冶師蒲元(ほげん)の師匠となる

装備

E 『ヘパイストスの鎚』


華陀(旉)元化(かだ・げんか) 四十八歳(西暦167年時点)二月三日生まれ 水瓶座 血液型B型

身長七尺二寸(166㎝)

言わずと知れた後の医聖。外科手術と(はり)治療の名人


張機仲景(ちょうき・ちゅうけい) 十八歳(西暦167年時点)十月一日生まれ 天秤座 血液型B型

身長七尺(162㎝)

華陀と同じく後に医聖と称される若き医者、血液型を発見して、それによる輸血を実現した

他にも各種の漢方薬や香辛料の調合の達人でもあり、カルテ(診療録)の始祖

持ち物

貴霜(クシャーナ)の三智人、チャラカから貰った書きかけの医学書『チャラカ・サンヒター』


芭壇(バダン) 十九歳(西暦167年時点)五月三日生まれ 牡牛座 血液型B型

身長八尺七寸(200㎝)股下四尺四寸強(102㎝)

好きな食べ物、芭蕉(ばしょう)(バナナ)

婆羅洲(プ・ルオ・チュン)(シンガポール)の英雄だったが天竺の格闘大会で

黄忠に敗れた後に、黄忠の副将として付き従う、人並み外れた怪力の持ち主で

角觝(かくてい)(相撲)四十八手の使い手


何進遂高(かしん・すいこう) 二十歳(西暦167年時点)四月十日生まれ 牡羊座 血液型A型

身長七尺五寸(173㎝)

自らの立身出世に生涯を捧げる事を誓った(おとこ)

出世の機を常に伺っている


何思(かし) 十六歳(西暦167年時点)四月十五日生まれ 牡羊座 血液型AB型

身長七尺一寸(164㎝)股下三尺六寸弱(82cm)

モデル顔負けのスタイルを誇る何進の異母妹

異母兄の何進と共に皇后になろうという野心を持つ、黄忠が大好き

そして百合っ気(ゆりっけ)が有る


盧植子幹(ろしょく・しかん) 四十七歳(西暦167年時点)十月二十七日生まれ 蠍座 血液型B型

身長八尺五寸(196㎝)股下四尺三寸強(100㎝)

必殺技『世界樹伐採牙撃ユグドラシルスラッシュ

漢の大儒学者にして豪傑をも兼任する儒将、党錮の禁で暇になり黄忠一行に加わる

装備

E『ニーズヘッグの(まさかり)


黄蓋公覆(こうがい・こうふく) 二十一歳(西暦167年時点)二月一日生まれ 水瓶座 血液型AB型

身長八尺一寸(187㎝)

必殺技『百鞭削岩打(ひゃくべんさくがんだ)』(固有)

江南激流衝撃波こうなんジェットストリームウェーブ』(但し、程普と韓当との共同技)

海神特攻(ポセイドンチャージ)』(黄忠直伝)

後に孫家三代に仕える宿将の一人、現在は仕える主君を探して程普、韓当の悪友たちとつるんでいるが武者修業の為に黄忠一行に加わった

装備

E『鉄鞭(てつべん)


程普徳謀(ていふ・とくぼう) 二十歳(西暦167年時点)二月二日生まれ 水瓶座 血液型O型

身長八尺弱(183㎝)

必殺技『海蛇畝舞(かいじゃぼうぶ)』(固有)

江南激流衝撃波こうなんジェットストリームウェーブ』(但し、黄蓋と韓当との共同技)

海神特攻(ポセイドンチャージ)』(黄忠直伝)

後に孫家三代に仕える宿将の一人、現在は仕える主君を探して黄蓋、韓当の悪友たちとつるんでいるが武者修業の為に黄忠一行に加わった

装備

E『鉄脊蛇矛(てっせきじゃぼう)』(←海神鉾(ポセイドンのほこ)を黄承彦から改鋳して貰った)


韓当義公(かんとう・ぎこう) 十九歳(西暦167年時点)二月三日生まれ 水瓶座 血液型A型

身長七尺九寸(182㎝)

