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第一話 始まりは覗きから

拙作なんちゃって三国志の改訂版になります

一部キャラクターの変更があります

続編とかではなく、一から見直しをしています

楽しんでいただければ幸いです

 目の前に下着姿の女の子がいた。

 ピンクの髪をした可愛い女の子だった。

 白か……


 ここまで0.1秒


 そして悲鳴

 次にぐーで殴られ

 謎の武装集団に取り押さえられ

 縄で縛られ

 

 今に至る


 


 確かに、覗きは良くないことだ。

 子供の下着には興味ないですって言ったのも大いなる反省点だったと思う。


 彼女は15歳だったらしい。

 小学生としか言いようのない、童顔で華奢な体つき。

 その上ピンクの髪をツインテールにしていれば間違えても仕方がないだろう。


 まぁ顔を真っ赤にして、暴れ猿のようにキーキー怒ってる彼女にそんなことを言うのは、火に油を注ぐだけなので、黙っている。


 さて、なぜ俺がこんなにも冷静かって?


 何、簡単な話だ。

 周りを完全武装の兵士20人に囲まれ槍(もちろん刃の方)を突きつけられているんだ。

 あまりの事に思考が追いつかず、現実逃避してるだけだ。

 ぶっちゃけ、人間予想外の事が起きすぎると一周回って冷静になるんだなと驚いてるくらいだ。


 武装集団に囲まれているのも、ただっぴろい草原で縛って転がされてるのもわからない。


 言い訳をさせてもらうなら、俺は決して覗きが趣味ではない。

 下着姿の女の子に興味がないかと言われれば、そこは高校生だ……あるに決まっている!

 しかしこんな幼女にぐへぇっ


「お前、今すっごい失礼なこと考えていただろう」


「馬鹿な、心が読めるのかっ!? 」


「女のカンだ。って、考えてたのか! 覗き魔のくせに、なんてやつだ」


「くっ……しかし、さっきから言ってるだろ。わざと覗いたわけじゃない。まぁ、結果的に覗いたことにはなっちまったが、俺もなんでこんな状況になってるかわからないんだ」


「変態はみんなそう言うんだ」


「信じてくれ!」


 俺は必死に彼女に懇願する。

 こんなところでまだ死にたくない。


「あたしを子供だなんて言うやつの言葉なんか信じれるか、ふんっ」


 俺の必死の訴えも届かず、彼女はそっぽ向いてしまった。



「お嬢、やはりこいつを死刑にしましょう」


「そうですぜ、お嬢の着替えを覗いたんですから、死刑すら生ぬるい」


「地獄の苦しみを与えながら、じわじわ殺しましょう」


 男たちが言いたい放題言ってくる。

 とても言い返したいが、血走った目をギラギラさせながら殺気を飛ばしてくこいつらに、下手に言い訳をしようもんなら、手が滑ってついでに俺の首が飛びかねない。


「しかし、こいつもよりにもよってお嬢を覗くなんて、愚かの極みですねい」


「お嬢のことは四六時中あっしらが守りやすぜ」


「お嬢最高!」


 男たちが、少女をもてはやす。

 少女もまんざらでもないのか、口元には笑みが浮かんでいた。


 改めて少女の顔を眺めるが非常に整っている。

 特にシェリー酒の様な深みのあるあかの瞳は吸い込まれそうなほど澄んでいる。


 俺の視線に気づいたのか、彼女がこちらを向き目があった。


「ふむ。まぁ、なんだ、このあたしを覗いたのだし。本来なら死刑もやぶさかではないが、あたしは寛大だからな。特別に土下座して、もう二度とあたしのことは子供扱いしませんと誓えば許してやる」


「お嬢、そんなに簡単に許しちまったら」


「えーい、うるさい! こいつは変態だが、悪人には見えないからな、殺しはなしだ」


「お嬢がそう言うのであれば」


 ものすごく不服そうである。

 それでも、彼らは渋々と槍を引いてくれた。


 いろいろ、疑問はあるが、土下座で許してもらえるならありがたい。


「さぁ、子供扱いして申し訳ありませんでした、二度とのぞきはしませんと誓え」


 彼女がない胸を精一杯反らせて、威張るような姿勢で言った


 謝罪しようと手を動かしたとき、ふと、ひとつの疑問が浮かんだ


「なぁ、ひとつ聞いてもいいか?」


「なんだ、あたしがこんなにも寛大な処置にしてやったのになにか不満でもあるのか」

 彼女はすごく嫌そうな顔をし、周りから凄まじい殺気が飛んでくる。


「いや。さっきは覗きをしたこと、そして、知らずとは言え子供扱いして申し訳なかった」


 俺は彼女に深々と頭を下げて謝った。

 覗いたのは事実だし、見た目はどうあれ女性を子供扱いしたのは、俺が悪い。

 言い訳したり、躊躇したりするところではない。


 俺の謝罪を受け、目の前の少女は「うむ」と満足そうに頷く。



「あらためて聞きたいんだが、ここに居る連中は、あんたが着替えているテントを見張ってなかったのか?」


 そう言うと、周りの男たちが反発してきた。

 そんなわけない

 お嬢は常に警護している

 特に、着替えや風呂の時は念入りに

 ちらっと、お嬢の姿を妄想しつつ


 ちなみに最後にしゃべったやつは、彼女の飛び蹴りをくらって宙を舞っていた。

 いい気味だと思ったが、視線をずらすと、他のやつらが羨ましそうにしている。


「じゃあ、俺はどうやって覗きを成功させたんだ?」


「何? おまえは、せっかくあたしが許してやったのに、自分が悪くないと主張するのか? 」


「いや、そういうわけじゃない。ただ、疑問に思っただけだ。覗きに関しては俺が悪いと思ってる」


「たしかに、そう言われてみればそうだな。おい、お前たちなんでこいつを通したんだ」


「えっ、いやあっしは、お前はどうだ?」

「おれも知りません」

 結局その場にいた誰ひとり俺の存在を確認した奴はいなかった


「つまり誰もこいつを見てないと?」


「それはコイツが何らかのトリックを使って」


「たとえそうだとしても、警備失格だな」


「すみません、お嬢」


 リーダー格の男に合わせて、全員が土下座している。

 小学生みたいな女の子に、大の男が数十人で全力土下座している光景……危ない絵面だな。


「じゃあ、おまえはどうやって、あたしの天幕に忍び込んだのだ?」


「だから言ってるだろ、気づいたらテントの中にいたって。もし仮にトリックを使ったとして、今ここで縛られてんのはおかしいだろ」


 そんなことができるなら、簡単に逃げ出せたはずだ。


「なるほど、一理あるな。でもおまえが突然どっかから飛ばされた証拠はあるのか?」


「さっきまで俺がいた埼玉の学校に問合わせてくれればわかるはずだ」


「さいたま? どこの都市だそれは?」


「なんだ、おまえ埼玉も……えっ」


 周りの反応を見ると、どうやら彼女以外も埼玉を知らないらしい


「いや、日本の首都の上にある県だって。東京はわかるだろ?」


「いや、全然」


「即答かよっ!」


 って、ツッコミをしている場合じゃない。

 おいおい、どういうことだ、もしかしてどっきりか何かか?

 いや、それにしては大掛かりすぎるし、全員日本語話してるから、国内のどこかくらいに思ってたのに……

 じゃあ一体ここはどこなんだ!!!


 どこまでも続く草原の中心で、彼は心の中で叫ぶのであった。

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