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ラムと電器屋

店を閉めた後、ラムは少し仮眠を取ると再び今夜の準備に取り掛かる。

店内の床掃除、ゴミ出し、買い足すものがないか確認し、先ほど店先に配達されたビールケースをバーカウンターへと補充する。

シュエガオとハイリーは、店から少し離れた共用洗い場に洗濯をしに行っている。


ハイリーがここに身を寄せてから少し経つが、一向に出ていく気配は感じられない。

ここに居続けるのは賛成しないものの、ラムはハイリーを無理に追い出すつもりはなかった。ここにいる住民は事情がある人達ばかり。時間と機会が合いさえすればいつか先を見つけるだろう、それくらいに思っていた。


「ラム、ちょっといいか?」

近隣の電器店の店主がやってきた。気さくな人物だったが、ちょっとした収集癖がある。

「街でまたいいお宝見つけたんだよ!小物は持ち帰って来れたんだが、テレビがこれまた重くてな。運ぶの手伝ってくれないか?」

「構わないが…また嫁さんに叱られないのか?」

「いい、いい!こっちのことは!品数が多くて困る客はいないだろ」

運んでいたビールケースをそのままに、ラムは電器店の店主とテレビが置いてあるという場所に向かった。




そこは富裕層や一般家庭層が出した廃棄された生活用品が山のように積まれていた。

比較的キレイではあるが、壊れていることには変わりはない。だが、そこは電器店の腕の見せ所で材料や道具さえあれば修理できてしまう。


「あれだ、あのテレビ」

店主の言う方を見ると、なんとラムの想像していたサイズよりもかなり大きいサイズだった。

「こんなでけぇの、あそこは通れねぇよ」

「いやいや、メジャーで測ったらギリギリ行けるんだよ!それに、鳥飯屋に置いてやりたくてさ」


鳥飯屋とはラムが昔から通っている、家族で切り盛りしている食堂だった。

ラムが用心棒をやめてナイトクラブの店を始めるまでは、この食堂のお婆さんにまだ小さいシュエガオの面倒を頼むこともあったほど世話になっている。今も朝粥はこの鳥飯屋で買っている。


「鳥飯屋に置いてやったらテレビがない人たちも見に来れるし、飯屋に人も増えて一石二鳥だ」

電器店の得意げな表情に根負けし、ラムもつられて笑った。

その心意気、断る理由がない。



こうしてラムと電器店の店主はぎりぎりでクーロンの狭い通路を通り、なんとかテレビを鳥飯屋まで運び終えた。

そこでラムはふと思った。壁に擦って血が滲んだ手をさすりながら。

「なあ、これ、まだ修理してねぇよな?」

電器店の店主が大声を上げたのはいうまでもない。

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