必殺技『鬼虎断裂波(きこだんれつは)』(固有)

江南激流衝撃波こうなんジェットストリームウェーブ』(但し、黄蓋と程普との共同技)

海神特攻(ポセイドンチャージ)』(黄忠直伝)

後に孫家三代に仕える宿将の一人、現在は仕える主君を探して黄蓋、程普の悪友たちとつるんでいるが武者修業の為に黄忠一行に加わった

装備

E『魏武王常所用挌虎大刀ぎぶおうじょうしょようかくこだいとう』(←後に曹操愛用の刀となる)


曹操孟徳(そうそう・もうとく) 十三歳(西暦167年時点)十二月二十七日生まれ 山羊座 血液型A型

幼名 阿瞞(あまん)

身長 六尺六寸(153cm)股下 二尺九寸(67㎝)

かなり生意気なガキだが、その聡明さと知力と武力は本物、後学の為に黄忠一行に加わる

E『魏武王常所用挌虎短矛ぎぶおうじょうしょようかくこたんぽう


劉表景升りゅうひょう・けいしょう二十六歳(西暦167年時点)九月二十九日生まれ 天秤座 血液型O型

身長 八尺強(185㎝)

優柔不断だが『八俊』と称される若き儒者、党錮の禁で暇になり盧植と共に黄忠一行に加わる

儒者としては盧植に、謀略家としては曹操に出番を取られ、少し焦っている

時に(かん)延熹(えんき)十年(西暦167年)四月


黄忠一行は倭国に留まり続けていた。


(かん)に戻っても党錮(とうこ)(きん)政争での清流派の敗北によって


宦官がのさばり


皆、(くに)ではやる事が無かったのである。


博多で芭壇は四十八手の角觝(かくてい)奥義を相撲(すもう)の基本形として男達に教え


黄承彦はたたら製鉄を始めとした鍛冶等の技術を現地の鍛冶師に教え


華陀と張仲景は医術を(まじな)い師達に教え


盧植と劉表は私塾を作り、倭国の老若男女に儒教を教えていた。


盧植「いやあ、ここ(倭国)の人々は素直で、よく儒学を吸収してくれるな。」


劉表「全くです、教え甲斐があります。この倭国を新たな儒学の新天地にしたいくらいですよ!(かん)に戻ったら私は荊州(けいしゅう)を学問の都にして中華全ての賢者を呼び寄せて、この倭国にもその賢者を派遣して見せますよ。」


曹操「劉表は(まさ)に『治世の能臣』だな、俺と同じだ。だが乱世では通用しねえな!乱世になったら、その賢者の都は俺に統治されるだろうな。」


劉表「相変わらずの大口叩きだな(笑)そういう君は例えば(かん)が本格的な乱世になったら何になるのだ、阿瞞(あまん)?」


曹操「フフフ、我が天に背こうとも、天が我に背くこと無からしめん!とだけ言っておくぜ。」


劉表「それってトンデモない人格破綻者ってことじゃないか?それにしてもお前、よりにもよって須佐之男(すさのお)の嫁に手を出して(はら)ませるなんて絶倫もいいとこだなあ………」


曹操「華陀と張仲景の二人の名医が居たから、すぐに判明して良かったよ。俺は人妻が大好きなんでな!黄忠の所の女になった(よね)…今は黄米(こうまい)だっけ?アイツはすっかり黄忠にお(ねつ)みたいで俺にツンケンしやがる。その割にはあの夫婦、夜の営みはサッパリみたいだが()いのか?あれで」


盧植「ホッホッホ、夫婦の営みは人それぞれだよ。君にも今に解るさ阿瞞(あまん)、それで倭国(ここ)で子供を作って君は何がしたいのかな?」


曹操「俺はいずれ(かん)の天下を取る!そしてここ(倭国)に遺した子供には倭国の王となって、この国を支配して貰って、その後に『親漢倭王(しんかんわおう)』として、この国を中華圏に組み入れるのさ!どうだ、凄い計画だろ!?」


