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桜吹雪  作者: 亜梨朱
13/32

ⅩⅢ.変貌

雪だーヾ(^▽^)ノ

大粒だったから積もったぜーヽ(≧▽≦)/

柚兎左が学校に来たのは、試合から一週間後。


傷だらけで、そこら中に包帯が巻かれたり、絆創膏が貼られたりと実に痛々しい姿で登校してきた。


クラスメート全員が驚愕した。


傷だらけのクセして、いつも通りの雰囲気。

傷のことについて聞いてみれば、転んだと話を逸らされる。


海月に話を聞いても、「うちにも分からない…。どうなってんの?こんなの初めてなんですけど」と驚いた様子だった。


もう、泣いた理由とかより傷の理由の方が知りたい。

両方とも教えてくれないだろうが、一応聞いてみるとしよう。


一人では気が引けるため、ムードメーカーで楽観的な陸をつれて、柚兎左の席の真正面に立った。


「ゆ、柚兎左。その傷どうしたんだ?」

「え?転んだらこうなった」

「転んだって……」

「話はそれだけ?」


冷ややかな眼差しと、冷たい言葉。


この空気…耐えられる奴は俺の隣にいる脳天気野郎の陸しかいないだろう。


目線を送ってみると、通じたようで空気を和らげようと柚兎左に話し始めた。


「てかどう転んだんだよ!俺でもそこまで傷つかねーぞ!」

「ガラスの破片が散らばってたからこうなった」

「ガラスぅ!?災難だったなぁ!女の肌にゃ傷はつけちゃいけねぇってのに」


言い方が酔っぱらったオヤジ臭いと思うのは俺だけだろうか。


「だよね…。最悪だっての」

「嫁のもらい手がなくなったら俺のところに来いよ!俺がもらってやる」


さり気なくプロポーズしたな。

柚兎左は嫌だという表情(かお)をして鼻で笑い、若干表情が和らぐ。


「そりゃどーも。猿でもいいこと言うじゃん」


雰囲気も和らかくなり、張りつめたプレッシャーもなくなる。

改めて思う。

脳天気とは素晴らしい。

脳天気は世界を救う。


「猿ぅ!?」

「なに驚いてんだよ…。そっくりじゃんか」

「マジでぇ!?晋一もそう思ってたりすんの?」

「瓜二つじゃね?」

「まぁじぃでぇ!海月もそう思っちゃったり?」


陸は近くにいた海月に問う。

海月は機嫌を損ねたのか、眉間に皺を寄せて、陸を睨む。


「うっさい!猿!」

「…ぐずっ…俺泣いていい?」

「存分に泣」

『却下!便所で泣いてこい』

「らしい」

「……うがぁぁぁぁぁぁ!」


俺は存分に泣けと言うつもりだったが、海月と柚兎左が声を揃えて冷たく言い放った。

二人のその軽蔑の視線は、不良の頂点(トップ)でさえも土下座して謝るだろうってほど恐ろしく、迫力があった。


陸はおそらく男子便所に一直線だろう。

泣きにではないと思う。

ノリで行ったんじゃないか?


「あはは!赤松君(・・・)戻ってきなよ!」

『赤松君!?』

「どうかした?」


柚兎左の周り…、少なくとも今の言葉を聞いた人たちが柚兎左の言葉を復唱した。


陸も教室の扉を勢いよく開けて、みんなと同じく復唱した。


どんな連携だよってほど、きれいに重なった声であった。


柚兎左は一人訳が分からずに困惑しているようだった。


「おまえ頭ぶっ壊れたか?」

「どうして?高橋君(・・・)

『高橋君!?』


またもや声が重なる。


柚兎左が苗字で呼び、尚且つ君付けなんてびっくり仰天だ。

いや、いきなり呼び方が変われば誰だってびっくりするだろう。


こいつが苗字呼びするのは、嫌いな奴と先生と気にくわない先輩。

つまり嫌われた…という認識を俺たちはしてしまう。


「ゆ、柚兎左。クラスの男子を全員言ってみ?」

「えっと、赤松君、天城君、伊東君、小野君……」


番号順に男子の名前を言っていくが、全員苗字呼び。


つまり全員嫌ってるのか?こいつは…


「矢野君、山本くん、渡辺くん…。で?」

「うん……。ちなみに女子の一から五番の人は?」

「麻耶、奈々子、朱美、私、由利歩」

「………………」


結果、男子は全員苗字呼び+君付け。

女子は名前で呼び捨て。


どうなってんだ?


「……晋一、陸、ついでに真広!D組行くよ!早く来る」

「ああ…」

「おう!」

「何で俺も巻き込まれんだよ!」

「何か文句ある?」

「あるっつーの!俺にはかんけーねぇ」

「うちら友達でしょ?」

「そういう意味の関係じゃなくてだな!」

「うっさい。来いっつったら来い」


強制的に真広を連行し、俺は若干面倒くさいと思いながら、陸はノリノリで海月の後に続いて、D組に向かった。


今更だが、こうなったことを激しく後悔中。


何でかって?

面倒くさそうだからだ。

何か直感的に、変なことに巻き込まれたような気がした。


最近学校がつまらない悩み。

疲れるし暇だし……

はあぁぁぁぁぁ(´□`;)

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