030話 デバッガー(運営に目をつけられました)
▽【前回の山田】
Resultの結果はクビ。ここで山田の物語は終わるのか。
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■ トラップカード発動!奈落の落とし穴
アストレアからはもはや挨拶に等しいキモ連発。
こいつの語彙はキモしかないのかよ。あん肝食べるとき、どうすんだ。
「ヤマダ、あなたの未開封実績だけど」
未開封実績・・・・・・なんだかワクワクするワードだぜ。
「次の死亡時に開封されるから。それまで精々長生きしなさい」
死亡前提かよ。腹立つなぁ。
よし、次は死なずにクリア、目指してみっか。
<不可能>
ログ黙れ。
「それと、あなた宛てにメッセージが届いているわ。
神語だから、私が代読するわね。光栄に思いなさい」
アストレアがファンシーな便箋を空中から取り出した。
「えーと。
拝啓、ヤマダ様。あなたの1st stageのプレイっぷり、拝見させて頂きました。
貴殿のあまりにも・・・く、ふふふ。あまりにも突拍子の無さに、私ども運営スタッフは度肝を抜かれました。正直キモいです。キモキモです」
「おい、勝手に付け足すのやめろ」
「度肝を抜かれました。貴殿の先入観に囚われない奇想天外なプレイスタイルは、注目に値するとここに宣言し、今後ますますの自由な発想によるプレイを期待します。ここに貴殿の栄光を称え、称号を与えます」
「称号!?ハッピーな響きだ!効果は!?」
アストレアがチラリとこちらを見る。まだ続きがあるようだ。
「なお、同じようなキモプレイの再演は当方の望むところではなく、貴殿の既出の抜け穴プレイングに関しては都度修正して参りますことを、ここにお伝え申し上げます。悪しからず」
・・・なん・・・だと?
「なんだそりゃ!良いから詫び石くれよ!報酬よこしやがれ!」
「だから、称号がその報酬ってことよ」
・・・釈然としない。運営に踊らされている気がする。
簡単に尻尾フリフリしては男が廃る。
「何?要らないの?ふーん。じゃあ、返品しとくわね」
「要る!いや要るです。要るります。くださあい!」
俺は全力で尻尾を振りまくった。
「ふ。それでいいのよ。ほら、受け取りなさい」
アストレアが右手をかざすと、俺のUIが点滅した!新たに称号のタブが出来ている。
新機能解放のたびにUIが進化していくスタイル、ワクワクするよなあ。
でもなあ。
「これ何だっけ。俺がバグ突いて、運営が必死に後追い修正するやつだ。
なんだっけ……えーと……あれだ……あれ……ほら……」
<称号:デバッガーを獲得しました>
「それだァァァ!!!!!」
ああ、スッキリした。喉まで出かかっていたのがキレイに出てきた。ああ~。
PiPiPi!
アラーム音が鳴り響く。
アラームには嫌な思い出しか無いんだよな。
「あ、ヤマダさん、もう時間みたいです。
それじゃあ、次のステージも頑張ってくださいね」
「あ、ちょっと待って。カレンはどうなったんだ?それにジョンも・・・・・・」
リザル子は遠慮がちにアストレアに視線を向けた。アストレアが代わりに答える。
「彼女なら、あなたが望めば、この先も一緒に行けるはずよ」
その回答は、内心予想通りだった。
「ジョンは。あなたの頑張り次第では、どうにかなる、かも、ね」
アストレアは、やや曖昧に答える。だが、俺はそれだけでも十分だった。ジョンの復活。全く不可能ではないんだ。俺は胸がいっぱいになった。
「アストレア!ありがとう!!」
俺は思わずアストレアの右手を両手で掴んだ。
「ヒィ!なにしてんのよ!このキモヤマダ!」
アストレアが全力で右手を引き抜こうとする。
「ありがとうアストレア~」
俺は調子に乗って握手を続ける。
「リザル子!」
「あいあいさー!トラップカード発動!奈落の落とし穴!」
その瞬間、俺の足下だけポッカリ穴が開いた。穴の中は漆黒の闇。
俺は浮遊感のなか深淵を真下へ歩み出した。
<飛行石が発動!>
「アストレア、リザル子、またな~!」
俺の声が届いたのか。大きく手を振るリザル子と小さく顔を傾げるアストレアが見えた。二人の姿が、ものすごいスピードで小さくなっていく。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
ドシャ!
<圧力耐性Lv3が発動!>
俺は奈落に降り立ったらしい。
半円筒上の場所のようだ。
「ここは・・・・・・どこだ?」
呟いた俺の声が反響した。トンネルのようだ。




