Ⅰ.新学期と桜吹雪
連載小説初めてだなー…
皆さんに楽しんでいただけるよう、頑張ります!
新学期。
この学校に入学して三度目の春がやってきた。
校庭に高く聳える木々が、囁かな風に揺れ、学校の外の道路にある桜の木の花びらが風によって散る。
まるで粉雪のようにきれいに降る様子は生徒の目を釘付けにするほどだった。
新学期ということだから、クラス替えが行われる。
誰と一緒になるか期待を膨らませて校門をくぐる。
この学校は、奥から幼稚園、小学校、中学校と並んでいる(高校は隣の敷地)。
そのため小学生たちも満開の桜のゲートを楽しそうに歩き、中学校の校舎前を通って、小学校の校舎に向かう。
中学校の前の木はイチョウで、小学校の前は桜の木、幼稚園は梅と紅葉の木がある。
校風が良いと評判だが、落ち葉や散った花びら、銀杏のせいで、靴の裏にそれがくっつくし銀杏踏んで異臭はするし、落ち葉で滑るしで正直最悪だ。
クラスごとに下駄箱の場所が違うから来客用玄関の前にクラス発表の紙が張り出される。
全校生徒の人数はおよそ六百人。
六百人一気に玄関前に群れるわけではないが、通学方法がほとんど地下鉄とバスのため結構な人数が玄関前にたまる。
俺は、背が低いわけではないが高くもない。
二メートルほど先のクラス発表を見るには身長と視力が足らない。
結果的に後ろの方で生徒が退くのを待つわけだが、これが全く減らない。
逆に、増えていくばかり。
どーすんだ。これ。
「晋一!おはよっ」
「陸か。はよ」
校門から友達の赤松陸がやってきた。
相変わらずボタン全部外してパンを食べながらの登校。
校則違反しまくる問題児だ。
「めっちゃ混んでるじゃん!あの中には入りたくねーな」
「だよな。先生たち(あいつら)も学年ごとに分けろっつーの」
ちなみに俺も問題児。
言葉遣いと制服の着方が悪いからって問題児扱いだ。
あのクソ共。
「あー、晋一ぃ、おはよぉ」
「おはよぉ」
ぶりっこで有名なグループ(榊、浜口、松本、村岡)がやってきた。こいつらも相変わらずぶりっこがマジやべぇ。
「陸、今何時だ?」
「えっとねぇ、七時四十五分だよぉ」
「お前には聞いてねぇよ。どっか行け」
「一応言っとくけど、今は七時五十分。その時計ずれてんじゃねーの?」
校庭の時計も五十分を指していた。
聞いてないのに答えた上、時間があってねぇとは、最悪だな。
コイツらと同じクラスになっていないことを祈る。
「あっ!柚兎左ぁ!おはよぉ!今日早いねぇ」
今度は向こうから江川柚兎左が歩いてきた。
「あぁ、おはよう」
笑って返事をする。
見るからに作り笑顔だろ。
「柚兎左、おはよっ」
「陸も晋一もいたの?おはよう」
「柚兎左、毒舌ぅ!」
「新学期、久しぶりにあったのにそれないじゃん」
「ああ、ごめぇん」
柚兎左は軽く目を逸らしてウッザって顔をしてから、クラス発表の紙が貼ってある方を見る。
「りっちゃんたち見たの?クラス替え」
りっちゃんとは浜口の事である。
「見たよぉ。うちらA組だったんだぁ。柚兎左も見てきなよぉ」
「そうだね。見てくるか…。陸と晋一は見た?」
『いーや、まだ』
何故かハモった。
見事にハモると気持ち悪い。
「んじゃあんたらのも見てくるよ」
「頼んだ」
「よろしく」
とても有り難い提案だ。
女子の群れになんか入りたくねえ。陸も同じだろう。
柚兎左は歩いて群れに行くと、思いっきり腕で人をかぎ分け、てか殴ったり押したりと暴力で突き進んだ。
後輩にあんな態度とって良いのか?
「陸…、改めてあいつすげぇな」
「ああ。まさにどんだけーだよな」
「古いから。それ」
「あ、もう戻ってきたぞ」
柚兎左が端の方から出てくるのが見えた。
あいつは肩やらスカートを払いながらやってくる。
「ありゃー、菌を払ってるよな」
陸が呟いた。
聞こえていたらまずいから黙って無視する。
「私たちB組だってよ」
「三年B組かぁ。ここはAが良かったな。」
「陸、あいつらと一緒のクラスがいいんだ…。意味わかんねー」
「俺はBでよかったと思うけどな」
「んじゃ、晋一、行こうか。意味不明の趣味を持ってる人は置いて」
「だな」
そう言って、俺と柚兎左はB組の下駄箱に向かう。
風が強く吹き、桜の花びらがかなり散った。晴れた青空にきれいなピンク色が舞う。
「きれい…」
ああ、桜吹雪とはこのことなんだな。
俺は、友達と桜吹雪の中を陸の怒声をBGMに歩いていった。
そう…
『友達』と―――
如何でしたか?
って一話目じゃ分かりませんよね(汗)
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