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桜吹雪  作者: 亜梨朱
26/32

ⅩⅩⅥ.白い空間で

七夕!

…のはずが、私の地域では雨がザ――――っと降ってました↓↓


星、見たかったなぁ…

真っ白い空間を進む。


時々、花の絵や風景画が飾られていた。


でも、それ以外は真っ白。


扉も壁紙も床も天井も何もかも。


清潔感がとてもあるように思えるが、こんな空間に一人でいたら悲しくなるような気がする。


「七○七……ここか」


止まった病室の表札を見ると『桜井 海月』と書いてあった。


どうやら個室のようだ。


寝てるとは言っていたが、さすがに黙ってはいるわけには行かない。


一応ノックして入る。


「海月」

「……なに?」


返事が返ってきて、驚く。


いち早く真広が海月の元へ行き、陸はゆっくりとそっと扉を閉め、俺はゆっくりと歩いた。


「起きてたのか?」

「今起きた」

「悪ィな。起こしちまって」

「自然に目が覚めただけだから、大丈夫だよ」


うわー……ラブラブオーラが見えるぜ。


真広も意外と、友達と恋人は大切にするタイプなんだよな。


いや、恋人は今知ったけど。


チラリと陸を見ると、普通……どこか羨ましそうな感じがした。


それでも、あの空気をぶち壊さないという寛大さに素直にすごいと思った。


「晋一も陸も、どうしたの?」

「えっ、ああ。一応見舞い。元気か?」

「うーん……。まあ、一応元気…かな」


曖昧な返事をする。


腕に施されている包帯が痛々しい。


教室の時は長袖だったから分からなかったが、痣やかすり傷が白い肌のせいで、とても目立った。


「晋一だってケガしてんじゃん」

「これは母さんのせいだ」

「痛くないの?」

「今は全く。触れば痛いけどな」

「お大事に」


クスクスと笑う海月。


どうやら、本当に元気になってきているようだ。


海月が笑うのをやめて、軽くため息をつくと、病室は沈黙に包まれた。


……。


「海月」

「ん?なに?」

「聞いちゃいけないと思うが、何があったんだ?」

「……」

「晋一!」

「いいよ、真広。大丈夫。具体的に何が聞きたい?」

「その傷……」

「ああ、これ?……殴られたときに、かな?」

「誰にだよ!?」

「知らない人」

「海月、確か保健室で柚兎左がどーのこーのつってなかったか?」

「柚兎左……。まぁ…関係はあるんだけど…」


海月は口ごもる。


事の真相は海月しか知らないのだから、海月に聞くしかない。


俺たちは、黙って海月を見る。


言葉を選んでいたようだが、一つの言葉を思いついたらしく、小さい声でつぶやいた。


「柚兎左は、私にとっては原因。私にとっては加害者。でも柚兎左は被害者。あの人たちは紛れもない加害者。更なる原因は両親。……かな?」

「両親ってどっちの?」

「柚兎左の」

『…………』


柚兎左は加害者であり、被害者である。


海月は被害者。


あの人たちとは、海月を殴った奴らだろう。


そいつらは、加害者。


言っては何だが、柚兎左の両親は首謀者。


……さっぱり分からない。


真広は両手をポケットに入れて、壁にもたれていた。


表情は目を閉じて、眉間にしわを寄せていた。


陸は、はてなマークを浮かべていた。


腕を組んで考える素振りをしては、アホみたいな顔をして分からないと目が言っていた。


つまり、理解してない俺たち。


「あれっ?分かんない系かぁ」

「悪ィ」

「俺もわっかんねー」

「大まかなことは大体分かった」

「……仕方ないなー。……いいよ、話すよ」


俺、陸、真広の順で言うと、海月は頷きながら苦い笑みを作った。


そして窓の外……いや、もっと遠くを見つめて言った。


「今朝の出来事を」






財布の通気性が良くなってきた……(-_-;)


やべぇな

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