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祓魔師一家  作者: れもん
1章.これが正解なんだ
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朱雀、目を奪われた。

「何で、お前は…っそんなことを聞くんだよ…!」

 今まで表情を変えなかった彼が、初めて私の前で表情を変えた。

 少し嬉しく思うと同時に、彼が努力家なことに気が付き驚く。

 私の扇は私が深く切ろうと思えば、腕の半分くらいまでは切れる。相手が力を入れていなければ完全に切り落とすことが出来る。

 たかが筋肉だけでここまで扇を止められることはできない。かといって腕の皮が極端に分厚い訳でもないように見えた。

 力を分散させている。

 私がこの腕だけに攻撃をしている全身の力を、腕だけじゃなくて足で体幹で受け流しているんだ。

 自分の体の使い方を熟知している、としか言いようがないほど高難易度なこと。

 やっぱり彼は、育て親のことをたとえ一方的でも愛しているし、愛されたいと思っている。

 だって、嫌いだったらここまで組織のためにできないじゃない?

 自分の身体を壊すようなこと、私も家族がいなかったらできない。

 これ以上は力の無駄と判断したので一度扇を離して距離を取った。

「何で、って…薄々気がついているのでしょう?自分が人を殺める感覚を嫌悪していること」

 彼は私の方を、目を大きく見開いて見つめた。

 何かを伝えようと口を開いたが、言葉を飲み込むように、その長いまつ毛を伏せて口を閉じた。

 きっと彼は気がついていた。

 人を刃物で貫く感覚が、人の命をこの手に収めている感覚が、どうしようもなく気持ち悪くて、

 ()()()()()()()だと、どうしても思えないことに。

 でも、自分のすべきことをちゃんと幼少期から理解していた。だから、自分の感覚は自分の意志に逆らえなかったんだ。

 私は、彼が何も言う気が無いことを理解して、試合を終わらせることを選んだ。

 これ以上何も言えることは無いし、これ以上踏み込んで良いのか私には分かり得なかったから。

 私は扇をベルトに仕舞い込み、蓮の目を見ずに、走り出した。

 蓮の懐に入り込んで、首筋に手刀を落とした。

 蓮が脱力し、倒れ、動かないことを十秒確認すると、審判をしていたスタッフは私の元々の立ち位置の方の手を上げて、私の勝利を述べた。

「…蓮。戦闘不能。よって田中有紗の勝利」

 私は表情を変えないまま、障子と審判に向かって一礼ずつし、蓮を担いで端に寄った。

 チラと青龍の方を見ると、とても驚いたようにその綺麗な黒い瞳を揺らしていた。

 でもその黒い瞳には恐怖や絶望の色はなくて、ただ単純に私の成長に喜んでいる家族のように見えた。


 未だ気絶している蓮の耳元に口を近づけて囁いた。

「…またどこかで会えたときのために、私の質問考えていてね。蓮」

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