勇者vs大魔王サマ １分前！
大魔王サマと対峙する勇者は『妄想勇者』の俺と、『くのいち勇者』ムラサメさんの二人のみ！
ルルコちゃんとの取り組み、じゃなくて、闘いの後だから、めっちゃ疲れてるんですけどっ！
まさか大魔王サマが出てくるなんて思ってなかったから、ガクブルですよ、だがしかし！
ルルコちゃんを助ける為なら、そんなコトは言ってられねーですようおおー！
大魔王サマと勇者の間にほとばしる緊張感！
闘いのゴングは鳴る寸前、イヤ、もう鳴っちゃってますよっ！
これって、マジで最終バトルになっちゃうのかなっっ！？
ぬおお、心の準備が、イヤ、ココロのゾンビがゾンビダンスで大暴れっ！ てヤツですようおおおー！
「んむむっ！ うにゃあっ！」
気合いを入れる為に、ばちん！ と自分のほっぺたを叩く俺ですよ！
今日、まだ一度も使って無い『お着替えガチャ』の為に集中力を高めるのだっっ！
「己を鼓舞する為に自虐するとは、さすがドMでござる、ヒカリ殿っ！」
えっ。
あのですね、ムラサメさんっ。
俺はドMだからって、自分のほっぺた叩いたワケじゃナイんですけどねっ。
気合い注入！ ってヤツなんですけどねっ。
「しからば拙者もっ！」
ぱぱんっ！ と両頬を叩いて気合いを入れるムラサメさんですがっ。
両頬が赤くなっちゃって、なんかカワイイカンジになっちゃってます！
なんやかんやで、勇者側は気合い充分！
たとえ相手が大魔王サマであろうと、ルルコちゃんの為にも負けるワケにはいかないのだっ！
「二人とも気合い入ってんなっ！ バッチこいだぜっっ！ いっちょブチかましてみろやヒカリぃっ！！」
でっかい声で応援してくれてますよ、ヤンキー女神っ。ウレシイけど、ちょっとウルサイですよっ。
「あー、ホントにやかましいのう、フィルフィーマートは。中立の立場の女神なんじゃから、すっこんどりんしゃい」
片手を振ってフィルフィーを軽くあしらう大魔王サマですよ。すると、なんとっ！
「いいえ！ 私にも言わせて頂きたいコトがあります！ 大魔王様っ！」
「えっ！？ ラーフィアちゃんっ！？」
「ラーフィア殿っ！？」
フィルフィーを押し退けるカンジで、スタスタと前に出てきちゃいましたよ、ラーフィアちゃんっ！
なんでっ！？
「おお、おお。久しいのう、ラーフィアよ。魔王から女神に転身して正解だったようじゃのう」
「その件に関しましては感謝しています！ ですがっ！」
凛とした通る声と、毅然とした態度で大魔王サマに向き合うラーフィアちゃん！
フィルフィーとは別の意味で怖いもんナシですよっ！
「時間の法則をねじ曲げて、ひとりの人間の成長を早めるなんて世界協定違反ですっ！
たとえ大魔王様でも許される事では無いハズですよっ！」
畏れるコト無く、大魔王サマに向かって、びしっと言っちゃいましたよっ！
うーん、カッコいい！
相手が大魔王サマでも、自分の意見をハッキリ言えるなんて尊敬しちゃいますよっ！
めちゃめちゃクールでイケてますよー！
「あーもう、ラーフィアは相変わらず真面目でウルサイのう。あー、ほいっ」
大魔王サマが面倒臭そうにぼやいて片手を振ると、びゅわあっ！ と、一陣の突風がっ！
「きゃあああっ！？」
なななんとっ！
大魔王サマから放たれた突風がラーフィアちゃんを直撃っ！
避ける間も無く、こんころりんっ！ と吹っ飛んじゃいましたよ、ラーフィアちゃんっ！
「「ラーフィア様っ！？」」
吹っ飛ばされたラーフィアちゃんに駆け寄るレイルさんとフェイリアちゃん！
なんとか無事だったみたいだけど、打ち所が悪かったら大ケガしてたかも知れないですよっ！
「中立の立場の女神に手を出すとは、ご乱心なされたのですか大魔王サマっ！」
これにはレイルさんも憤りを隠せない！
大魔王サマに向かって睨みをきかせるなんてイケメンすぎますよっ！
「んんー？ ワシは手を振っただけなんじゃが？
