潜入!魔王城!
ラーフィアちゃんから届いた果たし状と魔王城への入場チケットを手に、俺達はいよいよ魔王城に潜入です!
入場チケットがある時点で潜入とは言わないんだろうけど、まあいーです!
中立の立場の女神様二人が同行って、なんかもう保護者同伴みたいなカンジですよ妄想勇者!
俺は気合いを入れる為に久々にゴスロリメイド服ver.2ですよ。
なんつってホントは持ってる服が少ないだけなんですけどねっ!
胸周りがちょっとキツイのは胸がサイズアップしちゃったからかな?
まあ成長の証ってコトですよ!
フィルフィーは相も変わらずジャージなのに対して、ペリメール様は真っ白なコジャレたワンピース。
麦わら帽子がめっちゃ似合っててドコのお嬢様ですかってカンジです!
その手には、手作りのお弁当が入った大きめのバスケットケース。
ピクニックか遠足かってなもんですよ。
なんなんですかね、この緊迫感の無さはっ!
「あの、ペリメール様……もしかしてフィルフィーとデート気分なんじゃないですかっ?」
「デデデデデデデデデデデデデートってっ!?そんなあっですわっ」
なんて言って真っ赤になっちゃうペリメール様。めっちゃカワイイですけども!
ああもう、そーですか。
なんか俺はオジャマ虫っぽいですよー。
ちょっと拗ねちゃいますよ男の娘!
妬けちゃいますよ男の娘!
フィルフィーは照れてるペリメール様に気づかないフリですよ。
「魔王城かあ。暴れ甲斐がありそうだなっ!」
照れ隠しなのか天然なのかわかんないけど、暴れちゃダメだろヤンキー女神っ!
◇
魔王城へは各駅停車のシャトルバスで向かいます。
なんで魔王城に向かってバスなんて出てるんだっ?異世界だからか?
なーんかこう、俺の中の異世界ファンタジー感をブチ壊してくれますよ、ことごとく!
コクロガネ区を離れると、乗客の様相が一変!
人間の乗客に混じって、エルフとかドワーフとかリザードマンとか!
これぞ異世界ファンタジー的なヒト達がフツーにバスに乗ってきます!
いわゆる亜人てヤツですよ!この世界に来て1年以上経ってるけど、初めて見たっ!
うおお、なんか感動ですよー!
ところが!
「よう、今日は日勤かい?」
「3連続で日勤、休みを挟んで3連続で夜勤な。夜勤はちょっとしんどいからなあ、日勤のみに変えてもらおうかと思ってんだけどよー」
「わかるわー。でも夜勤は金になるだろ?」
「それなんだよなあ。ウチはガキが3匹いるからなー。頑張るしかねーのかなあってな」
「なんだかんだでシアワセそうじゃねーかっ?」
「へへっ、まあな!」
なんていう会話をしてるのはリザードマンのお二人ですよ。リザードマンの子供の数え方ってソレでいいのかなっ?
エルフのお姉さんとドワーフのオジサンは仲が悪いのかめっちゃメンチ切り合ってます。
エルフとドワーフが不仲っていうのは、この世界でもそうみたいですよ!
光の玉がふわふわ浮いてると思ったら妖精だったり、ちっちゃいオジサンかと思ったらホビットだったりと、魔王城で働くヒト達は異世界ファンタジー感MAXですよ!
だがしかし!
ファンタジー世界の住人達がバスに揺られる光景っていうのは、端から見るとめっちゃシュール!
まあ男の娘の俺もその中の一員なんですけどねっ。
で。
バスに揺られる事、小一時間。
『次は終点~♪ 魔王城~♪ 魔王城~♪』
緊迫感の無い車内アナウンスで!
着いた着いたよ、着いちゃった!
到着しちゃったよ魔王城!
「フィルフィーさんっ着きましたよっ、ですわっ」
「んああ?あー、そう。ふわああ、あ~ああ、寝不足かなー」
なんつってフィルフィーは背伸びしながら大あくびですよ!
なんて呑気なんだヤンキー女神っ!
