二章までの主な登場人物
【アムリタ】
二百年前の時から時間跳躍してきた金髪碧眼の少女。
フォルデンの森の入り口でジャックと出逢い、森の出口に出現したクリーチャーから共に楽しげに逃走する。
ジャックに後見人になってもらい、ジャックの紹介でジュニアとエリーの仲間となる。
二百年前に護り切れなかった子供たちの行く末を案じていて、過去に戻る手段を探している。
性格は呑気で楽しことが大好き。
細かいことは気にしない。
時渡の魔法をもっているらしく、危機に際して複数の未来を『体験』することができ、その中で最も有利な未来を『選択』することができる。
その能力は封印されていたが、超高層ピラミッドの事件以来、その一部を削ぎ落とすことに成功している。
味をしめて更なる危険なところ、高いところに赴こうとするのではないかと周囲を怯えさせている。
アマンダの娘でサリーの姪。
本編の主人公の一人。
【エリー】
ジュニアの道具屋で働く長身痩躯の美貌の少女。
黒灰色の見る角度により暗い灰色から輝く銀色にまで変化する不思議な色をした髪と灰色がかった水色の瞳をしている。
十代後半に見えるが、実年齢はそれよりかなり若い。
エルザとトニーの娘でエルザの失踪後、『エリーのおかあさん』に育てられた。
エリーという名は愛称で本名はエリナ・アイスナー。
ただし本人はエリナと呼ばれることをなぜか嫌う。
ジュニアの道具屋で住み込み雇われ店主をしていて、アムリタ、ソニアと同居することとなる。
行方不明になった『エリーのおかあさん』を探している。
空間魔法を中心とする高度な魔法を駆使するが、垣間見える死霊系の魔法は禍々しい。
魔法以外にも料理・医学・化学・気象に造詣が深い。
フルートの演奏も達者に行う。
ジュニアに恋心を抱いていて、それが周囲に漏れてきて騒動の原因となっている。
理性的であるようでいて実はそうでもないうえに、相当物騒な能力を持っているので周囲を怯えさせている。
最近髪型を腰までのロングからショートボブに変えた。
本編の主人公の一人。
【ラビナ】
アルンと共にジャックを追う飴色の髪をした、いつも濃いきつめの化粧をしている小柄な女性。
飾りが施された小銃を持っている。
化粧は素顔がやたら童顔であることを隠すため。
素嬪では十代前半に見え、酒場で酒を出してもらえない。
言動は軽く、周囲の空気を掻き乱す傾向があるが本人に悪気は無い模様。
災厄を引き寄せてしまい、気の毒な目に合い続けている。
夢幻郷の元王女であるがジャックに聖地を奪われてしまっている。
目下ジュニアと共闘して失地挽回するべく奮闘中。
夢に関する魔法が使える。
夢幻郷の中では年齢相応の美しい容姿をしていて、ジュニアとよろしくやっているようだ。
本編の主人公の一人。
【ソニア】
ジャックとマリアの娘でジュニアの妹。
燃えるような赤毛のセミロング、胸の開いた服を着る。
胸にはジャックから奪った第三の眼がある。
胸の眼は極度に視力が悪いが、低周回軌道にある人工衛星と接続されていて、衛星のカメラ画像で軌道下の状況の監視と、高出力レーザー砲を用いての攻撃もできる。
優しいが自由奔放すぎる父親と、厳しく強い母親、そして兄との間でなにか屈折した感情を持っている。
とはいえ、家族関係以外では全体的に至極くまともな感性であるようだ。
主にアムリタに振り回されて酷い目にあっている。
彼女自身は魔法を使えないものの、高度な体術を持っているうえに、父の切り札を強奪したことにより相当破壊的な能力を持っている。
本編の主人公の一人。
【ジュニア】
ジャックとマリアの息子でソニアの兄。
本名はジャック・フライヤー・ジュニア。
エリーとアムリタ、ソニアを自らが経営する道具屋に住み込みで住まわせ世話をしている。
いつも不機嫌そうな顔をしているが、対人関係ではむしろ甘口。
エリーとは古い付き合いであるらしく『エリーのおかあさん』とも面識が有る模様。
ロボットや電子計算機に詳しい。
彼の作ったキャリバッグやサプリメントロボットは自ら考え動き回る。
失われた古代文明のテクノロジに憧れ、復活を夢見る。
エリー、アムリタ、ラビナ、ソニアの四人に振り回され彼の不機嫌そうな顔の眉間の皺は深くなってゆく。
最近はラビナとアルンも自分の管理するアパートに住まわせている。
二章終了の時点では光の谷の記憶を探すべくラビナと長期で夢幻郷に潜っている。
本編の主人公の一人。
【ジャック】
