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桜吹雪  作者: 亜梨朱
27/32

ⅩⅩⅦ.裏切りの朝

相変わらずの投稿の遅さ(-_-;)

海月視点でお送りする27話でございます。

昨日の柚兎左。


陸たちを苗字呼びしたり、雰囲気が違ったり、傷だらけだったり。


どうしたんだろ…。


聞かない方がいいって、自分では分かってるんだけど、やっぱ気になるなー。


美桜とかに聞いてもらうのも気が引けるし…。


ここは親友である、うちが行くべしだよね。


話せば楽になるよ!

そういうノリで聞いてみよう。

実際そうだしね。


柚兎左はいつも遅くに来るから、普通に行って駅で待ってた方が得策かな。


相談する相手もいないし、そうしようか。


にしても、眠い。


誰かいないものか。


まあ、いたらビックリなんだけど。


そんなことを思いながら、ホームに降りる。


素晴らしいくらいに無人で。


なんだろーね。この虚無感。


ホントにさ…。

せっかく三年生になったんだし、受験勉強とか勉強とか塾とか。


青春なんてありゃしないよ。全く。


まぁ、人生一度しか過ごせない中学三年生だし、がんばりますか。


去年の終了式で、先生が言ってた。


『過去と今を比べるのではなく、その環境でどう楽しく過ごすかが大切なんだ』


結構感動したから、この言葉を胸に頑張ります。某先生。


今日も慣れない環境で、楽しく過ごすための道を探しますよ。


…そのためには、柚兎左は欠けちゃダメなんだよ。


てか、今思ったけど素直に教えてもらえないよねー。


触れてほしくない事情もあるし。


柚兎左の家は特に複雑っていうのは、うちも知ってる。


「やっぱ聞かない方がいいのかなぁ……」


呟きは、ホームに反響して消えた。


よく響くなーなんて思ったり。


はー…

電車来るまで、まだあるなぁ…。


仕方ないから本でも読もうかな。


勉強は学校と塾で十分。


勉強を思うと、最近同じように思うことがある。


入試、卒業…。


「……義務教育が終わって…、みんなとお別れ……なのかな?」


それぞれ、将来があるからみんな同じ学校なんて無理だし……。


やだな…。


『三番ホーム…電車。まもなく参ります……。白線の内側で…』


……無性にKYって言いたい…!!


電車に罪はないから、仕方ないか。


とりあえず、うちは点字ブロックの上に乗って、電車を待った。












「暑い!!やっと出られた……」


今日この時間に限って、満員電車っていうパターン。


何、この運の悪さ。


これで柚兎左に会えないなんて、最悪。


何が何でも遭遇してやる!


と、私が変に燃えてると、周りの人たちから変な目で見られる。


うちは変人じゃないんだからさ。


そんな目で見ないでよ。


まあ、階段を上ると人集りが改札の前でできていて、最悪なパターン。


何人いるんだろ?


ハッキし言って学生しかいないけど。


学生だけでこんなにって、世界中の人が集まるとどれだけなんだろ。


どうせだし、改札口で待ってよっと。


何か柚兎左を待って遅刻しそうだけど。


「七時四十二分…。先は長いなぁ」


短活が始まるのは十五分から。


本格的な遅刻は三十分から。


「てか、根本的に柚兎左来る系!?こなかったら困るんだけど!」











「はぁ……もうそろそろ行かないと遅刻……する…」


今日に限っていつもの電車に乗ってこない。


まさか、今日休み!?


うちの苦労はなんだったんだ…。


別にここじゃなくても、学校でも聞けるし……、行こうかな。


改札口を出、ゆっくりと学校を目指す。


もしかしたら後ろから柚兎左が来るんじゃないか、いつもと同じ…明るい声で「海月っ!」って言うんじゃないか、そんな期待を胸に秘めて。


「てめっ!ざけんな!」



後ろから女性の怒鳴り声がした。


気になって振り返ってみれば、女子高生。


柄の悪そうな人たちばかり。


今時流行るの?


竹刀とか。


で、ねらわれてる人を見れば吃驚仰天。


「柚兎左!?」


そう、朝からずっと待ってた柚兎左だった。


昨日よりもすごく冷たい表情になってて、ちょっと怖いけど。


逃げる人々に逆らって、柚兎左たちに近づいた。


「何あんた。謝ることもできない系?まさかのぉ?」

「うっさい、黒豚。あんたらがブヒブヒ喋りながら歩いてるからぶつかったんでしょう?自分のせいで壊れた携帯なんて知らないし」


携帯?


女子高生の足元を見ると、ギラギラデコってある濃いピンクの携帯に、ブラックコーヒーの缶が転がってる。


中身はもちろん携帯にもろかかって。


女子高生グループはみんな飲み物を持ってるから、携帯も飲み物も女子高生の物だろう。


ということは…当たり屋?


