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第八話

広場を通過して狭くなった洞窟を歩く、今度は二人分の横幅もなく天井も低めなので剣を振りかざすのは厳しそうである。しかし、杖スケルトンは先頭を青年に歩かせて囮にしているのは明白だった。弓と矢は杖スケルトンが持っている。


(絶対に危険があったら押しつけて逃げよう。こいつスケルトンを使い捨てにしてやがる!こいつもスケルトンなのに!)

この狭い洞窟で複数のワームに襲われたら結構危ない気がするので杖スケルトンを必ず囮にしようと決めていた。


(ソコ、マガレ)


片言ではあるが杖スケルトンの独り言?が聞こえてくる。どうやら、他のスケルトンを仲間にして武器を持たせて戦せるつもりらしい。先程のワームもおびき寄せて止めは自分で刺す予定だったようだ。

杖スケルトンの独り言を聞く限り、ラストアタックが魔素を取り込む要素みたいだ。


(分配じゃないならパーティー間で揉めそうだな、前衛じゃない人たちはほぼ魔素もらえなくない?魔物にパーティーって概念あるのかな?)


道中スケルトンに出会うと仲間にした。驚いたことに従順に言うことを聞いている。そいつに弓を持たせて歩く。

少し洞窟が広くなったので剣を振るのに問題はなさそうである。


道中、小さいワームが壁から飛び出してきた。青年ではなく弓スケルトンを狙って出てきたのだ。気が付いていたが、狙いは自分じゃないので無視した。

頭にハヤク、コロセと響く、ポンコツを装って弓スケルトンごとワームを切り付ける、上手く剣を扱えないのでほぼ叩きつけるが正解だが


(スケルトン、コウゲキ、ヤメロ)

恐らく、怒っている気がする。

(怒るのもわかる。だが、弓持ちがいつか射ってきそうだったのでスケルトンと弓ごとワームを殺させていただきました。)


仲間ごとワームを殺したが、杖スケルトンは、青年を処分するつもりはないらしい。途中のスケルトンは仲間にすることなく倒してしまった。青年が胴体を壊して頭蓋骨を杖スケルトンの魔法で破壊するといった形である。もちろん光は青年には来ない。


(仲間にしないのはなんでだろう?武器持ってないから?...うーん?)


そんなことを考えていると広場に出た、さっきの広場より広くはないが充分に広い。ここでワームをおびき寄せるのだろうか。とりあえず、広場の中央辺りを歩けと言われたが嫌である。少し考えて、気配に反応があれば速攻退散するとして歩くことに決めた。


中央を歩いて数分、反応がきた。しかし下ではない上だ。すぐにスライムだと気が付いた青年はスライムが落ちてくる前に退避する。

避けた青年を見て少し驚いている(ようにみえる)杖スケルトンだったが気持ちを切り替えたのか火の球の魔法を放つ。ジュウゥ...と小さく音を立てるだけであまり効果のないようにみえる。


(あれ以外魔法使えないのだろううか?意味なくないか?撤退もありかな?)


頭には飛び込んで核を掴めと命令が来るがもちろんそんな命令は無視する。先程の戦闘は大きなワームがいて薄く引き伸ばされていた。反対側には炎の魔法があり、たまたま掴める位置に核があったに過ぎない。それでも肘部分まで腕を突っ込んだのだ。今、核を掴んだら全身溶かされて死んでしまう。丸ごと包まれても余裕があるほどこのスライムは大きい。


(戦略的撤退だ!無理すぎます!だからこそワーム狙いなんだろうな、あのスケルトン)


消化液を飛ばして来るので避けつつ後退しようとする幸いなことにスライム自体の動きは遅い。

一瞬、杖スケルトンと目があった。相変わらず暴言と困惑と命令を繰り返している。


(すまん、剣は貰って行くわ!)


とアイコンタクトしたつもりだったが、スライムを挟んで反対にいる杖スケルトンは悲しそうに見えた。自分を捨て駒にしていたので情などないと思ったがその目を見て考えが変わってしまった。動きは遅いが消化液を飛ばしてくるのでそれを避けつつ杖スケルトンの方に回り込む。運動能力は青年より低い様子で消化液を避けることに苦労していた。


(コッチ、クルナ、ワタシ、オトリ、チガウ)


見当違いも甚だしいがこの場で信じられるのは自分だけだ。気持ちもわかる。こちらに飛んでくる火の球を避けて杖スケルトンを抱える


(ナニ、ワタシ...)


