第十話
(魔法を教えると言ってもダンテはもう魔力に関しては扱っている。無意識にな)
(もしかして、この見えてる光が魔力だったりするのか?)
ずっと見えていた光、強い魔物ほど光の量が多くもしかして魔力なのでは?と思っていた。
(察しがいいな、そうだ我々は魔力で動いている。魔素を操り自分の中で魔力を生成するんだ。魔力に声を乗せることが出来れば念話になるぞ。まぁそんな簡単に出来たりしない。時間はあるゆっくりやっていこう。)
後半のレイの言葉は聞いていなかった。魔力、操れる、生成、この言葉を聞いて既に集中してしまった。
だってワクワクして仕方がない。もっと俺は強くなれる。
(ほへーこんな感じかー意識してみると出来るもんだな。さて生成ね。あ、声届いてる?)
意識して魔力を動かすことをしてみれば、実に簡単に魔力を動かすことが出来た。声を魔力に乗せてやってみたが上手く行っているだろうか。と少し思ったが、すぐに生成に取り掛かった。
(そうだ。私も魔力を認知、操作までだいぶかかった...は?声が聞こえている?念話がもう出来るのか?)
自分の思い描いた感想と真逆のことを言われ、念話まで届いたことで混乱した様子でダンテを見る。
ダンテ本人は生成に取り掛かっているのか、返事がなく今の声が現実か妄想か本気で悩んだ。
しばらくして
(ああ、悪い悪い。魔力生成に集中してて途中から話聞いてなかった。なんだって?)
レイの混乱に気が付いていないのか、無神経に念話で聞き返すダンテ、教えてすぐに実践してしまったダンテがすごいのか、レイがダメなのかわからず落ち込む。
でも私はマジックスケルトンだ。"マジック"がついている。ただのスケルトンより魔法に秀でているってことだろう?なんなんだこいつは!心の中で悪態付いて睨みつけるが幸いスケルトンの為、ダンテには表情がわからない。
(うるさい...)
今まで培ってきたダンテより自分が秀でていた部分を簡単に並ばれて出てきた最初に言葉がこれだった。
起きたら周り人骨、訳の分からない洞窟、死の恐怖。なんとか魔法を駆使して戦うすべを手に入れた。1年半とても暗くて苦しい時間だった。目の前の男はそれを簡単にやってのけ、悔しくて溜まらないのに、久しぶりの感情に嬉しくもあった。
(ええっ!?魔力込めすぎか?音量調整あるの?分からないごめん!)
(フフッ)
ただ、悔しくて出てきた言葉に怒るどころか慌てて謝り両手を合わせて必死に頭を下げるダンテを見て笑ってしまった。ああ、長い時間話し相手もおらず笑ったのなんていつぶりだろうか。そんなことを思いながら必死に謝り慌てているダンテを眺めていた。
(すまない、そんなに謝らないでくれ。余りにも簡単に魔力を扱えているので悔しくて冷たくしてしまった。申し訳ない。)
(レイにも悔しいって感情あるのか~まぁいいけどー)
今まで念話での声以外は届いて来なかったが、初めて申し訳ないと楽しい?みたいな感情が流れてきた気がした。
でも、ちょっと酷いと思ったので不服な感情と共にレイに念話を送れば今度はレイが慌てていた。
そんなたわいもないやり取りを繰り返し、コホンとレイが仕切り直す。
(念話に感情が乗るというのも発見だな。うん。)
(うわっ自分のいじわるを簡単にまとめやがった!)
軽口が叩きあえる関係にダンテも楽しいと思う。レイは1年半もの間、独りでこのダンジョンにいたと考えれば自分が少しでもレイの心を救えたと思えて嬉しくなる。
(念話に怒りとか殺気とかの感情だけ乗せて相手に届ければ、威圧とか出来そうだな!)
