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第四十三話:浮気が心配

第四十三話

 今日から七月だ。

「あちー」

 プールサイドでぼーっとしていたら葛ノ葉さんが手を振って近づいてきた。

 うん、相変わらずいい体をしているなぁ。

「ぼーっとしていますね」

「はい。暑いなぁと」

 さすがに見とれてました、そんな恥ずかしい事は言えない。

「暑さにやられては駄目ですよ。今年は受験ですからね」

 本当は葛ノ葉さんの悩殺ボディにやられそうになったけれど、お口にチャックだ。

「わかってます。でも、たまには海に泳ぎに行きたいなーって考えているだけです」

 友達数人誘って行ったら楽しいだろうな。

「そ、そうですね」

「あ、やっぱり葛ノ葉さんもそう思います?」

「はい。二人きりで海は初めてですね」

「……」

「冬治さん?」

「あ、そ、そうですね」

 俺はまたてっきり友達誘って行くもんだとばかり思っていた。

「あ、冬治さんその焦りようは……」

「何でしょうか?」

「わたしの水着姿に期待していますね?」

 まんざらでもないこのご様子。

 実際、スクール水着で体つきはわかるものの、これがビキニになったら……どんな破壊力を持つのか、想像出来やしない。

 もしかしたら海は俺の血で赤く染まるかもしれないな。

「お前ら、授業が始まるぞ」

 そんな俺達を馬鹿にしたように椿たんが歩いて行った。

 うん、なかなかいいお尻をしているね。

「冬治さん?」

「……はっ」

「お尻を今、見てましたよね? 最低ですっ」

 しまったと思うにはタイミングが遅すぎて、いいわけをいう時間すら与えてもらえない。

 気付いた時には手遅れで、じゅんびたいそうをする前に俺はプールへダイブさせられた。

「こらー、夢川君。まだ授業は始まってないですよー」

「すんませーん」

 これだけだったならまぁ、謝れば済んでいただろう。

「お兄ちゃん。お弁当間違えてるよ?」

「あ? 本当かよ」

 昼休み、俺の所へアリスがやってきた。

 これ自体は別に何でもないような事なのだが……。

「あの、冬治さん」

「ん?」

「アリスさんと一緒に生活されているんですよね?」

「そうですよ」

「妹じゃないんですよね?」

 そうなのだ。

 あれから俺はNKKの事を話した。必然的にアリスが吸血鬼だと言う事も話している。そして、アリスと血が繋がって居ない兄弟どころか、あまり関係のない間柄という事を葛ノ葉さんも知っている。

「それがどうかしたんですか?」

「妹じゃあ、ないんですよね」

 一度目よりもドスの利いた声になっていた。何より、会話が進展していない。

「え、ええ、まぁ」

「わたしというものがありながら?」

「あの、誤解が生じているようなのでいいますけど、アリスは妹みたいなものですよ」

「でも妹じゃない女の子ですよね」

「……それはそうですけど」

 隣の椿たんがパック牛乳を飲みながらばーかと言ってきた。

「だから、誤解ですって。葛ノ葉さんが心配しているような事は何もないですよ。幼児体型は趣味じゃないんです」

 じーっと見られる。ああ、こりゃあ……帰ったら電気椅子コースかな。

「わかりました。冬治さんを信用します」

「ほっ」

 二度あることはサンドイッチ……放課後、日課になっていた放課後デートをしようと二人で校門まで歩いていると誰かが走ってきた。

「お兄さーん」

 柊が走ってきたのだった。

「何だか久しぶりだね」

「ああ、そう言えばそうだな」

 なんとなく隣を見ると糸目が見開かれた葛ノ葉さんが俺の事を見ていた。

「あ、この綺麗な人がお兄さんの彼女?」

「そうだ」

「ふーん……うわー、胸大きいなぁ。いいなぁ、羨ましいなぁ」

「ありがとう」

 柊は裏表がない性格だからなのか、葛ノ葉さんも褒められて嬉しそうだった。

「でも、お兄さんって小さい胸が好みじゃなかったっけ?」

 そして、天然でもあり空気が読めなかったりするわけだ。

 この天然さんめと小突いてやりたい気持ちも今は完全に葛ノ葉さんに対してのしまったで埋め尽くされている。

 案の定、葛ノ葉さんが恐い笑みを貼りつけて俺を見ているではないか。

「冬治さん、それは本当でしょうか?」

 今宵は狐に追われる夢を見そうだな。

 しかし、たまには男を見せないと葛ノ葉さんに嫌われてしまう。

「……柊、そして葛ノ葉さんもよく聞いておいてください。俺は大きな胸の方が好きなんですっ」

 俺がそう宣言した直後に葛ノ葉さんより胸の大きな女子生徒が歩いて行くのであった。

「へぇ? 胸が大きい娘が好きなんですね? 今、通って行った生徒さんですね?」

 伝説の妖怪、九尾の狐がいたらこんな顔をするんだろうなぁ。

「お兄さんっ、早くフォローしたほうがいいって」

 柊、もう駄目なんだ。フォローしてももう駄目だよ。

 もうここまできたら言う事は一つだ。

「……電気椅子で許して上げますよ」

 その日の放課後のデートは中止になった。

 ああ、違うな。行き先が変わっただけだったよ。

 暗くて、灯りはろうそくだけのムードある場所になった。

 たまにぴかっと光ったりとても刺激的なデートを楽しめた。


葛ノ葉編総括をば。狐の妖怪と言えばやはり、九尾の狐が有名ですが、葛ノ葉狐もあげておきたいです。こちらの場合は悲恋が元となっているのではないか……そんな話もあるくらいです。というわけで、葛ノ葉の話はそこら辺を考えて、やったわけですが……途中、何だか強引な展開になってしまいました。読み直してもうちょっと伏線を入れておくべきだったと反省しています。嗜虐性のある人物として一石を投じさせたかった。ま、たぶんにもれずこれもバッドエンドを考えていてやりすぎちゃった話を書こうとうんぬん。総括としてはこれぐらいでしょうか。駅前の話は一切出ていなかったかと思います。さて、次回はアリス編ですね。既に終わっていた感じのアリス編がどうなるのか……年内にはエピローグまで投稿しますよ。

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