ルルコちゃん復活に向けて!
てなワケで。
文字通り大魔王サマをシバき倒して、やって来ました『選択の部屋』!
白目をむいて仮死状態のルルコちゃんを背負って来ましたよ、なんだか懐かしい選択の部屋ですよー!
部屋全体が白く淡い光に包まれた不思議な空間は、初めて来た時と同じカンジ。
とっても幻想的ですよ。
イヤ、それよりも目を惹かれるのは、二人の女神サマの煌光神衣!
ドレスの袖とか裾からキラキラと零れる光の粒が、とってもビューティフルでマーベラスっ!
あと、ぷるぷるですよ、いろんなトコロがっっ!
ムハー!
「あー、やっぱりヒラヒラしてて落ち着かねーな、コレっ。光の粒はキレイなんだけどなっ」
色気もへったくれも無く、ばっさばっさとドレスをバタつせて遊ぶフィルフィーですよ。
ハイレベルなハズのドレスのありがたみが薄れちゃいますよっ!
「お久しぶりの、お選択の部屋ですわね、ヒカリ様っ」
あの、ペリメール様っ?
なんでも『お』を付ければいいってもんじゃナイですよっ。
別の意味に聞こえちゃいますからねっ。
真っ白な空間にはベッドも何も無いから、とりあえずルルコちゃんを床に寝かせますよ。っと。
「それで、これからどうするの、フィルフィー?」
「ああん? 知りたいのか? 知りたいのかっ? 知りてーだろーなー。教えてやんよ、しょーがねーなあ、もうっ」
なんつってドヤ顔ですよ、ヤンキー女神。
もったいぶらずに話を進めなさいよねっ!
「とにかく、ルルコの息を吹き返す。そんでもって、元の姿に戻すんだ」
「元の姿? って、リセットのコト?」
「おうっ。わかってるじゃねーか、ヒカリっ」
「でも、リセットの権利って転生させた女神様しか持ってないんじゃ……って。んっ? えっ……もしかしてっ!?」
「オマエの父ちゃんと母ちゃんを転生させたのは、あたしだって知ってるよな?
母ちゃんの腹ん中にいた赤ん坊は、ルルコだってコトはわかるだろ?」
「あっ……!!」
それって、つまり!
「フィルフィーがルルコちゃんをリセット出来る権利を持ってるってコトっ!?」
「おうっ、その通りでいっ! バッチこいだぜ、ヒカリっ!」
なななんとっ!
ルルコちゃんと無関係じゃ無いって言ってたのは、そう言うコトだったのかっっ!
これにはビックリ仰天です!
「確かにあたしはルルコをリセット出来る。
でも、あたしの力だけじゃ足りないんだよ。なんせ、ルルコは大魔王の影響を受けちゃったからなっ。そこでオマエの出番、ってワケだ」
そう言えば、ルルコを救うにはオマエが必要だ、って言ってたっけ。
「それで、ボクは何をすればいいのっ?」
「特に何もしなくていいぞ」
「えっ?」
「転生したこの世界じゃ、ヒカリとルルコは血は繋がって無い。けど、間違いなく『魂の質』が近い兄妹だ」
「魂の質……?」
「近親者であれば、血肉が無くても魂は繋がっている。とも言われているのですわっ。このような状況では、魂の質が近ければ近いほど良いのですわっ」
ペリメール様の補足説明で納得ですよ。
だから、兄の俺が必要ってコトですか。
「前の世界でオマエ達一家は死んじゃっただろ? そんでもって、この世界に来た。別の選択肢もあったのに、家族全員が、だ。何の因果か運命か、ってヤツだなっっ」
別の選択肢。
それって確か『天に召される』とか『成仏する』とかそんなのだったような。
俺は、異世界で第二の人生を満喫したくて転生した。
でも、フィルフィーが俺の願いを無視して、男の娘の姿にされちゃって……
始めは、なんてこったいとか思ってたけど、結果的には楽しくやれてるんだよなー。
もし、俺の願い通りにイケメン勇者になってたら……ラーフィアちゃん達と出会うコトも無かったのかな?
全く違う人生だったりしたのかな?
男の娘勇者って時点で、全く違う人生なコトに変わりは無いけども。
「オマエは何もしなくていい。ただ。勇者としてのチカラを吸い取らせてもらう」
「えっっ!? なんでっ!?」
「言っただろーが。あたしの力だけじゃ足りねーんだよっ。勇者のチカラをプラスして、ルルコを目覚めさせるんだよっ。リセットはそれからだっ」
「勇者のチカラを吸い取る、ってどうやってっ?」
「んーなもん、チューに決まってるだろーが」
なっ! なっ!
なんですとっっ!? チューですとっっ!?
「フィルフィーは結婚してるのにっ!? 女神サマが、ふっ、不倫しちゃダメなんじゃないのっ!?」
「不倫じゃねーわっ。話がぶっ飛び過ぎだっ。
チューっつっても、口じゃなくてもいーんだよっ。額から吸い取れるからなっ。ナニ期待してやがんでい、スケベエがっっ」
「えっ、イヤ、だって、チューっていうからっ」
額とは言え、チューなんてしたら、ペリメール様がヤキモチ妬いちゃうんじゃないのかなっ? ダイジョブかなっ?
と、チラッとペリメール様を見てみるとなんとっ!
目に涙を浮かべて、ぷうっと、ほっぺた膨らましてるじゃないですかっ。しかも小刻みにプルプル震えてるし!