(ワタシの後は困惑しているのか聞き取れないけど、抱えてみて思った通り軽い。スケルトンだからか俺の力が上がったからかこのままでも消化液を避けてることは不可能ではなさそう)


このとき、青年は勘違いしていた。スライムが上から降ってきた時点で一人ですぐ逃げるべきだった。運よく大きなスライムとワームに止めを刺せたにすぎないのに油断していたのだ。この狭い洞窟の中に何故、広場のような空間が存在しているのか理解しようとすらしていなかった。


気配を察知するのも意識を集中してこそだ。もちろん周りの警戒もしていたと言い訳はできる。しかし、大きなスライムにほぼ意識を集中していて気が付いた時には遅かった。


消化液を避けながら杖スケルトンを抱え退避しようとしたとき突然の地震、足が覚束なくなる。大きな気配を感じていたがスライムの下からだった。


ドゴォォォンン


スライムの周りに青年を軽く飲み込めるであろう大量のワームが現れたのだ。その数は10はくだらない。ワーム出現の衝撃で吹き飛ばされ体勢を崩す、ほとんどのワームはスライムへ殺到しているが、青年たちに向かってくるワームがいた。


(これ、避けられない...)


目の前に迫りくるワーム、反射的にか恐怖か杖スケルトンを強く抱き寄せた。ギョァァァ、ワームの奇声と共に飲み込まれた。


状況がイマイチつかめないが生きている。視界は光に溢れて訳が分からない。揺れているのか、ワームは移動しているみたいだった。

(身動きしにくい!意識はあるから頭は生きてるにしても他はわからん。自分の装備すら把握できない。レッサーのときより何かを持ってる感覚はあったけどこの状況じゃ剣使って中から斬るみたいなのは厳しいな)


(アシ、ダイジョウブ、النار،حرق)


(えっ...?)


瞬間、足元から光が刺すそしてドーンという音と共にギョウァァァのようなワームの悲鳴が聞こえた。

数回繰り返すと揺れは収まり視界は自分が放つ光のみとなって身動きが出来た。

(あれ?俺下半身なくない?左腕すらないんですけど!?)


状況を確認した青年は絶望する。肋骨から上はあるが下半身と左腕がなくなっていたのだ、杖スケルトンの火球が原因なのは考えるまでもない。


(死ぬ、死ぬ、死ぬ!!!このままじゃ戦うことすらままならない!完全に詰んだ...)


(攻撃するなよ)

流暢な言葉と共にワームの中から引きずられる青年。ワームの口は見事にぐちゃぐちゃで死んでいることは確実だった。杖スケルトンに右手を持たれてぶら下がる形になる。


(私の言葉がわかるのか?)

死にかけていて、唯一動く右手を持たれている状態の青年は全力で首を縦に振る。


(言葉が流暢になってる!頼む、助けてくれ!)

青年の声は届いていないようだが杖スケルトンは青年のことを背負う、右手で私の肋骨を掴んでおけと言われた。

剣はどうしたって?刺さっている、骨の間を通り肋骨に...自分でスケルトンから鞘に進化しました!と言ってみて虚しくなったのは内緒の話である。


(とりあえず、我々を食ったワームが新しく道を掘ったみたいだ。あの大量のワームがいるところに出なくて良かった。移動しながらいくつか質問をするYESなら歯を一回NOなら二回鳴らしてくれ)


一度歯を鳴らして意思表示をした。


(まず、君は生前の記憶はあるか?)

歯を二回鳴らす、いいえの意味だ。生前の記憶はあるっちゃあるが役に立つことは覚えていない...スケルトンになってからは顕著になって記憶が曖昧になっている。なのでここはいいえにした。


(何か魔法を使えるか?)

また、歯を二回鳴らす。使ってみたい!教えてください!!と思って見ても何も反応がない。何度も経験しているが会話のキャッチボール出来ないのは悲しい。そしてふと思う。


(あれ?俺、これとんでもなく無能じゃね?...剣盗む、仲間?のスケルトン倒す、情報も持ってなくて、魔法も使えない...俺の現状の存在価値は鞘としての価値のみ!?)


確実にお荷物状態なことに気が付いた青年は焦る。しかし、何もできない。無能である。


(いや、落ち着け俺!!俺にはこの洞窟で培った気配察知がある!!集中だ!!)


存在価値を証明する為、意気込むが杖スケルトンの質問が途絶えた。震える青年

(このままでは捨てられる...せめて五体満足で捨ててください...)


ワームが新しく掘った穴を抜け、広場に出たがスライムもワームの姿もなかった。すぐに広場から立ち去り、細い道へ入る。


しばらく歩くと青年の気配に反応があった。

(ここだ!)

歯を何度も鳴らす、警報代わりだ。鞘+警報=有益?などと考え泣きそうになる青年


(うるさい)

 泣いた

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