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桜吹雪  作者: 亜梨朱
16/32

ⅩⅥ.壊れた瞬間

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!

ほんっっっっと申し訳ございません!!

めっちゃ更新遅れました<(_ _)>


ネタが思いつかなかったもんで……

「ねぇ、どういうつもり?」


下校途中、鋭い少女の声に一瞬肩が跳ね上がる。

振り向くと、柚兎左がとんでもない形相でこちらを睨みつけていた。


それに若干怯みながらも、俺には何のことだか分からないため、問う。


「何のことだよ……」

「プリント。高橋君でしょ?メモみたいの書いたの」

「ああ…そうだけど」


いきなり出てきた冷や汗が頬を伝う。


駅のコンコースでの会話。


行き交う人々は、この雰囲気を察して、妙に避けて歩いている。

そのせいで、さらに緊張感が高まる。


「どうして手紙な訳?」

「え……あ、ああ」

「口じゃダメなの?あんなにだらだら書いてさ」

「別に……ダメじゃねぇけどさ」

「じゃあ何で?私が嫌いならそう言えばいいでしょ?」


言えるわけがないだろう。


雰囲気が変わったせいで、怖くて話しかけづらかった…なんて。


身長は俺の方が高いから、柚兎左が少し見上げる形になる。


本来なら上目遣いというものでドキドキするらしいが、顔の向きは真っ直ぐ、傾けることなく、目だけが俺の方を見ている。


ヤクザかなんかにガン見されてる感じだ。


違う意味でドキドキだ。


「何で黙ってんの?私難しいこと聞いてないよね?あ、私には言えないこと?」


何故この状況になった?

こうなることを分かっていて陸は俺を誉め讃えたのか?


「何で書いたの俺だと思った?」


何となく気になったことを言ってみる。


「字見れば分かるし。ていうか、あんな濃く書くのは高橋君くらいでしょ。赤松君とも良い勝負か」


即答する。

しかも、どこか棘のある言葉で。

とりあえず、俺なりに空気を和ませようと頑張ってみる。


「そこまで濃くねーよ」

「そうかもしれないけど、とりあえず字からして高橋君だって分かった」

「そ、そうか!すげーな」

「そりゃ、長くて短い付き合いだし」


一言…、怖っ!!

凄まじい迫力だ。

ただでさえ睨んだら怖い柚兎左がマジで睨むと心臓を射抜かれる勢いだ。


「柚兎左」

「何?」

「お前…何か変だぞ?何かあったか?」

「……」


一瞬、時が止まったかのように動きが静止する。

俺、マズいこと言ったか?と思いながらも柚兎左を見る。


俯いた顔を上げ、狂ったような笑みを浮かべた。


「別に……私は普通だよ」

「普通じゃない奴はそう言うんだよ」

「じゃあ普通じゃないって言ったら普通なの?」

「それは……」

「ふふ…だから、私は普通だよ」


そう言って、さらに不敵な笑みを浮かべる柚兎左に、俺は恐怖を覚える。


こいつはこんなに怖い笑い方をしていたか?

こんなに怖い顔をしていたか?


何でこうなったんだよ…。


前は明るくて五月蠅くて時々ウザいと思ったが、いい笑顔をしていた。


変わったのは今日なのに、あの笑顔が懐かしく思える。


「だから」

「……?」

「もう話しかけないでね」

「柚兎」

「晋一は私のこと嫌いなんでしょ?もういいよ。無理しなくてさ。そういうことがどれだけ傷つくか分からないでしょ?すごく怖いから」

「違う」

「じゃあ何で話しかけてくれなかったの!?話したくなかったからでしょ!?」

「それは……」

「正直悲しかった。被害妄想だし自己中だって分かってる!けど」


そこで気付いた。

壊れた笑顔でも、怖い顔で睨んでる顔でもなく、いつもの柚兎左(かお)だということに。


周りの人から見れば、カップルが喧嘩してるようにでも見えるのだろう。

空気を読んで、俺たちを避けている。


その為、コンコースはほぼ無人。

叫び声に似た声がよく響く。


「もういい」

「は?何言って……」

「嫌いな人と喋っていたくないでしょ?もう近づかないから…」


違う。


嫌いじゃない。


そんな言葉が出てこない。


そして、柚兎左に対する気持ちを聞かれてから、改めて気付いた。



俺は柚兎左が好き。



多分これが恋なんだろう。

よく分からないが、母さんや友達に抱く感情とは少し違う。


壊れていく柚兎左を見てられない。


でも、俺は何も言えない。

何とも情けない。自分に殺意がわいてくる。


「何も、言ってくれないんだね……」

「柚兎左」

「もういいよ……。慰めの一つや二つくれるかって思ってたのに。自惚れだったんだね」

「……悪ィ」

「悪いって思うんなら何か言って欲しかった。そしたら、私は私のままでいれたのに」

「ごめん」

「…………」


謝ることしかできない。

何も言えない。

言おうとしてるのに声が出ない。


最低最悪だな、俺。


「     」

「は?何言ってんだ?聞こえねぇよ」

「バイバイ」


俺の質問を無視して、そう言って柚兎左は去る。


俯いて歩く彼女を、俺は止めることもできずに立ち尽くしたままだった。


すれ違い様、微かに聞こえた言葉。


『死にたい』


びっくりして振り返ったが、お決まりのように柚兎左の姿がなかった。


急いでいつも柚兎左が乗る電車の方のホームに降りるが、扉が閉まった直後で、結果追いかけることができなくなった。


「何なんだよ……」


前髪を握り、しゃがみ込む。


結局、柚兎左は何が言いたかったかは俺には分からない。


死にたいとはどういう意味なんだ?

意味は分かるが、そんなことを言う理由が分からなかった。


自分が柚兎左を傷つけたというのはこんな俺でも理解できる。


「お前のこと、嫌いなんかじゃねぇよ……」


今言っても意味のない言葉。

今更言ってももう遅い。

あいつには届かない。


自分が乗るはずの電車が発車した。

その時の風の音はまるで、誰かの叫び声のようだった。







俺があのとき言葉を発していたら、何か変わっていたのだろうか。


次回は……また遅くなると思います(-_-;)


ですが!必ず更新しますんで見捨てないで下さいね…(T-T)

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