そしたら、何故かラーフィアが吹っ飛んだんじゃが？
ワシ、別になーんもしとらんのじゃが？」
じゃがじゃがと屁理屈ぶっこいて、ナニ食わぬ顔でしらばっくれちゃってますよ、大魔王サマ！
とんだヘリクツジジイだなっ！
「レイルもマジメなトコロは変わらんのう。
あー。ところでフェイリアよ。オマエはこっち側に戻る気はないか？ 今なら、ちょちょいっと魔王にしてやるぞなもし」
なななんとっ！
フェイリアちゃんをスカウトですよ、大魔王サマっ！
て言うか、魔王ってそんな簡単になれるもんなんデスカネっ！？
キミも、ちょちょいっと魔王になってみないか？
みたいなノリなんですけどっ！
ところで『ぞなもし』ってナニ？
なんて思ってる場合じゃないですよっ！
大魔王サマからスカウトされちゃったフェイリアちゃんのお返事はっ！？
「えっとぉ、お誘いはウレシイですけどぉ、リアちゃんは『全愛の女神』になれた事を誇りに思ってるのですぅ。
もし、ラーフィア様に出会わなかったら、今のリアちゃんはいないと思うからぁ……だから、魔王なんてお断りしまぁす♪」
くねくねモジモジしながらも、自分の意志を伝えるフェイリアちゃん。
ラーフィアちゃんを慕う気持ちは、魔王側だった頃から変わり無いみたいですよ。
仲良きコトは美しきかなっ！
「フェイリア……」
フェイリアちゃんの想いが伝わったのか、ちょっと照れ臭そうですよ、ラーフィアちゃん。
良き！ 良きですよー！
青春とか友情ってカンジで良き良きですよー！
「そうか、フェイリアよ。ワシ、フラれてしもうたか。んー、しょーもないのう。あー、ほいっ」
大魔王サマが軽く腕を振ると、びゅわわあっ！ と、またも突風がっ！
今度はカシマシ三人女神を直撃！
かと思いきやっ！
ばひゅんっ！ と！
なんと、フィルフィーが突風を片手でブロックっ！
風が弾かれる音なんて初めて聞いたっ！
何気にスゴいんですけどっっ！
「またかよ、ジジイっ！ いいかげんにしやがれっ！
かまって欲しいからって、女神達に手ぇ出すなっ！」
「アハー♡♡ やっぱりステキです、お姉さまぁ♡ お姉さまぁっ♡♡」
守られたのが嬉しかったのか、すてててっとフィルフィーに駆け寄って、がばっ！と抱きつくフェイリアちゃんですよ。
必要以上に密着してますよ、二人の巨乳が変形しちゃうほどにっ！
「守って頂いて感謝いたしますぅ、お姉さまぁっ♡ ちゅっ♡」
あっ！
どさくさ紛れに、フィルフィーのほっぺにチューしましたよ、フェイリアちゃんっ！
こここれはっ！
ペリメール様が黙っちゃイマセンよー！
「ななななななっ！ ナニをしてるのでしゅかっっ！ ですわあっ！」
ほら、やっぱりっ。と思った瞬間！
ばちーん！
「ぷわっ！？」
なななんとっ！
ペリメールスマッシュ！
久々のペリメールスマッシュが炸裂ですよー！
フィルフィーに。
って、なんでっ！？
「浮気ですわ、浮気ですわあっ！ フィルフィーしゃんたら私というものがありながら、チューするなんてヒドイのですわあっ！」
「ほっぺにチューされただけだろーがっ！ こんなの浮気じゃねーわっ！」
「じゃあ、フィルフィーしゃんは私が誰かにチューされても気にならないのですかっ、ですわんっっ！」
「そんなのダメに決まってるだろーがっ！
今のはノーカンだ、ノーカンっ！ あたしにはペリ子だけなんだからなっっ！」
「えっっ！？ ですわんっっ♡」
抱きついてるフェイリアちゃんをポイっと投げ捨てて、ペリメール様を抱き寄せるフィルフィー！
ペリメール様ったら、キレイなお顔が真っ赤っかになっちゃいましたよー！
って言うか、なんか茶番劇っ。
ナニを見せつけられてるんですかね、俺達はっ。
なかなか『勇者対大魔王の闘い』が始められらないんですけどっ！
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