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バンド

普段通りナイトクラブは開店する。開店時間は8時前後だが、日によってまちまちだった。

入ってくるのは顔見知りの常連客ばかり。ホールに入ると心地よいベースのリズムと音色が耳を撫でていく。

頬に手形を付けたままのフージエもカウンターに入り、注文の入った酒を作り上げている。



寝室ではシュエガオとハイリーがベッドで横になっていた。バンドの音がここまで漏れてきていて、正直寝られる気がしない。

「あなたのお父上は、何の仕事してるの?」

「ラムは父さんじゃないよ。いつも夜遅くまでクラブの仕事してる」

何かよからぬ商売の雰囲気が感じられる。ハイリーは一瞬不快感を覚えたが平静を装い、会話を続ける。

「ここまで音が聞こえてくるけど…ちゃんと寝られるの?」

「寝れるよ。全然平気。ハイリーは寝れない?」

シュエガオの質問になんて答えていいかわからず言葉に詰まる。正直ここは暗いし、薄汚いし、騒々しいし…なんといっても生活環境が悪い。

「それよりさっきのハイリーすごかった!フーを手でパチンって!」

シュエガオはハイリーの平手打ちを間近で目撃したからか、興奮冷めやらぬ感じで目をキラキラさせながらさっきのシーンの再現をしてみせる。その姿にハイリーは一瞬恥じ、早く寝なさいと言わんばかりに、すぐさま肌掛けを掴みシュエガオに被せた。




ふと目が覚めたハイリー。どうやら少しだけでも寝入ることができたようだが、それでもまだ朝ではないようだった。未だに耳に入ってくる漏れ聞こえる音楽。今は軽快な音楽に乗って女性の歌声も聞こえてくる。

こんな夜更けまで一体どんな商売をしているのかと苛立ちを覚え、寝ているシュエガオを寝室に残して部屋から出てみる。すると扉を開けた瞬間に音楽の音量が一層大きくなった。慌てて扉を閉め、シュエガオが起きていないことを確認し、廊下を進む。

楽屋側とホールとを区切っている分厚い扉にたどり着くと、それをゆっくりと押した。開ける傍から大音量の音が溢れ出し、ハイリーは思わず顔をしかめた。

扉の隙間から中を覗く。

ホールにはテーブルを囲むたくさんの客がいた。会話をしたりステージを見たりしながら酒を飲んでいるようだったが、ハイリーは音がうるさすぎて果たして会話は成立しているのかはなはだ疑問に思った。


そして、ステージに視線を移す。

ハイリーに声を掛けたあの女性がスポットライトを浴びながら満足そうな表情で歌を歌い、その脇では5人のバンドマンが演奏をしていた。ドラムとピアノ、サックスにコントラバス。そして、胡弓を弾くラムの姿があった。

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