額にチューするだけなのに妬いちゃうって、どんだけフィルフィーのコトが好きなんデスカネっ!
「ふぃふぃふぃっ、フィルフィーしゃんが浮気をっっ、ですわんっっ!」
「なんっでだよっ。これは人命救助だからなっ。ちゃんと善行ポイントも入るんだからなっっ」
「本当にっっ? ですわんっっ」
「あたしがペリ子にウソついたコトなんてねーだろっ?」
ぐいっ! と、ペリメール様の細い腰を抱き寄せるフィルフィーですよ。
ペリメール様の目が♡《ハート》になっちゃってますよー。
「ふぃっ、フィルフィーしゃんっっ……♡」
「ったく。しょーがねえヤツだなっ」
なんつって、じっと見つめ合っちゃう二人ですよ。こんなとこまで来てナニやってんですかね、この新婚バカップルはっっ。
と、いきなり、唐突、突然にっ!
ぼぼぼんっ! と真っ白いスモークが発生っ!
一瞬でなーんも見えなくなっちゃったっ!
「あー、来た来た。待っとったよ、皆の衆。げっほげっほ、ごほんっ」
咳き込みながらモクモクスモークから現れたのは、なななんとっ!
神様店長っ!
来た来たって、俺達より後に来てからナニ言ってんですかねっ?
「神様店長っ? なんでここにっ?」
「んお? ワシ、ここの管理人じゃから。バイトじゃけどな。ほっほっほっ」
神様なのにバイトってマジですか。
ファミレスの店長しながらバイトまでするなんて、いったいどんだけ働いてるんデスカネっ。
「ワシは見届け人として来たんじゃよ。ヒカリちゃんの時もおったじゃろ?」
そう言えば居たような。
なるほど、見届け人ですか。その辺は、ちゃんと神様としての役割を果たしてるってコトなのかな?
「別に来なくたってよかったんじゃないっすかー? おとっ……神様っ」
むむ? フィルフィーったら、今『おとっつぁん』って言いそうになったよねっ?
ツッコまないけど!
「フィルフィーマートは、その白目むいとる娘っこを救う為に来たんじゃろ? だったら、見物、もとい見届けるのが神として当然じゃからのう」
見物って言っちゃいましたよ、神様がっっ。
ちょっと不謹慎なんじゃないデスカネっ。
バチが当たっちゃうんじゃないデスカネっ。
「えー、では、続きまして。ここで、ヒカリちゃんにサプライズゲストをご紹介したいと、おー、思いまする」
「えっ? ボクにっ?」
「うむ。あー、ほいっ!」
神様店長が、ふしくれだった指をパチン! と鳴らすと、ぼぼんっ! と、またまた真っ白いスモークがっ!
ふわふわのもっくもくなケムリの中から現れたのは、なななんとっっ!
「おっ! 久しぶりだな、ヒカリっ!」
「やっほー♪ ヒカくんっ♪」
「……父さんっ!? 母さんっ!?」
「大事な用事があるって神様に言われてたんだよ、ヒカリっ!」
「あらあら、まあまあ! 1年前より、うんと可愛くなっちゃってるじゃないの、ヒカくんっ!」
クロジョで会って以来ですよ、お久しぶりの父と母っ!
ぼんきゅっぼんのナイスボディーなお姉さんの姿の父さんと、ムキムキマッチョで爽やか青年な姿の母さんですよー!
うーん、ややこしいっ!
でも、これはマジでサプライズ! 感動の再会ってヤツですよー!
と、思いきやっ!
「ルルちゃんっっ!」
「ルルコっっ!」
俺との再会、そっちのけ!
二人して、すてててっとルルコちゃんの元に駆け寄ってっちゃいましたよー!
まあ、ねっ! そうデスヨネっ!
こっちの世界で産んだ子供の方が大事デスヨネっっ。べっ、別に拗ねてなんてナイんだからねっっ!
って……父さんて、今は女の人なんだよな……
と言うコトは。
父さんがルルコちゃんを産んだ事になるのかー。
むむむ。
なんなんだ、このフクザツな気持ちはっっ。
「ルルコっ! 聞こえるかっ!?」
「目を開けて、ルルちゃんっっ!」
白目をむいてぐったりしたままのルルコちゃんに向かって、必死に呼び掛ける二人だけど。
ルルコちゃんは無反応のままですよ。
「ヤンキー女神様っ。どうかっ、娘をっ、ルルコをお助けくださいっっ」
「お願いです、ヤンキー女神様っ! ヤンキー女神様っっ!」
二人して必死なのはわかるけど、ヤンキーヤンキーって言い過ぎじゃないデスカネっ。
ここでフィルフィーの機嫌を損ねちゃダメですよー!
「父さん、母さんっ。フィルフィーって、いちおう女神サマなんだから、あんまりヤンキーって言っちゃダメだよっっ?」
「ああんっ? いちおうってなんだよ、いちおうってよー。あたしは女神だっつーのっ。
ここでウダウダしててもしゃーねえからなっ。とっとと、おっぱじめるとすっかっ!」
フィルフィーは、いつにも増してやる気まんまんです!
思わぬトコロで再会した父と母に見守られ!
いよいよ、ルルコちゃんを復活させますよー!
◇ 面白かったよ!
◇ 続きが気になるよ!
と思われた方は、広告下の☆☆☆☆☆からの評価、ブックマーク登録をお願い致します!
作者の励みになります!