短い足でバスからとんっと降り立つと。
うおお魔王城!魔王城ですよー!
だって、看板出てますからね!
『おいでませ魔王城!』
ってね!
従業員のヒト達以外にも、一般人がぞろぞろと。カップルとか家族連れとか!
向こうに見えるあの団体さんは、まさかのツアー客かっ!?
ガイドのお姉さんが小旗を目印に誘導しちゃってますよ!
魔王城ってもしかして!
観光スポットとかテーマパーク的なアレなのかっ!?
でっかい観覧車までありますよっ?
何て言うかっ!
前世でもお城はあったけどさあ!
異世界の魔王城ってさあ!
もっとこう、人間が近寄れない暗雲立ち込める断崖絶壁に建ってたりするもんじゃないのかなあっ!?
俺の中の『異世界ファンタジー』は完全に崩壊ですよ。
なんかもう、なんでもアリな世界ですよー。
ん?
ふと壁に張られているポスターっぽいモノを見てみると。
『君の信念とは何だ!
魔王軍、魔王城では現在、人員募集中!
亜人も魔人も大歓迎!
明るく綺麗な職場環境。若年層から高齢層まで仲の良いスタッフ多数!』
なんじゃいコレ。
魔王城ってこんなカタチで人員募集してるのかっ。
まあ、色々な職種あるからねっ。なんでもアリならこれもアリなのかもねっ。
「あんれー?そこにいるのは俺の嫁ヒカリでねえがっ?久しぶりだなっすー!髪の毛伸ばしたんだべなー!よく似合っててめんこいなっすー!」
軽くカルチャーショックを受けてる俺に声をかけてきたのは清掃員のお兄さん。
ん?
この声と喋り方ってどっかで聞いたような?
「あんれー?俺の事忘れたってかー?ひどいなっすひどいなっすー!」
この声は聞き覚えがあるような?
って!
「……スズキさん!?黒竜王スズキさんじゃないですかっ?」
「おおっ!思い出してくれたみてえだなっすなー!俺の嫁ヒカリってば、バリめんこくなったっすなー!ぬはっ!ぬはっ!ぬははははははっ!」
このウルサイぬはぬは笑いは間違いなく黒竜王スズキさん!
作業ツナギ着てるからか、印象が全然違う!
「ちんころくってぐるぐるメガネの女の子なんちゃ珍しいでば、もすかすてと思ったらやっぱり俺の嫁ヒカリだったけやー!運命的再会だべなあ!いんやー!久し振りだなっすー!」
まさかの再会ですよ黒竜王スズキさん!
でも、早口でわあわあ言うもんだからほとんど聞き取れませんよっ。
作業ツナギ着てるから一瞬誰だかわかんなかったけど、やっぱり黒竜王スズキさん。相変わらずの見上げるほどの長身はウラヤマですよ!
て言うか、俺は男だって言ったのに、まだ女の子だって思い込んでるのかっ?
「スズキさん、ここで働いてるんですか?」
「おうっ。ヒカリに負けちまったからよーお、黒竜王は返上して下働きから出直しだべさー!ぬはっ!ぬはっ!ぬははははははっ!」
相変わらずぬはぬはウルサイですよスズキさん。
下働きから出直しって言う割りにはテンション高くて明るいんだなー。
「コイツって、ラミィにヤられた黒竜王か?」
「コイツ呼ばわりは失礼ですわよっ、フィルフィーさんっ」
「二人の女神様もお久しぶりでごぜんすなあ!その節はお世話になりましただなっすー!」
「あ?おう。あたしら別になんもしてないけどな」
「社交辞令でごぜんすよ女神様っ。ぬはっ!ぬはっ!ぬははははははっ!」
社交辞令って言っちゃうあたりがおバカさんですよスズキさん!
あと、ぬはぬはウルサイ!
「おはようございまぁすっ、スズキ君っ♪」
スズキさんとの思わぬ再会。そこに明るい挨拶の声とともに、たたたと駆けよって来たのは!
なななななななななんとっ!
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