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第四話 ロリコン偃月刀の真価

「で、さきほどすごい歓声が上がっていたようだが、何かやったのか?」


「ちょうひさんの実力を見せてもらっていたんですよ。かんうさんも力を見させてもらってもいいですか」


「ふん、私の技は易々と人前で披露するわけが……」


「おいかんう、こーめーにお前の技を見せてやってくれ」


「御意」


 りゅーびに恭しく礼をすると、かんうはこちらに向き直り薙刀を構える


「それでは小僧、私の技を見せてやろう」


「それってやっぱり青龍偃月刀せいりゅうえんげつとうですか? 」


「これは、りゅうび様からいただいた、聖りゅうび偃月刀だ」


 いちいち言動がうざい人だなぁ


 かんうさんが聖りゅうび偃月刀を片手で構え、もう一方の空いている手で、腰の帯を解き空中に投げる


「はぁっ! 」


 気合とともに、ロリコン偃月刀が一瞬のうちに左から右へと振り抜かれる

 残像すら見えない一撃に、俺は最初何をしたのかわからなかった


 その後、かんうさんが床に落ちた帯を拾い上げた時にやっと理解できた

 帯が真っ二つになっているのである

 しかも横にではなく、綺麗に縦に切られている

 やっていることはとても地味なものであるが、それをやるのがどれほど難しいかは素人の俺でもわかる


 空中でクネクネと不規則に舞う帯が、ちょうど横に伸びるるタイミングを見切る眼力


 そして、その一瞬の間に偃月刀を振る筋力


 正確に狙ったところを切り裂くコントロール


 少なくともその三つを兼ね備えて始めてできる絶技である


 俺がかんうさんの技に声も出せないでいると、りゅうびがつまらなさそうな顔でかんうに言う


「おいかんう、もっとちょうひみたいな、ぐわっでどかんみたいな派手な技はないのか」


「つまらない技で退屈させてしまい、申し訳ありません」


 あれだけの絶技をやったかんうさんは、りゅうびに平謝りしていた


「ですがりゅうび様、私の技はりゅうび様を守る為の技なんですけれども」


「そんなのは知らん、つかえんやつだな」


 りゅうびの辛辣な言葉がかんうに飛ばされる


 さすがに不憫そうなので何かかんうさんに声をかけようとしたら、なんだか嬉しそうで気持ち悪かったので見なかったことにした


 かんうさんをいじりあきたのか、りゅうびが俺を見る


「で、こーめー作戦は出来たか」


「ああ、かんうさんとちょうひさんの実力が想像以上だったからな、うまくやれば誰も犠牲を出さずいけるかもしれない」


「おお、そんな作戦があるのか」


 りゅうびが目をキラキラさせてこちらを見る


「任せていおけ」





 地図で確認したとおり、小高い丘の上に小さな砦が立っていた


「こーめー、ほんとにこんな格好で行くのか」


 そこには先程まで、白銀の派手な鎧を着、ピンクの髪をツインテールにしていたりゅうびの姿はどこにもなかった

 彼女は白いフード付きのゆったりとしたローブを足元まですっぽりとかぶり、顔を目元以外を白い布でおおった占い師風の格好をしていた

 この服は、テントの一部の布を切り取って軽く縫い合わせただけの簡単なものだ

 最後にトサカの代わりに槍についていた、赤いふさふさの飾りを頭につけておしまいである


「ああ、りゅうび、お前は今から鶏の巫女だ」


 ふむ、といいながらりゅうびは自分の格好を見まわしていた

 そして、そのりゅうびを見ていたかんうさんが「りゅうび様は、何を着ても完璧です」とか言って騒いでいた

 とてもさっきあれだけの凄まじい技を見せた人間と同一人物には見えない


「それで、かんうさんともうひとりは、りゅうびの籠を運ぶ役をやってください」


「なんであたしは、籠に乗っていかないといけないのだ? 」


「もしもの時のために、かんうさんの武器を運ぶためです」


「なるほど、籠を運ぶ棒の中に隠すというわけだな」


「はい、さすがにあれだけ長いと、目立ちますからね」


「我が愛刀、聖りゅうび偃月刀があれば例え何人に囲まれても、りゅうび様には指一本触れさせません」


「かんうさん、戦う気持ちはありがたいのですが、戦闘は最悪の場合なんで、極力戦わないようにことが運ぶように頑張りましょう」


 そうやってかんうさんを宥めつつ、皆の方を向く


「それでは、作戦を説明します」


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