(なるほど、確かに逆に恐怖などを無意識に届けてしまうといい的になりそうだから気をつけないとな。
因みに闇属性の魔力を念話に込めて使えば魔物を使役出来るぞ。)
(そうやってスケルトンを従えてたのか!スゲー!!俺もやりたい!)
スケルトンを従えていたレイの魔法を聞き、テンションが上がるダンテ。
(ダンテの適応能力で有耶無耶になってしまったが仕切り直して一から説明するぞ?魔法については私の体の元持ち主である手記に授業でも受けたような丁寧な説明があった。今度、文字も教えてやる。)
(冒険者って荒くれ者のイメージがあるけど丁寧にメモ取ってる奴なんているんだな)
レイから聞いた話は魔力の最小単位を魔素というらしい。魔素を取り込んで魔力に変える。
このとき、自分の適正属性の魔力を練り込むことで火や闇などの属性がつくそうだ。
属性魔法には無、火、水、風、雷、土、光、闇があるそう。
自分の適正以外の魔法は使えないが、魔術というものが存在するらしい。
魔道具も魔術の一種で基本的に魔法陣と呼ばれるものがあり、そこに魔力を流すことで発動するものである。
利便性の問題から魔術の浸透が盛んに行われているそうだ。
魔法は属性魔力生成、イメージの構築、発動、発射、など一から十までを全て行う為、魔術進歩が凄まじいらしい。
俺らには関係ないな、うん、そもそも魔法陣とかわかんし。手記にも魔法陣までは書いてなかったとのこと。
(魔法に関しては発動をある程度短縮する術もある。)
(え、そうなの?)
(呪文だ、ある程度イメージを固めて呪文を決める。固めすぎると自由が効かなくなるのでここが難しい。
私は何度か失敗している。)
(ああ、だから火の球ばっかり出してたのか!)
(あれは形状と速度を決めて魔力量で威力を調整出来るようにしてたんだ。魔力が少なくてスライムに無力だったが...)
(あの安全地帯に誘導も魔法?)
(いや、あれは魔術だ。魔道具に登録された魔力にのみ反応し、誘導してくれる。元の私は闇魔力を登録してしまったらしくて黒い煙が案内してくれる。)
(確かに!火の魔力の方が見やすくて良さそうなのに!魔法と魔術の区別、難しいな)
(元々は全て魔法から来てるからな。私も手記以外の知識はないし、分からないことも多い。魔物ではなく人間と対峙したときは魔術に気をつけるべきだな。)
(さて、じゃあダンテの適正魔法を調べるか。と言っても自分の中に感じるものがあるはずだ。
私は暗い闇と熱い火みたいな感覚だった。だいたい2~3個ほど適正魔法があるらしいぞ、さぁ集中してみろ)
(よっしゃ!俺も魔法デビュー!俺の適正は何かなー?)
ワクワクしていた。俺も火出したり、風で見えない斬撃、雷で切り付けざまに落雷とかやってみたい!
そんな思いを胸に集中した。
(...長いな、だいぶ集中している。)
手元の時計を確認して時間は30分は過ぎていた。
(ダンテ、おい、大丈夫か...?どんな適正だった?)
(.......ない)
(えっ?)
(何も感じない...)
悲しい感情が途轍もなく伝わってくる。
(...そそ、そんなに気にするな!うん!大丈夫!なぁ!無属性の魔法使えてるから!属性はほら進化して手に入るかもしれないし!)
(...うん...ソウダネ....)
ダメだ...悲しみで溢れている。元の肉体がある、なしで関係しているのだろうか?
(我々は魔物だ。人間じゃない。進化して強くなれる。ということはだ!進化して適正を手に入れることだってあるさ!だから今はイメトレだけしよう!な!)
(おれ...じんがずる...)
さっきまで、座禅を組んで集中していたのに今は体育座りで体を小さくして落ち込んでいる。というか泣いている。
励ましながらも完全に泣きながら話しているようにしか聞こえない念話にこいつ感情乗せるの上手い過ぎない?と思うレイだった。




