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~冬の出来事4~

奈緒子と2日目の夜を迎えた。


昼間のことは何も無かったかのように楽しい時間だけが過ぎて行った。


寝るときも、僕の部屋に布団を二つ敷き、お互いが知らなかった幼少期を語り合った。

奈緒子は今までの全ての出来事が凝縮して今を一生懸命に生きているキラキラしている存在に思えた。


川原で僕を見かけた時に、まるで夢をみているみたいだと思ったらしい。


田舎では誰かが引っ越してくると噂がすぐに広まるのに知らなかった。奈緒子がお母さんに言ったら、お母さんは知っていて奈緒子には内緒にしていたみたいだった。

そんなたわいもない話をしているうちに二人とも眠っていた。


カーテンの隙間から差し込む小さな光で僕は目覚めた。

心地よさそうに眠る奈緒子を見ながら、そっと手を握ってしまった。


すると、パチっと奈緒子の目が開き「豊君?何をしてるのかなー?」と言いながらニヤニヤしながら僕を見つめている。


「べ、別に!!」ビックリして手を離すと、奈緒子は起き上がって背伸びをしながら「冗談だよ!おはよう!」と笑いながらカーテンを開けた。


外は朝日に照らされて、雪が銀色にキラキラ輝いている。「これだけ天気がよければ今日中には帰ってくるかな?」布団を畳みながら奈緒子はいつになく上機嫌だ。


「ご飯の支度するから、顔洗ってシャキッとしなさいよ!」と言い残し、奈緒子は階段を降りて行った。


僕はドキドキしながら、自分の手をしばらく見つめていた。


朝ごはんを終えると、母親から電話があった。食料は大丈夫か?おそらく今日中には帰れそうだとの事。

そのことを奈緒子に伝えると「ちょっと残念だね」とだけ言い寂しい顔をしていた。


二人きりの時間をもっと過ごしたかった自分がいた。自意識過剰かもしれないが奈緒子もそうだったのかも知れない。

母親たちは夕方に帰ってきた。家の中がいつもより綺麗になっていて奈緒子に感謝していた。


この冬の出来事は初めて心の中で芽生えた温かいものだった。

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