劉表「そんな事、(かん)から遠く離れたこの倭国だから言える事だな(笑)本土に戻ったら絶対に言うなよ阿瞞(あまん)、清流派だろうが濁流派だろうが誰彼問わず殺されるぞ。」


一方その頃、黄忠と黄米はというと………


保法能(ほほうのう)の上に二人で跨りながら今後について話していた。


須佐之男(すさのお)につけられた胸の傷もほぼ治っていた。


黄忠「え?『草薙剣(くさなぎのけん)』以外にもまだ宝があるって?」


黄米「はい、一つは『蝦夷(えみし)』という北国に有る『八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)』と、『鬼ヶ島』という東の海の孤島に有る『八咫鏡(ヤタノカガミ)』です。その三つを揃えた者が倭国の統治者の資格を得ると古くからこの倭国に伝わっています。」


黄忠「じゃあ、その残りの二つの宝を探しに行くか。これから生まれる曹操の子を王にするためにも!」


黄米「漢升様はあの生意気の()(ごと)を本気にしているのですか?生まれる前の自分の子供を倭国の王にするなどという阿瞞(あまん)の馬鹿げた計画を。」


黄忠「馬鹿げた計画でも実現してみせるのが(おとこ)って者さ!勿論ここの(おとこ)達も負けないくらい立派な連中だけどな。」


黄蓋「おいコラ!イチャイチャ夫妻!話は聞かせて貰ったぜ!」


程普「その二つの宝探しに我々も同行させてくれ。」


韓当「我々が加われば万人力よ!鬼だろうが妖怪だろうが、この大刀で一刀両断だ!」


黄米「ちょうど東の海の四国という場所の更に東の孤島の女木島(めぎじま)が通称鬼ヶ島(おにがしま)と呼ばれ、その島にはその名の通り鬼が集って伊勢神宮(いせのじんぐう)から奪った八咫鏡(ヤタノカガミ)を宝物庫にしまっていると志能備(しのび)仲間から聞いています。」


黄忠「そこまで情報を掴んでいるなんて…君の情報網の広さには驚かされるよ。」


黄米「これくらい志能備なら当然ですわ!」


黄忠「今度から漢語ではその志能備を忍ぶ者と書いて忍者(ニンジャ)と呼ぼうか?」


程普「忍ぶ者でニンジャか?そりゃ~良い響きだな!ハハハハハ!!」


黄米「忍者(ニンジャ)……素晴らしい呼び名です、流石は漢升様❤」


保法能「ちょっと…馬の上でイチャつかないで下さい、お二人様…」


黄米「ただ、情報の中にはあの自称須佐之男(すさのお)に『草薙剣(くさなぎのけん)』を渡して自分を須佐之男自身だと(たぶら)かしたという『さじ・げんほー』なる大陸を荒らし回っている方士(ほうし)が鬼ヶ島で鬼を操っているとも聞きます。」


黄忠「さじ・げんほー!?左慈元放の事か!!よりにもよってユリウス十世だけでなく東方でも人を(そそのか)していたのか!なんという奴だ!」


黄米「ご存知なのですか?」


黄忠は妻に西方ローマでの冒険の経緯(いきさつ)を話した。


黄米「遥かローマ……行ってみたいですわ❤漢升様の女神の彫刻もさぞお美しかったでしょうね❤」


黄忠「君ならギリシャ彫刻の良い原型になれると思うよ………(よね)。」


韓当「こりゃ!このおしどり夫婦!いちいち見せつけるな!見てるこっちが恥ずかしくなるわ!」


黄蓋「ならば我々五人だけで、その『鬼ヶ島』に行って鬼退治と洒落込むか?華陀と張仲景の医者達が出張(でば)るまでも無いだろうし、船は波塞冬号(ポセイドンごう)を使うまでもなかろう。小舟が三艘ほどあれば充分だろう」