長身痩躯の三十代後半と思われる男性。
森に現れたクリーチャーからアムリタ、ラビナ、アルンを救う。
マリアの夫でジュニアとソニアの父。
エリーとアムリタの後見人でもあるが、実際に彼女達の面倒を見ているのはジュニア。
彼の切り札である右目はソニアに奪われてしまった。
また超高層ピラミッドのレールガンも奪われた模様。
白銀の魔法使いであるエリフの弟子の一人。
過去に何度か瀕死の重傷を負っているが懲りていない。
本編の主人公の一人ではあるが、過去と行動は謎につつまれている。
【エリフ】
数百年を生きている伝説の魔法使いで、二つ名は『白銀の魔法使い』。
二つ名のとおり白銀の髪に薄い水色の瞳をした男性であった。
もともとの彼は死しても若い体に蘇ることができるらしく、出現時の年齢は様々となる。
基本隠遁者ではあるが時代時代で弟子が居て、その存在は魔法界では確実性の高いものとして語り継がれている。
ジュニア曰く、二十年前瀕死のジャックを助けたことがあるらしく、現在においてもジャック、マリア、ヨシュア、テオなどが弟子に数えられるようだ。
長い時をかけ【風の谷の思考機械】の人格の一つ【教師エリフ】をアップデートし続け、アウラの教育に関わっていた。
二章最後に直交空間に旅立つ。
本編の主人公の一人。
【アルン】
ジャックを追うラビナに従う飴色の髪をした二十代前半と思しき男性。
ラビナの甥であり従者であるとのこと。
ラビナの行動により起こるトラブルにいつも巻き込まれながらも健気にラビナを支える好漢。
ただし最近はラビナと自分の生活費を稼ぐために、二十四時間働くフリーターと化している。
【テオ】
エリフの現在での弟子。
金髪で長身の青年。
酒場で吟遊詩人のようなことをすることが多く、リュートの弾き語りを行う。
一時期、エリフとエリナの三人で暮らしていた。
吟遊詩人として評判は良好。
二章最後に師匠と別の行動をとる。
【黒衣の女】
ジュニアとラビナが夢幻郷で会った黒衣に身を包んだ二メートルを超える長身の女性。
無理やり開かれるゲートを閉じるべくジュニアたちにシャンタク鳥を貸し与える。
【草原の女】
大きく明るい白い太陽と小さく暗いオレンジ色の太陽のある星の黄金の草原に立ち、二百光年先に送り出した一人息子を想う女。
意味ありげであるが、彼女の出番ははたして来るのか?
【エルザ】
成人女性のエリーが直交空間で出会った直交空間の魔女。
トニーの妻でエリナを産む。
黒髪に濃い茶色の瞳をした明るい笑顔の女性。
エリーが出会った時点では臨月の妊婦。
現実世界と直交空間とを結ぶゲートを開く能力がある。
この能力のせいで古きものの眷属に追われている。
エリナを出産した直後、古きものの一部を連れてゲートに消える。
一章三話での主人公。
【トニー】
エルザの夫でエリナの父。
妻の出産の為に直交空間に住む。
彼と彼の犬たちの魂に救いを……。
【ロキ】
屈強で長い腕を持つ巨大な白い猿の腰から上を、白地に黒の模様となった毛むくじゃらな巨大な六本足の蜘蛛の頭にくっつけたような形態をしているクリーチャー。
直交空間で成人女性のエリーはロキを友達と言い言い、彼女と行動を共にする。
見た目の怖さに反して優しく強く成人女性のエリーやエルザを護る。
少女エリーのおかあさんが描いた画集にもロキに似たクリーチャーが描かれている。
【サマサ】
ジュニアの行きつけの定食屋の看板娘。
暗い金髪にそばかすの美人。
ジュニアの元彼女を自称するが真偽は不明。
【マリア】
空賊の女頭領。
落ち着いた雰囲気の赤毛の熟女美人で二児の母。
ソニア曰く、彼女ほど強い人間を知らない。
娘と旦那の素行が悩みの種。
でも子供の躾に顔面ハイキックはいつの時代でも問題となるだろう。
【ヨシュア】
三十代半ばと思われる男性。
マリアの弟でイリアの夫。
エリフの弟子でもある。
天垂の糸でクリーチャーに襲われた際に弾道飛行を行い、死にかけているところをエリフとエリナに救われる。
その際に見た目が激変してしまった。
二章最後でエリフ、および妻イリヤと共に直交空間に旅立つ。
【イリア】
二十代後半と思われる銀色の髪をした小柄な女性。
ヨシュアの妻でエリフの曾孫。
二章最後でエリフ、および夫ヨシュアと共に直交空間に旅立つ。
【リリィ】
マリアとヨシュアの従妹。
かつてジャック、ヨシュアたちと一緒に天垂の糸に登ったことがあるらしい。
アムリタが好きそうな案件に関わっている?
