いざ地上世界へ!レッツダイブ!!
「学校への編入手続き、女子寮への入寮手続きは済ませてあるからの。早速、明日から学校に通ってもらうぞい」
「明日!?明日から女子高!?女子寮!?」
「ヒカリは見た目がカワイイ女の子なんじゃから問題無いじゃろ?」
ええー!いきなり過ぎやしませんかっ!?
全くの未知の領域に突然放り出されちゃうんですよ!?
学校見学とか事前調査的なモノは無いんですかっ?
勇者育成コースってどんなコトするんですかっ?
女子寮なんてめっちゃ秘密の花園ですよ!?
今の俺は見た目カワイイ女の子でも、中身は多感なお年頃の16歳の男子なんですよ!?
エッチな妄想とか大好きな16歳の男子なんですよ!?
しかも股間に『コヒカリ君』!
そんな俺が女子高!?女子寮!?
不安しか無い!
けどちょっと楽しみです。
もちろん、口にはしませんよ!
妄想です!
女子高全体にふわりと漂うラベンダーの香り。
生徒達の挨拶はもちろん『ごきげんよう』です!
ウフフ、アハハと可憐な美少女達が天使のような微笑みを浮かべながら談笑してるんです!
天使なんて見たコト無いからどんなのかわかんないけど!
制服はブレザーでネクタイがいいですね!こればっかりは俺の趣味なので!
実際、セーラー服もイイんだけども。
ネクタイがポイントなのですよ!
セーラー服にネクタイってないからねー。
風のイタズラでフワリとめくれちゃうチェック柄のスカート!
「きゃっ!」
なんつってスカートを押さえるオトメ達!
女子寮では下着姿のオトメ達が廊下をウロウロしてるんです!
ウロウロって言ってもゾンビ的なアレじゃないですよ?ネトゲとかでありそうだけど!
でも、寮長さんは下着でウロウロなんてしませんよ?たぶん、歳上のお姉さんでしょうからね!
「こらっ!○○ちゃん!ダメでしょ!」
「ごめんなさい、お姉さまぁ」
なんつって甘える妹達を優しく愛でるお姉様!
その手が妹達の髪を撫でて、頬を撫でて、首筋から発育中のオパイを撫でて、腰に手を回して、その続きは!
秘密の……っ!HA、NA、ZO、NO!
ムハー!いいっしょ?いいっしょ?
「ではコウダヒカリよ」
「はいっ!?」
「れっつえんじょい高校生活じゃ」
妄想全開中だった俺に向かって、神様が右手を上から下にすっと振り降ろした。
すると。
ひゅわっ!
という音と共に足元に黒く大きな穴が空いた!
落とし穴!?
「っきゃあああああああっ!」
落ちていく!スゴいスピードで落ちていきますよ俺!
頭上に見える落とし穴口があっという間に小さくなっていきますよー!
これはっ!まさにスカイダイビング!
バタバタとはためくメイド服!チラチラと見え隠れする『謎の黒光』!
そう言えば俺、ノーパンでした!
ノーパンメイドが自由落下していきますよー!
「いやああああんっ!」
まあ、自分で言うのもなんですけれどもカワイイ声ですよ、俺の声!
真っ黒な空間の中をひたすらひたすら落ちていく。
ゴオオッという風切り音が耳に痛いくらいだ。
落ちる落ちる落ちるー!
って、ちょっとパニクってたんだけど。
テレビとかで見た事しかないけど、スカイダイビングの落下時間って高度にもよりけりだろうけど、大体60秒くらいじゃないのかな?
お笑い芸人とかタレントとかが『ギャー!』って叫びながら面白おかしく落ちてくヤツ。
ただ、今の俺の状況は。
やたら落下時間が長く感じる。
かれこれ10分くらい経過してるんですけど。
自由落下もいいとこですよ、どこまで落ちていくんですかね俺。
あ、慣れちゃったかも。
と思った瞬間ですよ!
ズバッ!と真っ黒な空間を抜けて目の前の視界が一気に広がりましたよ!
眼下に浮かぶ白い雲!
遠くに見えるよ地平線!
ぐんぐん迫り来る地表!
どんどん落下していく俺!
これはっ!
あらゆるマンガ、アニメでド定番の!
『空から女の子が降って来た!』
シチュじゃないですかっ!?
ただ俺の場合は。
『空から男の娘が降って来た!』
なんですけどね!
しかもおパンツ穿いてないノーパンメイド!
男の娘でノーパンて、どんだけヘンタイなんだ絶賛落下中の俺!
