ⅩⅨ.単純な俺たち
昨日から私の住んでいるところは暑いです。
半袖着てる人いたよ!
……春ですねぇ(´∀`)
「おーい!みんなぁ!今から普通に短活始めるぞ!席着けー」
学級委員の言葉により、みんなはしぶしぶ席に着く。
全員って言うわけではないが。
「ヤマケン!短活って言っても、今日の日直いませーん」
軽く自己紹介。
学級委員山本健介。
ニックネームはヤマケンで、スポーツバカ。
「まぁ、そうなんですけど。じゃあ俺がやるよ」
「何か面白い話してくれよ!」
「そうだって!スピーチを兼ねてさ」
ヤマケンは話すのが上手らしい。
父親が落語家なのもあって、面白い話から怖い話までいろいろな話をしてくれる。
柚兎左のセーラー服引き裂き事件なんか忘れて、ヤマケンの話で盛り上がった。
「でさ、何を言うかと思ったら『お嬢さん、面白い顔だね』だと。かわいい美少女をほったらかしにして、平凡少女に声を掛けてるわけよ。もう可愛子チャンはこんなんよ!」
『あはははっ!』
「ヤマケン、サイコー!」
まじめに、事件のことなんて忘れているようだ。
ジャージ姿の汐里って子も笑っている始末。
「何なんだよ……このクラス…」
小さい声で呟く。
呟きは、みんなのでかい笑い声にかき消された。
「よ、晋一」
「陸……何でいるんだよ」
「何でって……。あのレディーが席替われって」
「……ああ。なるほど」
陸の席を見ると、自分の隣に居るはずの女子がいた。
仲良さそうにしてるから、親友なんだろう。
「俺も晋一と話せるし、麻耶も美理と話せるから一石二鳥だろ」
「だな。てか何だよ…こいつらの切り替えの早さは」
「同感。柚兎左はまだ戻ってこないし、真広も海月も戻って来ねぇ」
「寂しいか?海月がいなくて」
「ああ。そりゃあ……って何言わせんだよ!」
「世の中捨てたもんじゃないな」
こんな素直な奴がいるなら、この世もまだ終わってないと思える。
「どーゆう意味だよ…高橋君!」
「そのままの意味だ、赤松君」
「晋一だって柚兎左が心配じゃないのか?」
「何言ってんだよ!!」
何で知ってるんだ?コイツ。
真広の奴バラしたか?
今のところ真広にしか言ってないはず。
「好きじゃないのか?」
「な、何でそう思う」
「え、何でって……」
試しに聞いてみよう。
ていうか、真広が言ってたなんか言ったら、どうしようか。
今の雰囲気からして、怒れないよな……。
「何でだよ」
さっさと答えろよ。
全く……。
どきどきが止まんねぇよ。
「何となく」
「はぁ?意味分かんないんですけど」
「態度っつうか…、何て言うの?雰囲気だ!」
まじかよ。
そんな分かりやすかったか?
ていうか、俺自身気持ちに気付いたの昨日だし。
「特に練習試合!あのとき追いかけたじゃん!それで気付いた感じ」
「……………………」
マジかよ……。
何じゃそれ。俺が驚きなんだけど。
「なんつー引きつった顔してんだ?」
「いや……別に」
「さては……図星か!図星なんだな?」
「違ェよ!何勘違いしてやがる」
「照れちゃって…」
あーうぜぇ!
久しぶりだ。こんな殺意が芽生えたのは。
「あ!真広!」
ヤマケンの言葉に、全員振り向く。
一斉に振り向かれたから驚いて、真広は一歩下がる。
「海月はどうだ?」
覚えてたんだと少し驚く俺。
「……病院行った」
『え…………』
何か悲惨になってきたー
次回は回想みたいな……感じ?
恋愛要素を取り入れました☆