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ある魚市場の日常

作者: 川目漱介


 ベトナム人労働者が落としてしまったサバを拾おうとしたその時、社長が渾身の蹴りを入れた。「サバを落とすな!」ベトナム人は血を吐いて倒れた。酷すぎるそんな場面に何度出くわしたことだろう。この世の中にこんな酷いことがあっていいものだろうか?「国に帰されたくなければもっと働くことだ。そうもっと素早く、そして丁寧に。俺が儲からないとおまえの給料は出ないんだから。そこをよく理解しておけ。」社長はそう言うと迎えに来たピンクのタントに乗り曽根崎新地にくり出すのだった。


 ティンタオは泣いた。悔しい。けれど借金もあるしどうにもならない。蹴られたところは痛いけど、すぐに眠ってしまった。日本に生まれた日本人ですら長く続く不況の為がんばっても下から這い上がれない。その下の階級に位置する外国人労働者はまさに奴隷であり社長の私物。しかし期間満了で帰国した暁には貯めたお金で自分の夢が実現できる。その日まで歯を食いしばり、心と身体がボロボロになっても働き続けるのである。そう、心と身体が砕け散ってしまわないように細心の注意を払いながら。

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― 新着の感想 ―
[一言] 短い話でしたが、雇われ外国人の現状が分かりやすく書かれていて、胸が切なくなりました。 これは実話ですか?
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