007話 玄関脱出成功!⇒鍵を閉めて即死亡
▽【前回の山田】
スキルレベルアップ!おまけに女神の罵倒つき♥
「さて……女神の話は、とりあえず信じるとするか」
ベッドから起き上がり、俺──山田篤志(32・圧死系ゲーマー)は深呼吸した。
ここまで得た情報を、頭の中で整理する。
① ゾンビの動きは毎回ランダム。
死に戻るたびに微妙に配置も速度も違う。
ランダム生成ダンジョンかよ。
② 脱出ルートは“玄関”と“ベランダ”しかない。
しかしベランダは──圧死20回の実績が真実を物語っているように──
ほぼ不可能。
③ 圧力耐性Lv.2で生存時間は伸びたが、落下時の3/4ダメージは普通に瀕死。
まさに延命措置。延長線上の地獄。
④ ミッションは現状、“72時間生存+α”だけ。
ただし144時間後に空爆が来て、強制エンド。
つまり、長くダラダラしても空爆で死ぬだけ。
「しょうがねぇ……本筋の“玄関ルート”、行ってみるか」
ゲーム脳が起動しないと、俺はクソ雑魚山田に成り下がる。
足が動かない。視線が床を眺め続け、しばらくして。
閃いた。
俺は風呂場へ向かった。
シャワー上に置いた“物干し竿”──一番使える長物だ。
軽い、丈夫、伸びる。
たぶんゲームでいう序盤の“木の棒”くらいの性能。
そんなイメージでも、少しだけゲーム脳が動きだす。
「よし、いくぞ……」
玄関ドアにそっと物干し竿を差し込み、慎重にハンドルを押し下げる。
ガチャ……。
音を最小限にしたまま、俺はすかさず靴箱横の物陰に潜り込む。
数秒後。
「……ガァ……ァァ」
来た。
扉の隙間から、ゾンビの足がゆっくり現れ、部屋へ侵入してくる。
「(ゲームのゾンビも怖いが、本物は桁違いだ。レオンもクリスもいかれてんだろ)」
寝室の方から、仕掛けた目覚まし時計が電子音を響かせた。
ピピピピピピピピピピピッ!!!
「(よし……作戦通り……!)」
ゾンビがそちらへ反応する。
その瞬間。
「今だ!」
俺は影のように廊下へ飛び出し、玄関の外へ滑り出た。
脱出成功!!!!
心の中でガッツポーズしながら、玄関ドアを静かに閉める。
……クセで鍵まで閉めた。
カチャリ!
「……あっ」
廊下の奥で、ゾンビが一斉にこちらを振り向く音がした。
さらに──
上の階から、ドドドドドッ!!!!!!
階段を駆け下りる複数の足音。
「ウソだろ!? 鍵の音そんなに響く!?」
と叫ぶ間もなく──
圧死。
耐性のおかげ、いつもより長く生きました。
◇今回の成果◇
・死亡回数:22
・獲得スキル:なし
・メモ:アラームは有効。鍵はかけない




