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プロローグ
これは、この状況は何なんだろう。
「僕がどけって言ってるの、わかんないかな?」
金髪碧眼、絶世の美男子と呼べる少年が細身の剣を振りかざしている。
「……俺の主は鏡だ。それ以外の命令は受けないし、アイツを害す奴は仕事の邪魔だ」
その剣を刀で受けたのは、長身痩躯で黒く長い髪の、三白眼のどこか妖艶な美しさを持つ男。
「あのねえ、鏡は僕の小姓にするってだけ、それの何が悪いの?」
「違います! 鏡様は私の許嫁、花婿となるお方です!」
そこに割って入ったのは、赤毛の髪を縦ロールに巻いた、絵本の御姫様のような少女。
その三人が、ボクを中心に言い争いをしている。
なんだこれ。
あと、先に言っておく。
ボクは女だ。