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道端の淑女
山道の傍らに置かれた石に、禎理はふと目を留めた。
周りにある岩とは全く異なる肌を持つその石は、禎理の膝の辺りまでの高さしかなかったが、石にあたる光の加減によっては、小さな女の子が泣いているような表情を、確かに持って、いた。
その石の下では、おそらく、旅の途中で亡くなった者が、大地の広やかな胸に包まれて安らかな永久の眠りについているのだろう。そして、いとおしく思う者の為に泣く精霊である『泣き女』に似た石をそこに置いたのは、きっと、亡くなった者を心から愛していた者に違いない。
禎理は傍に咲いていた花を静かに手折り、『泣き女』の像の傍に手向けると、跪いてただ静かに、祈りを、捧げた。