「ヒカリ様ーぁ!」
ふと、頭上から俺を呼ぶ声に気付いて見上げると。
「あっ!ペリメール様ぁっ」
「もうじき地表ですが着地できますかあー?」
え!?絶対ムリですよ!!
パラシュートとか空飛べるアイテムとかなんにも持って無いんですよ!?
「無理ですうう!たっ!助けて下さいペリメール様ぁ!」
「はぁい!ではではお助けいたしますですわあ!」
高飛び込みの選手みたいに姿勢を真っ直ぐにしてギュウン!と俺に急接近するペリメール様!
「ヒカリ様ぁ!」
俺の名を呼びながら長い腕を伸ばすペリメール様!
「ペリメール様ぁっ!」
俺も必死に短い腕を伸ばします!
がし!と、空中で見事に俺をキャッチすると、ペリメール様がぎゅうっと抱き締めてくれた!
「しっかりと掴まってて下さいませですわぁっ!」
またしてもペリメール様のふわふわオパイに埋もれますよ俺の顔!
もう、ここが俺の定位置になっても構わないです。
マジでここで暮らせます。
永住権が欲しいです。
なんて思ってたら!
「うわっ!!ペリメール様!?もうすぐ地表ですよっ!?」
「そうですわねヒカリ様!今見えている校庭が私達の学舎となる『鐵魔王女子高等学校』ですわ!これから始まる高校生活が楽しみでございますですわー!」
「そうですねー!って違いますよペリメール様っ!地面に激突しちゃいますよっ!?」
「ご安心下さいヒカリ様!女神にとって最も大切な事とは何かを!今からお見せいたしますですわっ!」
見せるって女神の力っ!?なるべく早くお願いしますよ地表まであと僅かですよー!
地表が近くなるほど落下速度感が増していく!
HAEEEEE!
グングンと迫り来る校庭!
あっ!死んだ、俺死んだ!
と思いきや!空中で姿勢変化して着地体勢を取るペリメール様!
「どっせえええい!ですわああっ!」
気合いの声と共に!
ドズウウウン!と、ものスゴい地鳴りと地響き!土煙を舞い上げて地表に降り立つペリメール様!
スゴい!スゴすぎますよパラシュート無しで、しかも俺を胸に抱えたまま地表に降り立つ女神様!
カッコいいっ!カッコよすぎ!マーベラス!
んっ?あれっ?俺のこの体勢って……
ペリメール様に抱えられた俺の姿、これはっ!
お姫様だっこ!
ほぼ全裸のキレイなお姉さんが、男の娘メイドをお姫様だっこしちゃってます!
うわ!ハズい!俺、ハズいです!
「ご無事でございますかヒカリ様?」
「はっハイ!ボクは全然平気ですけどっ!ペリメール様は?膝とか腰とか大丈夫なんですかっ?しかもハイヒールですよ!?」
「私の心配をなさって下さるのですかヒカリ様っ!私は全くの無事ですわっ」
またまたペリメール様にぎゅううっと抱き締められて、やわこいオパイに埋もれますよ俺の顔!
天国ってホントにあるんですねっ。
俺にとっての天国は、ペリメール様のぷるふわオパイですよ!
「ヒカリ様にお教えいたしましょうですわっ!女神にとって最も大切な事それは!」
キラリと輝く銀髪!俺を見つめる瞳は高貴な翠!
めっちゃステキなキメ顔ですよペリメール様!
そして麗しい唇から紡ぎ出した言葉は!
「気合い!ですわっ!」
まさかの根性論!
女神なのに根性論放り投げてきましたよ!?そんなの打ち返す事もできませんよ。バットにかすりもしませんよ!
でも俺は感動しましたよ!
「ステキですっ!ペリメール様っ!」
と、その時!
「らああああっ!しゃあああっ!!ド根性おおおっ!!」
頭上から轟き響く、この声は!
ドズウウウウン!
鳴り響く地響きと地鳴り、そして舞い上がる土煙!
まるで破滅の使者のようですよ地表に降り立ったヤンキー女神!
破滅の使者って幾らでもゲームキャラにいるし、見たコトあるからこの例えは合ってると思います!
「っしゃああああ!着地成功!ココがあたしの戦場か!頭取おるっ!待っとけよコラあッ!」
ナニ言ってんですかヤンキー女神。
戦場じゃないですよ学校です。女子高です。
待っとけって一体、誰と戦交える気ですかね?
次話『Sレア引いたはいいけれどっ!』
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