エピローグ
羽津市から西羽津市に電車で行こうと思い立ち、駅までやってきた。
「ふぅ」
この時間帯は人が少ない。
少ないどころか、俺以外誰もいなかった。
自販機でパックのジュースを買い、飲んでいると黒いスーツを着た人物がプラットホームへとやってくる。
「おや、君は……」
「あ、どうも黒葛原の伯父さん」
親戚のおじさんだった。
そういえば金髪のお姉ちゃんに色々と責められていた気がする。
「あれからどうなりました?」
「あれから? ああ、そういえば去年もここで会ったね」
苦笑しながら伯父さんは煙草を取り出す。
「刺されたよ。ざっくりとね」
「大丈夫だったんですか?」
「いいや、数か月入院したよ。結構危なかった」
笑いながら言っているおじさんはダンディだった。
「もしかして、他にもああいった関係の人が……いるんですかね」
「おお、鋭いね。その通りだよ。冬治君の歳には二人ぐらいいたかなぁ」
とんだ女たらしである。
「君もいるんじゃないのかね?」
「そういう人はいませんね。知り合いがいてもプラットホームで声をかけられないと思いますよ」
普段話さないような事を話していると三人目の客がやってきた。
羽津市にある羽津学園の女子制服を着ている子だった。
「ん?」
「あれ?」
あちらもこちらに気づいたようだが……おかしな話、彼女が俺の事を覚えているはずもない。
「なんだ、居るんじゃないか。防刃ベストを着たほうがいいんじゃないのか?」
スーツの下に着用しているそうだ。なるほど、だからこの前助かったのか
「そんなんじゃないですよ」
「あのー」
近づいてきた女子生徒は俺を見ていた。
「どこかで会った事、ありますっけ?」
「……他人の空似だと思いますよ」
「そう、ですか?」
銀髪を風邪に遊ばせながら俺へと近づいてくる。
「あ、名乗る前に変な事を言ってすみません。わたし、夢川百……」
「っと、電車が来ましたね。じゃ、俺は乗るんで。おじさん、行きましょう」
電車へ乗りこむ。少女が悩んでいるうちに扉が閉まった。
「何で逃げたんだい?」
「逃げたわけじゃないんですよ。俺はあの子の事を知らないし、向こうもこっちを知りませんでした」
「ふむ……そうだな。あまり人の事情に首を突っ込むと包丁を向けられるからなぁ。しかし、君とあの子の縁は深そうだ。いずれ、また出会うんだろう」
「どうでしょうね」
「わたしは少なくともそう思うよ」
おじさんが笑う。
そんな俺達の所へ女性の車掌がやってきた。
「黒葛原さん……奥さんと別れてください。ここなら逃げ場はありませんよ」
「またかよっ」
車掌の鞄から包丁を握り、伯父さんに迫る車掌を見て俺はため息をつくのであった。
「やれやれ、またか」
その時、俺は伯父さんが窓から飛び降りて逃げるとは想像もしていなかった。
エピローグのあとがきで、作者である私は何を書けばいいのか悩んでいます。今後でしょうか、それともエピローグに登場した人物についてでしょうか。終わり方を『TO BE CONTINUED』にしておけばまた違った気持ちを与えることもできるでしょう。この作品を作るにあたって考えていたことは、日の当らないような妖怪を使わせていただこう、だったかなと。牛鬼、結構使われますね。葛ノ葉狐、これはあまり見た事が無いかと。雪女、かなりの頻度で見かけますね。吸血鬼……妖怪でしょうか? オンモラキや不知火なんてものもいますが……凄く、使いづらそうです。というわけで、上記ラインナップに落ち着いたと思ってください。NKK関係もあり吸血鬼は外せませんでした。さて、次回作についてですがまだ未定です。気になるシリーズの新作を作るのか、それとも気になるあの子とリスタートをやるのか、はたまた、また別の話をやるのか……2014年の年始からやっていこうとは思っています。よろしければ応援よろしくお願い致します。それではみなさんよい、お年を。




