青龍、少し疲労する。
『20XX年 8月某日。
陰陽會の四名、青龍、朱雀、玄武、白虎、そして戦闘部隊特別部隊員のヤタを敵組織ベンタに派遣。
組織の破壊、及び離反者がいた場合、処刑を命ずる』
8月の暑い日、私たちは敵組織ベンタに潜入した。
組織の下っ端らしき男女五人に裏経路を使い、連絡を取り、待ち合わせ場所で半殺しにして、
その男女五人に変装して潜入中だ。
暗く、もう使われていない洋風なお屋敷がベンタの本拠地。
本拠地にすぐに向かうことはできないので各地に散らばっている支部の組織員に変装した。
メイクをしたり、ウィッグを被ったり、まあ顔に大きな特徴がない、かつ下っ端を選んだからまあ顔自体はあまり変えずに済んだ。
私がロングの黒髪に凛々しい顔立ちが特徴の中野麻紀に。
朱雀が黒髪の低めのツインテールに大きなリボンが特徴の田中有紗に。
玄武が金髪でチャラそうな見た目の早瀬奏斗に。ちなみに顔の傷はメイクで消した。
ヤタは黒髪のミディアムボブで元の顔を生かした妖艶な美女上田美優に。
そして、白虎が儚い系美少女野村結花に、女装させた。
元の顔が女の子っぽいのと、女子が一人足りなかったからね。
その時の白虎がこちら。
「僕、男の子なのに、僕男の子なのにぃぃっ!!満足か、この野郎ぅぅーーーっ!!」
と、天真爛漫で何事にも笑顔で挑戦する白虎でもこれだけは無理だったみたい。
けど、これだけは言える。
そこら辺に散らばっている(?)どこぞの女たちよりもずっと可愛かったから!!
もう一回言う、どこぞの女たちよりも可愛かったから!!
そこまでして潜入したベンタは実力絶対主義の組織だという。
なので御簾越しでベンタのリーダー格に見られながら、組織の人間同士で戦う御前試合で全員で勝ち上がる。
それからのことは上層部から連絡があるという。
まあ要は、とりあえず勝て、だ。
上層部が上から目線なのはいつものことだからとりあえず置いといて、細かい役回りが苦手な私たちにとってはありがたい。
御前試合では本気にならず、余裕に見えないように少し演技する予定、と皆んなと話した。
ていうか、組織内でそういう話ができているなんて、ここの組織セキュリティーどうなってるの?
というわけで迎えた御前試合。
潜入して初めて来た本拠地。
本拠地にはざっと500人ほどのガタイの良い男女が、広い部屋に集められていた。
男7割、女3割ってところかな。
各々談笑をしていたり、ストレッチをしていたり、など過ごし方は様々だった。
広い部屋の壁には大きな紙に小さな文字で名前が書かれているトーナメント表が張ってある。
この御前試合はトーナメントで、ブロック内で勝ち上がった上位16名が襖の前の試合会場で試合をすることができる。
ブロックは16個あり、一つに30人ほどが分けられていた。
ブロック内の試合は部屋が振り分けられており、幸いなことに私たち5人はそれぞれ違うブロックに振り分けられた。
つまり、全員がブロック内で一位になれば全員で襖の前に行くことができる。
まあ、そこまで上手くいくかはわからないけれど弱気になっていたら出来ることも出来なくなる。
これが、今までの経験上わかっていること。
自分の感情でチームに迷惑をかけるわけにはいかないし、むしろ私がサポートしていく感じでいかないと行けない。
ポーカーフェイスを崩さないようにしながら、頭の中でガタイの良い男をなぎ倒す想像をしながら、自分に活を入れた。
スタッフらしき人がブロックごとに部屋へ案内してくれた。
私は7ブロック。
若い男どもはガヤガヤと何か話しているが、それを聞く意味はない。
ブロック内に女は私一人。それを見下すような目で見ているのは知っている。
中学男子高生が女子高生見てちょっと可愛いなと思いつつ見下してるノリだよ、良い年した大人がぁ…。
17歳の女子(社会人)を見下すとか、こんな人がいるから日本は後退していくんだよ…。
そんな日本の社会を悲しく(?)思いながら自分の試合を待った。
私の相手は、取り巻きが何人かいたここの界隈では結構強いらしい男。名前は知らない。
スタッフ兼審判の人に名前を呼ばれ、試合をするところに立って相手と向き合った。
バレーボールコートほどの大きさの開けた場所。
まあこの程度の相手ならこの広さでも十分だ。
「それでは御前試合ブロック7、9試合目始め」
そして、運命の御前試合が始まった。