「豚ぁ?アタイらのどこが豚なわけぇ?目おかしいんじゃなぁい?」

「ふーん…。あんたらの目は随分腐ってんのね。太ももも腕もパンパンで岩面でさ」


少し解説すると、岩面は柚兎左流にアレンジされた言葉で、“岩みたいに大きい顔(面)”って意味。


まあ、その女子高生は、小麦色の肌に、かなり太めの体格、金髪に顔ははっきしいって整ってはいない。


まあ、メイクも厚すぎるし、結構離れてるのに微かに香水の匂いがするし。


最悪だわ。


「岩面ぁ!?アタイらが!?ちょっと可愛いからって調子のんじゃねぇーよ!」

「こんなか弱そうなうちらだけどぉ、ケンカの腕っ節はたつんだよねぇ」

「仲間もたくさんいるんだよねぇ」

「へー。どこがか弱いわけ?見た目マウンテンゴリラだわ。仲間って…弱い奴が強く見えるように群れてるだけじゃん。何威張ってんの?」


柚兎左…変わりすぎだよ。


少し前までは全然そんなんじゃなかったのに。


少なくとも自主的に喧嘩を売る子じゃなかった。


「こんのォォオオ!」

「柚兎左!!」

「海月!?」


痛い。


鈍い音がした。


とっさに柚兎左の前に立って、腕で顔らへんを防御したら、拳は腕に当たって痣を作った。


ヒビ入ったかな…。


「何あんた…」

「痛……。柚兎左の…この子の親友!…柚兎左、行こう?」

「ただでは返さないよ。あんたのダチはアタイにぶつかって携帯を壊したんだから。コーヒーも台無し」


やっぱり当たり屋だ。


親友として柚兎左を助けなきゃ。


でも…右手が痛い!


「海月」

「……柚兎左…」

「余計なことしなくていいのに。身代わりになりたいんだ」

「え……?」


ドンッ!


柚兎左に背中を押されて高校生の人たちにぶつかる。


柚兎左は少し離れて、倒れた私を見下していた。


「ゆう……さ?」

「殴りたいんでしょ?自主的に殴られたその子殴りな」

「ごめん、そんなつもりじゃなくて…ゆうさ…ゆうさ!!」

「じゃあね、また後で」

「やだ…イヤ……置いてかないで!柚兎左ぁ!」

「やっちまえ!」

「きゃあああああ!」


高校生たちは、足を使って私を蹴り始めた。


痛いよ……何で?


柚兎左…私は……助けたかっただけなのに……。


視界が涙で滲む。


体中が痛い。


悲鳴も出せない。


誰も助けてくれない……。


「オラオラァァァア!謝れよ!ほら!」

「ゃ……めて…ごめんなさい…」

「聞こえねぇんだよ!」

「カハッ……。ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさい」


ローファーの砂が制服について汚れるし、体はたぶん痣だらけ。


時々なる鋭い痛みは切り傷かな。


「こら!止めなさい!」

「ゲッ!ポリ公かよ!」

「逃げるよ!」


ああ…警察か。


女子高生を追ってっちゃった。


二人残ってるけど。


「君、大丈夫?」


大丈夫なわけないじゃない。


「傷の手当てを」


手当て?

そんなのいらないよ…。


したって痛みは引かない。


痛む体を無理矢理動かして立ち上がる。


壁伝いで歩く。


警察が止めるけど、そんなの関係ない。


教室…行かなきゃ。


私…謝らなきゃいけないんだよね。


余計なことしたから…柚兎左は私を見捨てたんでしょ?


エスカレーターを使って地上に出た。


明るい日差しが、醜い姿の私を照らしつける。


すれ違う人はみんな私を可哀想な眼差しで見つめる。


やめて……。


見ないで…ごめんなさい……。


足の力が抜けてアスファルトに転んでも、誰も助けようとしない。


見てるだけ。


その視線がとてつもなく怖い。


やっとの思いで学校に着いた。


あーあ…遅刻か。


あんなに早く駅にきたのに。


廊下には誰もいなくて、私の足音が響くだけ。


先生に見つかったら教室の前に保健室行きだから、少しだけ良かったと思える。


三年B組の前。


扉は開いてなかったから、ある力で思いっきり開ける。


ガシャンと大した音も鳴らずに開いた扉の向こうには、クラスメートたちが楽しそうに話す姿。


なぜか柚兎左はいない。


何人かの者が扉が開いたのに気付いて、こちらをみる。


見た瞬間硬直。


そりゃそうだよね…。


こんな姿だもん。


みんな…怖い目で見ないでよ……。


次第に教室が静かになって、晋一と真広の声が聞こえた。


でもすぐに気付いて、こちらを見た。


「海月……」

「てめぇ…ボロボロじゃねぇか!!」


真広がすごい形相でこちらに向かってきた。


ごめんなさい…!


軽く私を叩いた。


たぶん土とかアスファルトの黒を払ってくれてるんだと思うけど、それさえも怖くてたまらない。


「ごめんなさい……」

「はぁ!?もっとでけぇ声で言えよ!」

「ごめんなさい」

「何が?」


怖い…怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いコワイコワイコワイ!


いやだ…。誰か助けて…。


「ごめんなさい……ごめ…ん、なさ……ぃ…」

「おい!」


体の力が抜けて、真広の方に倒れ込んだ。


そこで私の意識は途切れた。


あーあ……

次はいつかなぁ…(-.-;)y-~~~



2011.07.28.THU

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