仕事
ほんとうに歌いたい歌を、歌わされている歌の中に混ぜた。
きみはファンは気づいてくれるだろうか。
このアルバムを聴いて、
きみはファンはどう思うだろうか、急に怖くなった。
いつだって評価されるのは大多数に受け入れられるもので、
個人の感性など大多数の前では無に等しい。
曲をいじられることに慣れてしまったら、
自分たちの存在がわからなくなった。
誰かからの評価を真っ先に気にし始めた。
メンバーの仲だってギクシャクしだした。
ボーカルばかりもてはやされて、
ギターだってベースだってドラムだって、
うまいひとはもっといた。
それならわたしたちが一緒にやっている意味って何なんだろう。
きっかけはとてもシンプルだったはずなのに。
ひいてうたってたたいてはねてころんでひとつになって
だれかのまえでうたったらはんのうがかえってきて
夢中になってそればかりで四季を繰り返した。
意味なんてはじめから無かったのかもしれない。
好きこそものの上手なれ、それだけだった。
だけど、好きなものは仕事にしてはいけなかった。
ほんとうに歌いたい歌を、歌わされている歌の中に混ぜた。
社会人失格、後ろ指さされて笑われそうな歌。
ほんとうに歌いたい歌を、歌わされている歌の中に混ぜた。
可もなく不可もなく、そんな歌の中に混ぜた。