031話 楽しいお買い物
▽【前回の山田】
称号デバッガーを与えられたヤマダ。落ちた先は。
「だれ、か・・・・・・」
大声を上げかけて、やめた。
うっかり叫んで、また地獄が始まったらたまらない。
・・・・・・
足音も呻き声も、腐臭もしない。
胸をなで下ろす。
ふう、と息を吐く。
視界の端にぽわんと灯りが見えた。
「カレン?」
ではない。
近づいてみると――屋台だった。
「おでん」と書かれた、やけに懐かしいのぼり。
あったかそうなのに、俺の胸の奥は相変わらず冷えたまま。
「よぉ、兄ちゃん。寄ってかないか?」
屋台のなかから、顔のない灰色のマネキンが話しかけてきた。
こっわ!
のっぺらぼうかよ。
初対面で距離詰めてくるやつ、ほんと苦手なんだよな。
こんなやつ無視だ。
屋台って、雰囲気だけで高いんだよな。
味はまあ……うん。
「まあ、そう言うなよ。屋台の無いお祭りは寂しいぜ。
それにうちは、兄ちゃんの持ってるメダルで買い物ができるんだぜ」
俺の思考を読んだようなタイミング。
俺のゲーマー魂ゲージが急上昇した。
俺のUIが自動で開く。
<SHOP>
オオォシ!
俺の涙ながらのメダル増殖の日々が蘇る。
今、その苦労が報われるとき……
ってか、頼むから報われてくれ……!
テンション上げ上げでSHOPを閲覧していく!
なになに。
アイテムとスキルが買えるようだ。
身体強化Lv.1が・・・・・・メダル10枚!?
高すぎるだろ!!
俺はちょっとアレな方法で9枚まで増やしたが、普通はこの時点で1枚だろ?
それとも、何か獲得方法が他にあったのか?
うーん。ま、いっか。
考えても仕方ない。
圧力耐性もメダル10枚。
精神耐性は20枚。ほお。なかなかのレア。
飛行石は、まあ無い。激レアはそんなもんだ。
だいたい通常スキルは10枚、レアだと20枚、30枚なんだな。
次はアイテム欄だ。
いやー、こうやって店のラインナップを眺めるだけでも、楽しいよな。
アイテムは、安いと一枚でも買えるな。木製バットとか5個セットだ。
ガチャもある!!
3枚で1回、30枚で11回!くう!30枚溜めてやんぜ!
――あ!!
俺の目を一際引いたのは「仲間NPC枠+1」だった。
なになに。
一定の条件を満たした仲間NPCを、今後も連れて行くことができる、だと。
メダルは5枚。
これが、アストレアの言っていたことか。
カレン・・・・・・
この先、絶対に楽じゃない。
たぶん、また俺は何度も死ぬ。
……それでも。
一人よりは、二人のほうがいいに決まってる。
俺は「仲間NPC枠+1」を買った。
――なのに、カレンの姿は、まだ見えなかった。
「おう兄ちゃん。それはお買い得だぜ。毎度あり!」
マネキンはそう告げると、目の前から消えた。
あぶねえ。一回の買い物で買えるのは一つだけなのかよ。
バット5個セットとか、完全に罠じゃねえか。
今度は、トンネルの向こう、光り輝く出口が見えた。
その向こうに、カレンと、何故かジョンの笑顔が見えた気がした。
そこに、居るんだな。
よっしゃあ!
次はどんなステージだ?
俺とカレンで、ガンガン攻略してやるぜ。
俺は出口へ駆け出していった。
※山田「読んでくれてありがとう……!
もし楽しめたら、実績『ブクマ1』を解除してくれ……!」