物語中では他の登場人物の会話のなかでのみ登場。
【サプリ】
ジュニアのサプリメントロボットの愛称。
茶色の筒に半球状の頭、手足が付いていて自走する。
ジュニアの抽象的な命令を聞き、自ら考え、仕事をする。
風の谷の祭殿に訪れた後は、【風の谷の思考機械】の人格の一つである【乳母サリー】がコピーされ、しゃべるようになる。
夢幻郷にも付いて行くことができるようでジュニアを助ける。
【サポ】
ジャックのサポートロボットの愛称。
ジャックが風の谷の祭殿を維持管理する為に残していた。
くすんだ黄色の筒に半球状の頭、手足が付いていて自走する。
サプリと仲が良く額をくっつけ合い、高速で意思疎通ができる。
ジュニアの言うこともある程度聞く。
同様のロボットは複数居てナンバリングされている。
超高層ピラミッドでも別の個体が管理者として働いている。
空中庭園にも居るらしい。
【サリー】
アムリタの叔母で風の谷の祭殿の巫女。
二百年前に生きた人物で、風の谷の思考機械にアムリタへの伝言を託す。
【アマンダ】
アムリタの母で風の谷の祭殿の巫女。
多くの子を成したため、祭殿の巫女の仕事は休みがち。
二百年前に生きた人物で、物語中では他の登場人物の会話のなかでのみ登場。
【ソナリ】
アムリタの叔母でディナの母親。
二百年前に生きた人物で、物語中では他の登場人物の会話のなかでのみ登場。
【ディナ】
アムリタの従姉でソナリの娘。
二百年前に生きた人物で、物語中では他の登場人物の会話のなかでのみ登場。
【風の谷の思考機械】
古代文明の遺跡である思考する機械であり、いくつかの人格を持つ。
思考速度は人間の二十五分の一程度しかなく、会話には長時間要することになる。
ジャックによりインターフェース拡張が施されていてジャックのサポートロボットをハーネスに接続することにより通常の速度での会話が可能となる。
ただし長期記憶へのアクセスは二十五分の一のままであるので思い出すのに時間がかかる。
人格には【当初の人格】【乳母】【乳母サリー】【教師エリフ】などがいてメインの人格は【乳母サリー】。
本編では【乳母サリー】しかしゃべっていない。
アウラを愛していると明言し、現在のアウラを案じている。
【アウラ】
風の谷の思考機械曰く、三百八十年の長きに渡り風の谷の思考機械の人格達が育てた子供でパイの息子。
本編では【乳母サリー】の会話でのみ登場する。
【パイ】
アウラの親。
本編では【乳母サリー】の会話でのみ登場する。
【古きもの】
本編ではあまり詳細には語られない複数のクリーチャーの総称。
人々には邪神として認識されている。
太古の地球で覇権を競っていた地球規模の怪物。
今は封印されているが眷属たちが主の封印を解こうと暗躍する。
本編で出てくる古きものは大抵古きものではなく古きものの眷属でしかない。
眷属といえども出現時は大規模自然災害に匹敵する傷跡を残す。
【外からのもの】
本編ではあまり詳細には語られないクリーチャー。
本編では連環山脈の中央に封印された巨大な眼玉の一柱と、夢幻郷を護る蕃神が語られる。
人々には邪神として認識されている。
地球外から来たらしく、その力は宇宙規模。
『古きもの』が地球に古くから居るのに対し、地球に来たのが比較的新しい点で区別されている模様。