黄忠、黄米、保法能、黄蓋、程普、韓当の五人と一頭は鬼ヶ島に向かった。


羅針盤(らしんばん)の『指南魚(しなんぎょ)』と黄米の地理勘を頼りに


現在の香川県の女木島こと『鬼ヶ島』に到着した。


鬼ヶ島に到着すると早速、赤い十尺(231㎝)以上の大男が姿を現した。


黄忠「体が赤黒い!?ゴットコーと同じアギシュムバ(アフリカ中部)に居た人間たちか!それがここ(倭国)では鬼と勘違いされていたのか!」


構える黄忠一行、だがその赤い大男には交戦の意志は見えない。


大男「島の洞窟にお入り下さい、我が主は貴公らを歓迎します。」


洞窟の中を通る一行、そしてその奥には小柄な方士らしき老人の姿が見えた。


左慈元放「ほう、君たちが須佐之男と八俟遠呂智(やまたのおろち)を倒したという黄忠一行か」


黄忠「貴様が噂の左慈元放だな。世界中の人間を誑かして、貴様は一体何がしたいのだ!?」


左慈「ただの暇潰しじゃよ。なにぶん(わし)は死ぬ事が出来ぬ身でな、日々を道楽して過ごしておる。」


黄忠「道楽にしてはやりすぎだ!どれだけ現地の人々に迷惑をかけてきたと思ってるんだ!」


左慈「ふふっ、寿命の有る者には無い者の気持ちは解るまい。」


黄忠「何を言っても無駄のようだな、ならば力付くでお前らを退治させて貰うぞ!」


左慈「まあ待て、どうせ戦うなら座興を設けたい。五人対五人の総当り戦で決着を着けようぞ。こちらが勝っても別に何も要らぬ。そっちが勝ったら八咫鏡(ヤタノカガミ)を譲り、この鬼ヶ島から立ち退いてやるぞ。」


こうして鬼ヶ島の広い場所に出た黄忠達と左慈が率いる鬼(アフリカ人)達が


対峙した。


敵は小漢(こおとこ)の左慈以外の四人は全員十尺(231㎝)を超える大男揃い。


しかし黄忠たちは全く気後れせずに立ち向かって行った。


大男の金棒の攻撃を鉄鞭(てつべん)で受け止める黄蓋。


黄蓋「くう~っ!なんて馬鹿力じゃ!力自慢の俺でもこれは分が悪いわ!」


程普「敵も分散しているから、我らが必殺戦法『江南激流衝撃波こうなんげきりゅうしょうげきは』も使えん、どうすればいい?」


黄米「鬼の対処の仕方はあたいが心得ています!皆さんはあたいの攻撃の後に"あの"個人の必殺戦法で鬼を倒して下さい!!」


そう言うと黄米は刃先に桃の花が突き刺さった苦無(クナイ)を大男達の影に突き刺した。


すると大男達は(たちま)ちのうちにその場から動けなくなってしまった。


鬼は桃に弱いという弱点を突いた足止め術であった。


黄米「これぞ我が秘伝『影縫いの術』❗❗❗皆さん、今です!!」


黄蓋「(よね)ちゃん!流石だのう!!ならば俺も負けてられん!!行くぞ!必殺!!『百鞭削岩打(ひゃくべんさくがんだ)』❗❗❗❗❗」


この必殺技は『鉄鞭』で百個もの岩でさえも一気に削岩する威力の鞭打(べんだ)


