004話 圧死10回したらジト目の女神に叩かれた(ご褒美)
【前回の山田】死亡2回目でハルキスト発動!
「やれやれ……人の死には、意味のあるものと、ないものがある」
ふと、俺の中のハルキストがつぶやいた。
渋い声で。コーヒーの香りが漂ってくるような調子で。
「いや、さっきの死は意味あるに決まってんだろ!!!」
自分で自分にキレながら叫んだ。
空爆で押し潰されて圧死──あれはどう考えても意味のある死だ。
というか、死ってそんなに連続で味わうもんじゃない。
はて、ミッション1の<72時間生存せよ.>は達成できただろうか。
んん?よく見ると、最後が.(コンマ)ではなくフォント数1レベルの小さい文字だった。
※追加条件の達成が必要です
ほーん。小さすぎて読めるか!
……そして、俺はその後も“意味のある死”を八回繰り返した。
合計九回。
天井崩落、壁圧死、家具圧死、ゾンビ+瓦礫のダブル圧死……
まるで圧死コレクションをコンプリートする勢いだった。
――そして十回目の圧死のあと。
「あれ……? ベッドじゃない?」
ふわふわした感触。
柔らかい……いや、これは雲だ。
雲の上に寝かされている。
周囲には、どこからともなく光が満ちていた。
太陽の光じゃない。もっとこう……“神々しい照明100%”みたいなやつ。
「起きましたね、山田さん」
澄んだ声。
目を開けると、そこに“女神”が立っていた。
「私は女神アストレア」
完璧な金髪。淡い光をまとう白い服。声にはエコーがかかっている。
手には表彰状のような巻物を持って震えている。
「じ、実績解除……おめでとうございます……!」
「えっ!? 実績!?」
「“圧死10回達成”です。おめでとうございます。いや全然おめでたくないですけど!」
女神は顔を引きつらせ、表彰状を突きつけてきた。
「あなた、どういう神経してるんですか!?
十回連続で同じカテゴリーの死に方って、もう芸術ですよ。逆に尊敬しますよ!」
「いや、俺も好きで圧死してるわけじゃなくて……攻略中にたまたま……」
「たまたま十回も圧死するわけないでしょうが!!!」
女神の声が裏返った。
微妙にポンコツAIの電子ノイズが混ざっている。
「というわけで、こちらが今回の実績報酬です。受け取りなさい!」
表彰状が光り、UIメニューにスキル項目が追加される。
《新スキル:圧力耐性Lv.1
圧力系ダメージを10%軽減します》
「おお! スキルだ! これ欲しかった!」
「喜ぶところですか? というか、あなた、まずゾンビ世界を攻略しなさいよ!
VRゲームばっかりやってる場合じゃないでしょう!」
「いや、VRはもう完全攻略したんで……二周目三周目も余裕」
「……は?」
女神の顔が固まった。
「圧死十回よりそっちの方が信じられませんよ……
システム担当の私がクソ上司に怒られるんだから」
素の顔が漏れた女神は額を押さえた。
その仕草すら電子ノイズが混じっている。
「スキルの説明とか聞かないんですか?」
「もちろん聞きたい!」
「あ、もうダメです、時間です。どうぞ現場へお帰りください……!」
「え?」
「さっさと戻って働けぇぇぇ!」
女神が巻物で俺の額をペチッと叩いた瞬間、世界が白く弾けた。
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■ そして、いつものベッドへ
気づくと俺はベッドの上だった。
見慣れた天井。
だが、新しいUIアイコンが右上で点滅している。
《新スキル:圧力耐性Lv.1
圧力系ダメージ10%軽減》
「しゃーねえ・・・・・・次はゾンビ攻略するか・・・・・・!」
ゾンビに秒殺された記憶が蘇る。膝が勝手に震えた。
「いや、まてよ・・・・・・」
俺はあることを思いつき、天井を見上げた。
気になったら検証しなければ気が済まないのだ。
ゲーム脳が燃えてきた。膝は止まっていた。
◇今回の成果◇
・死亡回数:11
・獲得スキル:圧力耐性Lv.1:圧力系ダメージを10%軽減する
・メモ:「毎回死因が微妙に変わる。家具やゾンビはランダム生成?」
※山田「読んでくれてありがとう……!
もし楽しめたら、実績『ブクマ1』を解除してくれ……!」




