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鈴森 梓は異世界ダンサーに恋をします。
舞う、舞う。
右手を上げながら、足を前に。そしてもう片方も前に。
"師匠、師匠"
特別に仕立ててもらった赤いドレスを翻してターン。
"ごめんなさい。好き。大好き"
低音のリズムに合わせて、タンタンとステップ。
"どうか、どうか。
このダンスで伝わりますように"
「わぁー!!!」
「ブラボー!!!」
曲が終わり、ポーズを決めた後に一瞬の静寂。
そして弾けるような拍手と歓声が湧き上がる。
異世界に転移してから、私はダンスで愛を伝えるダンサーとして有名になっていた。