黄蓋の前に居た敵の大男はこれをまともに喰らってしまい一片の肉塊と化した。


程普「公覆に負けてられるか!我が必殺奥義を喰らえ!!『海蛇畝舞(かいじゃぼうぶ)』❗❗❗❗❗」


海蛇畝舞(かいじゃぼうぶ)』とは海蛇(ウミヘビ)(うね)るように


敵の周囲を舞いながら斬突撃を浴びせる鉄脊蛇矛(てっせきじゃぼう)の特性を120%利用した技で


これをまともに喰らった敵の大男も四散五裂(しさんごれつ)に飛び散った。


韓当「公覆、徳謀!やるな~!!ならば俺も!必殺『鬼虎断裂波(きこだんれつは)』❗❗❗❗❗」


鬼虎断裂波(きこだんれつは)』は虎をも一刀両断にする韓当の得物


魏武王常所用挌虎大刀ぎぶおうじょうしょようかくこだいとう』を音速のスピードで


水平に振り回すことによって発生するソニック・ブーム現象を応用した技で


これをまともに喰らった敵の大男も胴体と脚が真っ二(まっぷた)つに分かれた。


黄忠「みんな強くなってるな!俺だって!!行くぞ!!!『象鼻暴鞭刎(ぞうびぼうべんふん)』❗❗❗❗❗」


四人目の大男の首も黄忠の必殺技でキレイに()ねられてしまい


残すは左慈元放ただ一人となった。


黄米「漢升様!流石です!!皆様も凄いです!!!」


左慈「ほう、やるな……ここは儂の負けじゃ。八咫鏡(ヤタノカガミ)はそこに有る、好きに持っていけ。但し!最後の三種の神器『八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)』が欲しければ蝦夷(えみし)まで来い!そこで再びお前達を待っているぞ!フハハハハハ!!!」


そう言って左慈元放は自らが呼んだ霧の中に消えていった。


黄米「まさか蝦夷(えみし)まで来いだなんて………あそこは"一人で百人を相手に出来る猛者"が集うと言われる倭国でも最北端の僻地」


程普「つまり、ここの鬼共よりも更に強い奴らが居る場所という事か………」


鬼ヶ島を出て倭国本土へ渡る黄忠一行、しかし、その(おか)で出迎えていた


岡山の倭人の人々は見事、鬼退治を成し遂げた黄忠一行を一斉に称えた。


岡山の倭人A「あなた方は、あの鬼ヶ島の鬼どもを退治した吉備津彦命(きびつひこのみこと)そのものじゃ!吉備津彦命様御一行、バンザーイ!!」


岡山の倭人B「そこの大きな刀を持った大きな人!それこそが(いにしえ)の吉備津彦命が持ったという大太刀(おおだち)じゃな?」


韓当「いや、これは無銘の太刀で此処(ここ)の伝説とは………」


黄蓋「そういう事にしておいた方が(まとま)りが良さそうだぞ、義公……」


韓当「………その通り!これはかの吉備津彦命が所有した大太刀である!!天命により、中華大陸の勇者である、この韓義公が天帝より預かった品である!これを持って、此処の鬼を退治した次第である!!」


「おお~!!吉備津彦命より遣わされた大陸の勇者『かんぎこう』様バンザ~イ!!」


岡山の倭人たちから一斉に歓声の声が上がる。


そこに見慣れた巨船が姿を現した『波塞冬号(ポセイドンごう)』である。


曹操「お~い!何やら俺達抜きで面白い事してるみたいじゃねえか!俺達も混ぜろや。」


そこには曹操を始めとした黄忠一行の全員が乗っていた。


黄米により左慈と三種の神器の事情を聞いた曹操達は喜び勇んだ。


曹操「面白えな!その左慈ってジジイは俺がコテンパンにしてやるぜ!今度、産まれる俺の子に良い武勇伝を聞かせてやる!」


黄米「はあ~……蝦夷(えみし)猛者(もさ)たちはアンタが思っているほど、甘くはないわよ!」


時に漢の永康(えいこう)元年(西暦167年)六月


黄忠漢升 二十歳の鬼退治であった。


黄忠「鬼と言ってもゴットコー(兀突骨(ごつとつこつ))に比べれば大した事は無かったな。蝦夷の猛者はどれほど強い奴らなんだろう………?」


【倭国の救世主、吉備津彦命(きびつひこのみこと)・完】

今回の獲得品

八咫鏡(ヤタノカガミ)

今回の習得技

黄米 忍術奥義『影縫(かげぬ)いの術』

黄蓋 鉄鞭技『百鞭削岩打(ひゃくべんさくがんだ)

程普 蛇矛技『海蛇畝舞(かいじゃぼうぶ)

韓当 大刀技『鬼虎断裂波(きこだんれつは)


今回も小説を読んで頂き大変ありがとうございます。

皆様の忌憚の無い、評価・いいね・ブックマーク登録・感想・イチオシレビューをお待ちしてます。

インスタグラムで『三国志美術館』を催しているので良ければ御覧下さい

https://www.instagram.com/kohata_toshihide/

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