ひどい話
ひどい話です。
執着心の強いひとは読まないでください。
よく、医大生が解剖実習のときに――っていう都市伝説があるよね。
でも、雑誌やネットで読めるような話はなまぬるいね。ぼくはもっとひどい解剖実習の話を知っているよ。
だけどあまりにもひどい話なので、言えないんだ。
ちかごろは、ネコ好きの人が多いな。多すぎる気もするけど。
だけど昔の人はずいぶんネコを粗末にしていた。ぼくは友人のおばあさんが、病気になったネコをどうしたかっていう話を知っているよ。
でも、この話をくわしく言うと、ネコ好きの人は死んでしまうかもしれない。
君はネコ好きか。じゃあ、言わない。死なれちゃこまるから言わない。
子どもの頃、縁日で買ったヒヨコを死なせたよ。
あのころは気にもしなかったけど。
でも、大人になってあまりにもひどい死なせかたをさせたってことがわかって、後悔しているよ。
だけど、あまりにもつらすぎて言えないんだ。
こまったなあ。ぼくを呼び出すなんて。ぼくは昨日、死んだんだよ。
ぼくを成仏させてくれよ。
え?
ぼくが言わないままにしていた話を聞きたいって?
そうしないとすっきりしないって?
そうか、きみの執着心がぼくを成仏させてくれないんだな。
なら言うよ。成仏したいから。
あのね、ある医大生は解剖実習のときに・・・。
あのね!聞いたあとになって後悔したって知らないよ!
それぐらいひどい話なんだからね!
ある医大生は解剖実習のときに・・・。
これで終わりです。
つづきはありません。
(残酷描写はあるような無いような…)