第五話
(えっ今の声何!!???進化??スケルトンですらなかったの俺??)
レッサースケルトンからスケルトンに進化したと女性の声がした。そして身体的にも変化が起きたことを青年は気が付く。
(目が見える!!淡い光は残っているけど目が見えてる!!!嬉しい!!!やっぱり洞窟にいるんだな俺…ん?)
青年がいたのは大きな洞窟のような場所だったそして、不意に上を見ると…
(ギャアアアア!!なにあれなにあれ!?!?全部スライム???)
洞窟の天井には大量のスライムが張り付いていた。これは上からの奇襲され放題である。淡い光しか見えなかった青年はゆっくり後退りながら天井にスライムがいない場所まで戻った。
(すごい数いた。むしろ数体しか奇襲に来なかったのが奇跡!目が見えないレッサースケルトンからしたらたまったもんじゃないよあれ、恐すぎる)
「…!…!」
目が見えたため、しゃべれるか試してみたが声は出ないらしい。残念に思いながらも喋る相手もいないので気にしないことにした。そして自分から鳴る骨の音が違うことに気が付いた。
(あれ?動いても骨の音しない…手を叩いてみたけどしっかり詰まった骨になってる!!もしかして、今なら走れたりしちゃう?)
死線を何度かくぐり抜けてテンションが下がりつつあった青年だが、進化というイベントと各種の身体機能向上に再びテンションを取り戻した。
(走れます!走れますぞ!!うおおお!)
テンションが上がり走りながらすれ違うレッサースケルトンにラリアットしていく、先程までは打ち所が悪ければ自分の骨も壊れていたが今は違う。壊れないのだ。むしろレッサースケルトンの骨を一方的に砕くことすらできる。
流石に調子乗りすぎると危険なことはわかっているので走るのをやめ、歩きに変える。大きな一本道の洞窟だと思っていたが所々に横穴のようなものがある。従来の視野を取り戻した青年は横穴を進べきかこの一本道を最後まで歩いてみるか悩んだ。
(うーん。現在地もわからんし、正直自分の初期位置すらわからない。一旦この洞窟を行き止まりまで行って脳内マッピングしていこうかな。同じ景色過ぎて絶対迷うけど…)
とりあえず、歩いて初期位置の方角にずっと歩くことを決める。頭上にスライムなし、視界が確保できて初めて気が付いたのはレッサースケルトンの数が多いことだった。
ほぼ全ては佇んでいる、所々で別のスケルトンを殴っている個体もいるが自害に等しい動きをしていた。
(これ、よく生きたな俺。今となってはスゲー弱く感じるから何体いてもいいんだが、そういえば淡い光は見えるけど光が俺に集まってくることなくなった?もしくは見えづらくなったか、微量過ぎるか。
進化したし格下を倒しても経験値が少ない、もしくは得られないのは当たり前か…)
歩いている道中、犬型のスケルトンもいたが今の青年にとっては取るに足らない存在だった。
早さでいえばレッサースケルトンの比ではないが、スケルトンとなった今、犬型のスケルトンに脅威は感じなかった。
(この犬型のスケルトンもレッサーなんだろうなぁ多分
たまに転けてるし、襲いかかって来なければ可愛いかもしれないな)
人型のスケルトンより犬型のスケルトンを倒してしまう方が少し心が痛む青年
(そういえばテンション上がって忘れてたけど進化したときのアナウンス的なのは何だったんだろうか?とりあえずあの声は女神と呼ぼう!わからんもんに悩んでる時間はない!!)
その後も前進を続けレッサースケルトンや犬型のスケルトンを倒して行く、しばらくすると天井に見覚えのあるものが点在し始めた。スライムである。しかし、どう見ても襲われた時のスライム程大きく無いようだった。
(キモいって天井に張り付くスライム、さっきよりはいないけどスライムの赤ちゃん?こっちはなんで小さいんだ??)
今は地面が見えるのでレッサースケルトンの骨を武器として拾い放題であるし、天井に張り付いたスライムも見えるので避けられると感じた青年は骨を1本天井に投げてみる。
(天井までは体感で8m~10mくらいかな?体育館の天井位のイメージはある。届け!俺の想い!!)
謎の想いを込めて投げた骨はカランといってただ天井に当たった。
何度か試してスライムに当たるも弾かれて終わる。そもそも天井まで届くのがギリギリなのだった。
(筋力ないなぁこの体。筋肉ないから当たり前なのか?
でも、動けてるしその内筋力もつくか!わからんけど!動く気配もないし上は警戒しつつ先に進もう!)
更に進むこと数十分、遂に壁に到着した。
(おお!達成感あるわーだいぶ歩いたし、でもこの行き止まりだけやけに光が強くないか?発光してるといっても過言ではないぞ?)
周りの壁は淡く光る程度だが明らかに行き止まりの壁だけ光が強い。ペチペチと触れて見たがそもそも感覚がないので壁との違いはわからなかった。
(うーん、隠し扉とか?俺の目は何か特別な物が見えてたりして?フッフッフッ!ならば!やるしかねぇ!)
何度も壁を殴ってみる、骨の一部で叩いてみる。しかし壁に隠し扉などなく全く手応えがなかった。
諦めて反対方面を進んでみようかと考えだしたとき、持っていた骨が中ほどから砕けた。
先端が鋭い棘の形となった骨だったが青年は興味を示すことなく、壁に背を向けて後ろの壁に骨を投げ捨てる。
本当にたまたまだったのか、青年が不幸なのか。投げた骨が壁に刺さった。
その瞬間である。
(グオオオオオォォォォォォ!!!!)
近くで爆音の声と地響きが起こった。青年は辺りを見渡す。
(今度はなんだ!!!)
天井の小さなスライムたちが落ちてくる。そこまで多くはないので当たりはしないがこの全てが襲い掛かって来たら一溜まりもない。一度スライムのいないところまで撤退しようと考えたとき
動いたのだ。光る壁がそして青年は恐ろしい光景を目の当たりにする。
(壁が動いて…えっ?こ、こんにちは…?)
高さ8m以上の壁は中心から8等分の線ができ、花びらのように開いた、中には二重構造のようピンクがかった花びらのようなものが見える。しかし注目すべきは壁より一回り小さいが円状にびっしりと歯が見える。地響きをあげながら少しずつ回転していく。
(やばい!!!やばい!!!これは過去一まずい!!光が強い?壁に隠し扉???ふざけんな!俺!!!バカでかいワームじゃねーか!!!)




