表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

~1人ぼっちの教室~

6月になり梅雨本番を迎えた。


朝起きた時からいつもと何か違う嫌な予感がしていた。案の定、いつもの登校の時間になっても奈緒子は迎えに来なかった。

教室は先生と僕だけの2人きりの空間が、どこか息苦しい感じがして奈緒子の存在の大きさに気付く。

先生は風邪と言っていたが、検査入院のため、しばらくは学校を休むとのことだった。


昼休みの給食は1人で食べた。寂しさには慣れているはずだったのに、なぜか気を緩めると涙が出そうになる。僕は感情を抑えるのに必死だった。

1人ぼっちの教室がこんなに恐怖に感じたのは初めてだった。ふっとキーホルダーを思い出しそれを見ると、不思議と気持ちが落ち着いてそれと同時に涙があふれて頬を伝った。


検査のために市内の大きな病院に入院していると母親から聞いた。母親も何の検査かは知らないらしく、僕は嫌な予感だけが頭の中でグルグルと渦巻いていた。


次の日から先生の提案で僕はケンちゃんのいる3年生クラスで授業が出来る様になり寂しさは半減した。


結局、奈緒子は一週間後に登校してきた。

奈緒子はいつもと少し様子が違い、僕に対して他人行儀みたいに感じた。


「寂しかったでしょ?」少しうつむきながら僕に聞く。

「これのおかげで大丈夫だったよ!」とキーホルダーを見せて「えへへ」と鼻をすすった。


奈緒子は目に涙をためて、「ばか...。ありがとう。」と僕に今まで見せたこと無い笑顔で答えてくれた。


「おかえり!奈緒子!」僕は笑顔で言った。


「なんか変な感じ...。それって私が去年会った時に言った言葉だよね...。」と今にも泣きそうな顔で僕に言う。


僕は笑顔でうなづくと

「ただいま豊...。」と言いながら奈緒子の目から涙がこぼれていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