ⅩⅩⅩⅡ.久しぶりの笑顔
今年になって初めての投稿だべ(`・ω・´)
こんな駄文を読んで下さっている皆様!
本当にありがとうございますm(_ _)m
今年もよろしくお願いします(*´∀`*)
海月が登校してきて、五日が経った今日。
B組では、早速劇の練習が始まっていた。
劇の内容はB組オリジナル。ベースとなった物語は、彼の有名な『白雪姫』。
ヒロインはある国の女王の娘……三姉妹の次女。
長女の娘よりも、母に愛されていた次女のルーチェは、亡くなった女王の遺言で女王になる。
しかし、納得のいかない長女と三女。
長女は傲慢な性格で長女の自分でなく、次女が王位を継承するのが気に入らない。
三女は常識的な性格で曲がったところが嫌いだから、贔屓で次女に継承するのが気に入らない。
ルーチェは二人から嫌がらせを受け、行方をくらませ、隣の国に身を潜める。
まあ、お約束通り王子に会って恋をして結婚するが、姉妹の策略で階段から落ちて生死の境をさまよい、王子のキスで目を覚まして幸せに……という物語。
誰が作った話かは知らんが、在り来たりというか……夢見すぎだろと思った。
が、本人曰くキスは本当にさせるとのこと。
それが目当ての脚本だとみんな分かって、ノリノリのようだった。
さて、そんな物語の王子とヒロインの役を任されたのは……。
「ま、まあ……!な、何て凛々しいお方なのかしら〜……」
「ルーチェ様。この方こそ、この国の王子……ロデリック様よ」
「お……お初にお目にかかる。王女ルーチェ……。何と……う、ううう…美しいの、だ、ろう…………やってらんねーよっ!!!!」
「カァーット!!ダメよ真広くん!海月も!!ぎこちなさすぎるわっ!」
「だ、だって……うちこんな役やったことないし……恥ずいっ……」
「んなこっぱずかしい台詞言えるかっつーの!!」
そう、あみだくじの結果……というかクラスの陰謀により、王女ルーチェ役は海月。王子ロデリック役は真広となった。
あの二人ならいい感じに“ラブラブっぷり”は演じれる。誰もが思ったことだ。
しかし、台本読んだ途端、誰もが無理だろ……と思った。
ルーチェは素晴らしいお嬢様口調。
一人称は“私”だし、語尾は“ですわ”だし、基本敬語。
一人称が“うち”で、基本女王様口調の奴が自分が遜るような言い方。
無理だろ。
そして、ロデリックは紳士口調。
一人称は“僕”か“私”で、素直で笑顔が爽やかなさっぱりとした青年。無論、こちらも基本敬語。
ほとんどが黒い奴で、人を見下してて、ケンカが強いぶっちゃけ不良、仲間は大切にするが暴言が著しい、俺様タイプ。
両者ともに正反対の性格の人物を演じる。
海月は、顔立ちも良いし、第一印象は清楚系だと感じる人が多いから、お嬢様口調も似合うだろう。
しかし、真広は同じくかっこいいとは思うが、爽やかさなど欠片も持ち合わせていない。
美しいなんて言う真広なんて、真広じゃねぇ。
てか、はっきり言ってロマンなんかなく、無茶苦茶笑える。
「おいっ!何だこの台詞は!?」
「んー?プロポーズの言葉よー!『ルーチェ……。僕は君が楽しそうに笑っている姿を見ているだけで幸せだ。君の笑顔は世界一美しい。それに……君に涙は似合わない。だから泣くのはお止め……。君の姉妹達がどんなに君に意地悪をしようと、僕が君を必ず守ってみせる。……愛している。僕と結婚してくれないか……?』もうサイコーよっ!きゃー!!」
「長ぇよ!しかも何だよ気色悪ぃ!俺はホストじゃねんだよ!一億歩譲っても最後の二つしかいらねぇだろっ!」
真っ赤な顔で抗議する真広。
監督兼原作者が読み上げた台詞により、茹で蛸の如く顔を真っ赤にし、硬直した海月。
あんな台詞を言う真広を想像しただけで笑いが止まらない俺。
あと陸も、向こうの方で爆笑している。
「えぇー。これでも結構短くしたのよー?」
「絶対言わねえ!もしくは、ロデリックの性格を丸々変えろ!!」
「う、うちも!ルーチェの台詞、もう少し変えて欲しいんだけど……」
「海月まで言うのぉ?まあ確かにぃ……真広くんが君には笑顔が似合うとかキモいからなぁ……」
「キモいとは何だ。俺が言われてるみたいでムカつくんだけど」
「性格は変えてあげるわ!二人の性格に合わせて!でも口調変えていいから、あの台詞は言いなさいよー?」
「はぁ!?冗談じゃ……」
「分かった。ありがとー監督〜」
「あ、その響きいいかも……」
「俺を無視すんじゃねぇ!」
「別にいんじゃない?あのくらいの台詞なら」
「いや、あのくらいじゃねぇから!結構巨大だからな?第一、約二名爆笑してんじゃねぇか!」
「まぁまぁ……ぶっ!」
「おいコラ」
「そんな堅いこと言うなってぇー。ロデリック王子♪」
「るせぇな!後で覚えとけよ!?」
「あっはっは!やっぱ面白いねぇ!」
俺、陸、海月で爆笑しあう。
何か久し振りだな……こんなに笑ったのは。
みんなが涙をためるほど笑うのは本当に懐かしく感じる。
最近は柚兎左関連でいろいろあったしな……。
そう言えば、あいついねぇな。
俺も柚兎左も衣装係だから、デザインとか決めねぇといけねぇのに。
……こう考えてはいるが、実はまだ笑ってたりする。
「晋一くん、購買でメジャー買ってきてくれる?」
「あ、ああ……了、解っ……。腹痛ぇー……!」
文具購買は一階だっけ?
何気に久しぶりに行くな。
文具購買は、一旦外に出て通路を通って行かなきゃならないから、あまり人がいない。
そのため、絶好のさぼり場だった。
時々先輩がサボっていたのを思い出す。
静かな廊下を歩くだけでも、結構しんどい。
さっきのを思い出し笑いしそうで、堪えるのに精一杯だ。
一年は静かなんだな。
三階から聞こえる笑い声。
俺も、あの笑いの中に戻りたいため早足で歩く。
開いた扉の隙間を通り、外に出ると、若干風がありとても気持ちよかった。
「っ……っ……」
そして、外に出たとき、静かな風とともにすすり泣く声がした。
足音をたてずに、そのすすり泣く声が聞こえる方へそっと近づく。
この声……女か?後輩とかだったら、先公に知らせるべきか?
そして、曲がり角から顔を覗かせて見えた人影は紛れもなく……。
「――……柚兎左……?」
倉庫と壁の間に座って伏せている柚兎左だった。
10話らへんを読み直してみた。
……直紀と和宏って誰だよ…(`▽´;)
今更ですけど ぶっちゃけ
○高橋晋一
○江川柚兎左
○赤松陸
○桜井海月
○小野真広
の5人を覚えていただければ スルッと読めます。
いろんなキャラ登場させてますけど 本当チョイ役なので…
この5人以外は覚えなくていいです(笑)